高市氏には失礼だが、今回の総裁選、実質的には「岸田氏VS河野氏」の構図といえる。政策面での両氏の違いについて、少しふれておこう。
岸田氏は経済政策の転換を訴える。「小泉内閣以降の新自由主義的政策は、我が国の経済に成長をもたらす一方で、持てる者と持たざる者の格差が広がりました。成長だけでは人は幸せになれません。成長の果実が適切に分配されることが大事です」
新自由主義から脱却し、保守本流といわれた宏池会の原点に戻って、成長と分配の好循環を実現するという。格差を拡大したアベノミクスへの批判でもある。
河野氏はこれとは真逆の考えだ。既得権益を守ってきたかつての自民党の再配分政策を、「社会主義的」と言い、非効率的な規制、慣習、ルールを撤廃して自由競争を促すべきだと持論を展開してきた。何兆円もの巨費をかけて、ほとんど役に立たない「核燃料サイクル政策」を強く批判していたのも、この考え方に基づいているのだろう。
「核燃料サイクル政策」について、岸田氏は「維持しなければいけない」と語っており、本来ならこの点でも対立するはずなのだが、河野氏が「脱原発」を封印したため、曖昧模糊としている。
小泉進次郎氏は「これだけ日本も世界も変わる時に自民党も変わらなければならない。この時にだれが党風一新できるのか、答えは明らかだ」と河野支持を表明した。
だが、小泉氏はともかく、河野氏の背後に、“反岸田”で再び接近する菅首相、二階幹事長の影がちらつきはじめたら、艶消しもいいところだ。なにが党風一新だ、旧態依然ではないか、ということになる。
そうではなく、安倍・麻生支配に対する、地方と中堅・若手国会議員の反乱という様相になれば、まんざら総裁選も捨てたものではない。アベ・スガ政権下の自民党には、あまりにもダイナミズムがなさすぎた。
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