さて、遠回りをいたしましたが、ここからが本題。「これは引き受けたい」と思った頼まれごとをされた時の、応対について考えてみましょう。
おそらくは、引き受けたい仕事ほど、次々に疑問点が湧いて、質問がしたくなるのですよね。そんな時は、営業応酬話法の基本中の基本「Yes But法」を思い出してください。 まずは「YES」そして「THANK YOU」と言ってみることが大切なのです。
「今度、君にこんなことをお願いしたいんだけれど」と言われて興味を覚えたなら、真っ先に賛意と感謝を素直に表現しましょう。「面白いですね。私に声をかけてくれてありがとう。ぜひやってみたいです」と目を輝かせて、笑顔で答えたら、相手も相談してよかったと感じるでしょう。
どんな対話をしていても「いや」といった否定的な言葉が口グセで入ってしまったり、無意識のうちに眉間にたて皺が寄ってしまったりする人がいます。おそらく悪気はないのでしょうが、そんな人には、拒絶されているようで話を続けるのが難しくなる のです。だからこそ、最初の一言と笑顔が大切なのです。
続いて、質問をする時にも、この頼まれごとに協力したい成功させたいという気持ちをにじませるべく、「和らぎ言葉」とでも言うべき、接頭文などを付け加えてみましょう。
「期日はいつまで?」
と聴きたいなら
「面白い仕事だから、張り切って、速くやらないといけませんね。ちょっと今仕事が立て込んでいるのですが、いつぐらいまでに仕上げるといいでしょうか?」
同僚だったら堅苦しい言葉ではなく
「面白そう。ぜひやりたいな。今、いくつか納期のある仕事を抱えているんだけど、いつぐらいまでに仕上げればいい?」
などとデフォルメしてくださいね。
「仕上がりはどんなイメージを持ってる?」
なら
「この素晴らしい企画だと、こんな仕上がりにしたらいいと思うのですが、それでよろしいですか?他に希望するイメージなどあれば教えてくれれば、それに近づける良い仕事をしたいです。」
「今、ひらめいたんだけど、こんな仕上がりはどうかな?何か参考にしているイメージとかある?」
「NG事項は?」
は
「私の仕事でご迷惑をおかけしたくないので、これだけは注意すべきという点があれば、あらかじめ教えていただけますか?」
「この仕事が面白過ぎて暴走しちゃうかも。あとで手直しが出ないようにNG事項があれば教えておいて」
といった具合です。
こうして、最初にお互いに好意的なコミュニケーションができたなら、プロジェクト開始後は、グループウエアやzoomなどを活用して、緊密に報連相を繰り返すことで仕事も人間関係もうまくいくことでしょう。
最後に追加で、頼まれごとをお断りをしたい場合の一言も。先ほど申し上げましたように、頼まれごとで実績が上がると、さらに頼まれごとがやってきますので、将来は上手に「断る技術」も必要になります。ここでも 「Yes But法」の精神が大切です。
「素晴らしい企画ですね。ぜひお手伝いをしたいのですが、残念ながら、ただいま●●の仕事が佳境を迎えておりまして」
と、企画を褒めながらも、自分のキャパシティが足りないことをやんわりと告げるのです。ウソはよくありませんが、時には「ウソまでいかない方便」も必要です。何か既に頑張っている頼まれごとがあるなら
「〇〇先生の紹介で参加し応援しているNPOの活動で重責を負うことになりまして」
など、仕事と他の活動の二足のワラジで既に忙しいと伝えても良いでしょう。それから
「家族が介護(受験)に追われておりまして」
といった誰もが身に覚えのある家族の一大事などが理由であれば、頼む人も強要できないでしょう。事実、家族を大切にすることは、たいていの頼まれごとより優先順位が高いのです。
「頼まれ上手」は「断り上手」になることも大切なのです。ぜひとも、お優しい心と冷静な頭脳を活かして、意義深い頼まれ仕事と縁者に出会い、新しいフィールドでもご活躍されることを心よりお祈りいたしております。
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