「引き受け上手」は断り上手。頼まれごとの正しい扱い方とは?

 

久米さんからの回答

頼まれごとは賢く取捨選択を。請けるなら、最初に「賛意を明言」、質問の前後には「和らぎ言葉」を

まずは、何もかもめんどくさいと感じる人が多い中、「頼まれ上手になりたい」という志に感銘いたしました。そして、請けるからには、「きちんと疑問点をクリアにしたい」という理性にも。正直に申し上げましょう。これまでの私を振り返って自己分析すると、どちらかというと深く考えずに安請け合いをしてしまうタイプでありました。よく言えば「見る前に飛べ」ということなのですが、実際には、師匠や恩人に頼まれると断れず、後先考えずにできそうもないことまで引き受けてしまう「おっちょこちょい」ということになります。ですから、私が質問に答える適任かどうかは自信が無いのですが、ささやかな経験をもとにお話いたしましょう。

幸か不幸か、優秀な人や人望のある人に、頼まれごとは集中します。今、37歳ということですが、これから働き盛りを迎えると、もっと頼まれごとが増えるでしょう。それらを何から何まで引き受けていたら、時間も足らず、体がもちません。そして結果も期待できず、スキルも上がらず、むしろ信用を失ってしまうかもしれません。とは言え「精神的な限界は、肉体的な限界よりも早く訪れる」ので、自分が考える実力よりも少々厳しい負荷を自分に与え続けることは必要です。忙しい中でも、頼まれごとを引き受け、新しい挑戦をすることで、未知なる自分の可能性に気づいて伸ばせます。その頼まれごとを通じて、新たな人間関係を築いて人生を豊かにすることもできるはずです。ですから、限られた時間を活かすべく、頼まれごとを取捨選択する知恵が大切なのです。

頼まれごとを引き受ける時に考慮すべき要素を、5W1Hでまとめますと

  1. WHO  誰に頼まれたか―師匠?恩人?上司?同僚?部下?
  2. WHERE どこで頼まれたか―会社の仕事?NPO?趣味の集まり?
  3. WHEN いつ頼まれたか―繁閑?納期?所要時間?拘束期間?
  4. WHAT 何を頼まれたか―得意or苦手?修得済or未体験?仕事or非営利?
  5. WHY  なぜ頼まれたか―任務?友情?能力?人脈?教育効果?人手不足?
  6. HOW  いかに実現するか─スキル?ネットワーク?自力?外注?

など多々あります。

極論するなら、企業や団体の上司からの特別な業務命令を除けば、全部断っても良いわけです。でも、ご自身には頼まれごとを引き受けたい志があるのですね。私には上司がいませんでしたが、絶滅危惧種の中小企業経営者で貧乏暇なしだったので、本業につながらない仕事、儲からない仕事は、引き受けなくても良かったはずです。ましてや、私にとって想定外でスキルもなかった大学の講師(驚くほどギャラが安い)や、観光協会やオーケストラなどの役員(お金がもらえるどころか持ち出し)などは、断るべきだったと考える身内もいました。それらを受けた一番の理由は、尊敬する師匠や先輩の頼まれごとを断れなかった気の弱さかもしれません。

しかし、今、考えると、頼まれごとを取捨選択する「シンプルで明確なルール」を、無意識のうちに適用していたのかもしれません。

第1のルール スゴイと思う師匠や先輩の頼まれごとはできるだけ断らない

きっと私にはわからない何らかの理由があって頼んでくれている。例えば、私が知らないスキルや可能性が花開き、新しい出会いがある、結果として本業や人生にもメリットがあるといった意義が秘められている。

第2のルール 想定外で未体験未習得の、ちょっと苦手な頼まれごとから受ける

できることを頼まれるのは仕事の世界の延長で、どうしても自己イメージを固定化する繰り返し作業になりがち。自分でも、なぜこのことを自分に頼まれるのかわからないことこそ、視野を広げ、新しい世界観と触れ合うチャンス。

あまりにシンプルなルールなので、自分でもカミングアウトするのが恥ずかしいのです。とにかく、師匠や先輩に言われて「ええ、そんなこと、私にできませんよー」と思うようなことこそ挑戦のしがいがあるというのが私の実体験です。

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