世界一の親日国と言われる台湾において、「神様」として崇められている日本人が存在することをご存知でしょうか。今回のメルマガ『大川原 明の「アキーラ海外見聞録」』では、世界93ケ国を訪れた経験を持ち、元大手旅行会社の社員として世界中に駐在してきた大川原明さんが、日本統治時代の台湾で現地の人々ために汗を流し、死してなお村人たちを救ったという日本人巡査を紹介。その数々のエピソードを、彼が祀られている台湾中西部嘉義県の「富安宮」で自ら撮影した写真とともに綴っています。
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台湾で神様として崇められる日本人「森川清治郎巡査」が祀られる嘉義県の富安宮
台湾中西部の木材や製糖業が盛んな産業都市である嘉義市。嘉義の鉄道駅からタクシーで30分程西に進んだ所にある東石郷副瀬村に、日本人の森川清治郎巡査が土地神として祀られる富安宮がある。
日本ではほとんど知られていない森川巡査だが、台湾では多くの人々が知っており、尊敬している。毎日のように観光バスが押し寄せ、多くの台湾人が富安宮を訪れている。
※ タクシーは、嘉義の鉄道駅前にとまっているメータータクシーを利用し、運賃は700~800元程。帰りは、富安宮周辺にタクシーはとまってないので、富安宮の管理人にたのみタクシーを呼んでもらうのがよい。
村の発展に貢献
日本統治時代1897(明治30)年に台湾に渡り、嘉義県東石郷副瀬村の派出所勤務となった森川巡査は、当時治安が悪かった村の治安改善に尽力。また、識字率が非常に低かった村において、教育の重要性を認識し、私費を投じ、日本から教材を取り寄せ、教師を雇い寺子屋を開き、識字率の向上に貢献。
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自らを顧みず海で溺れかけている村人を助ける
ある時に、海の岩場に取り残されて身動きが取れなくなっている村人がいた。森川巡査は、自らを顧みず危険な海に入り負傷しながらも村人を救助。こういった自己犠牲の精神は村人達の尊敬される要因になった。
責任を感じ自決した巡査
台湾総督府が村に漁民税を制定した際に、役所に減税を求めるも聞き入れられず叱責を受けたのだが、村人の要望に応える事が出来なかった事に責任を感じ、巡査は拳銃を使い自決。後に巡査を尊敬していた村人達により富安宮が建設され、巡査は土地神として祀られる。
巡査の死後、1923年に副瀬村や近隣にコレラ脳炎などの伝染病が流行。当時の村長の夢に巡査が現れ、「環境衛生に心がけ、飲食に注意し、生水、生ものを口にせぬこと」ということを告げた。村長がその内容を村民に伝え、村民がこれを守ったところ、伝染病の流行を免れることができた。
日本統治時代に開園した嘉義公園
富安宮と併せて訪れていただきたいのは、嘉義市内にある日本統治時代1911(明治44)年に開園した嘉義公園である。公園内に嘉義神社が置かれたのですが、今も当時の社務所や灯篭、手水舎が残っている。社務所は嘉義史跡資料館になっており、貴重な資料が展示されている。
公園内には射日塔と呼ばれる12階建てのビルが公園内にあるが、展望台から嘉義市内の景色を見る事が出来るので展望台にのぼってみるとよい。公園の敷地は広大なので、脱水症状にならないようにお水を持参することをお薦めである。
映画「KANO」の関連地としても知られる嘉義
嘉義県は、2014年の台湾映画『KANO』の舞台としても有名。『KANO』は、日本統治時代に嘉義市に実在した嘉義農林学校野球部が昭和6(1931)年の日本の甲子園大会で準優勝を遂げた実話を元に製作された映画である。せっかくなので映画『KANO』の関連地も併せて訪れるとよいだろう。
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