症状のない人への健康診断は全くのムダ。日本医療の不都合な真実

 

私は、もう20年近く、健康診断もがん検診も受けたことはない。がんの検診は精度が上がって、例えば前立腺がんはPSAというマーカーを調べることにより、早期に発見できるようになった。患者数はうなぎ上りに増えたが、それで、治療して治って、死亡数が減ったと思いきや、前立腺がんの死者数は微増しているのである。やらずもがなの治療をされて、死期を早めているのではないかしら。

前立腺がんのほとんどは良性で、放置しても患者を殺すようなことは滅多にないので、欧米では見つかっても治療をしないことが多い。そうであればPSA検査もする必要はないことになる。欧米ではPSA検査はやめようという流れになっている。ここでも日本だけが法律で決まっている検査項目でないとはいえ、一般的な健診でPSA検査を行っていることが多い。近藤誠は長生きするコツはなるべく医者に近づかないことだと言っていたが、至言だと思う。

それでも、具合が悪ければ医者に行く方がいいし、多くのサラリーマンは会社からの圧力により、無理やり健康診断を受けされられることも多いだろう。その時は、レントゲン検査は受けたばかりだからとか、適当なことを言って、血圧測定や血液検査などの、体に侵襲を与えない項目だけを受けたらいいと思う。

歳をとると、検査項目がすべて正常という人はほとんどいなくなる。例えば、血圧は、日本高血圧学会の基準によれば140/90mmHg以上が高血圧という事になっているが、この基準では60歳以上の人の6割以上、75歳以上の人の7割以上が高血圧である。老人に関しては、マジョリティが異常で、マイノリティが正常という事になる。高血圧は長生きしないという思い込みで、この基準を決めたようだが、健康で長生きする人が正常で、病気で短命な人は異常という事になると、100歳以上生きた人だけが正常で、後の人は異常という馬鹿げた話になりかねない。

実は2000年以前は160/95mmHg以上が高血圧であったものを、基準を引き下げたのである。その結果高血圧と診断された人は激増して、降圧剤の売り上げも激増したのである。おそらく製薬学会と結託して、基準を引き下げたのであろう。ところが、老人は多少血圧が高い人の方が長生きするのである。高血圧と診断されても、自覚症状がなければ、降圧剤を飲む必要がないばかりか、飲めば副作用によってむしろ体の具合が悪くなる。

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