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夢も希望もない。いま中国で激増中の「寝そべり族」「ネズミ族」とは?

先日掲載の「毛沢東の文革時代に逆戻り。自ら進める変革で“ラストエンペラー”となる習近平」でもお伝えしたとおり、「文革2.0」とも揶揄される人民押さえつけに邁進する中国当局ですが、その歪みは徐々に中国全土を覆い始めているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、習近平政権による数々の締め付け策を列挙するとともに、深刻な「弊害」を紹介。その上で、共産党の一党独裁が続く限り中国に良い変化は生まれないとの持説を記しています。

【関連】毛沢東の文革時代に逆戻り。自ら進める変革で“ラストエンペラー”となる習近平

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年11月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】愚民化政策で無気力化が進む中国の若者たち

中国“塾禁止令”で講師が農産物のセールスに

日本と台湾がお互いの文化を学び合っている一方で、中国は鎖国政策および愚民政策に邁進しています。今年に入ってから様々な業界への締め付けをしてきたことは、すでにこれまでのメルマガでもその都度お知らせしましたが、ここで改めて一部を列挙しましょう。

芸能界関係

ゲーム業界関係

教育業界関係

中国で芸能界の規制強化 なぜ?
中国で次々と学習塾が閉鎖 政府の「塾禁止令」が狙うものは?

上記報道によれば、オンラインゲームの時間が制限されたことにより、ゲームプレイヤーを「育成する上海の専門学校は、およそ8割の生徒が退学し、廃校となった」とのことです。

「学習塾禁止令」が教育業界に与えた影響も大きかったようです。大手の学習塾は営業できなくなり株価は暴落。仕事にあぶれた講師たちは、農産物のセールスをしている、というのが冒頭の報道です。

塾禁止の理由は報道にあるように、各家庭の教育費軽減を図ることで、2人目、3人目を生ませたいという政府の思惑が絡んでいると言われています。日本もそうですが、学習塾にかかる費用は家計を圧迫するほどです。また、中国の場合、内容に見合わない法外な授業料を請求したり、講師の学歴詐称が横行したりと、中国ならではの問題も含んでいました。それでも保護者たちは、子供を学習塾に通わせたがります。大学入学のための統一テスト「全国統一大学入試(高考)」で高得点を取り、名門大学に子供を入学させたいと思うからです。

今回の学習塾禁止は、この統一テストの廃止をせずに学習塾だけを禁止したため、テスト対策が塾でできなくなってしまいました。そこで、保護者たちはさっそく塾ではなく家庭教師を雇うようになっているとの報道もあります。

しかし、学校での宿題の出しすぎ禁止や、学習塾の営業禁止は、愚民化政策以外の何物でもありません。こうした塾禁止令の一方で、「習近平思想」を教える授業が中学校などで義務化されていることは、すでに多くのメディアが報じています。

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また、報道によれば、「中国は経済の高度化を進めるためホワイトカラー層を育成しようと、大学入学定員を急速に増やしてきた。1998年に108万人だった大学入学者は今年909万人に達した」そうです。

中国で次々と学習塾が閉鎖 政府の「塾禁止令」が狙うものは?

しかし、ホワイトカラーの仕事は無尽蔵にあるわけではありません。一方で、工場などのブルーカラーの仕事は無尽蔵にあるといっても過言ではありません。そこで、需要と供給のアンバランスが生じ、就職にあぶれる若者が増えました。彼らは大卒でも仕事がない。仕事がなければお金がない。そこで彼らは、自然と「寝そべり族」になったり、「ネズミ族」になったりするわけです。

「ネズミ族」というのは、家賃が安い地下室しか借りられず、劣悪な環境の地下室での生活を強いられている人々のこと。「ねそべり族」とは、過酷な受験戦争に勝って、就職をしたとしても、「家を買わない」「車を買わない」「結婚しない」「子どもを作らない」「消費しない」「頑張らない」主義を持って、最低限の生活をする人々のこと。

996(朝9時から夜9時まで週6日間勤務)や007(午前0時から深夜0時まで週7日間勤務)といわれる過酷な労働や高圧的な職場でいくら頑張っても、都会で家を買うこともできない。

 

1カ月の収入は、大半が家賃で消えてしまう。およそ10年間で、中国の不動産価格は10~20倍に高騰したからだ。

 

物価も年々上がり、生活することすら容易ではなくなった。これまで夢を持ってひたすら努力してきたが、結局、日々過酷な環境が続いて救われることがない。将来は見えなくなった。

 

だったら「もういいよ、最低限な生存状態を維持すればいいだろう」と投げやりのような気持ちになっても無理はない。

こうした無力感が若者の間で蔓延しているそうです。

中国の過酷な受験戦争を勝ち抜いた若者が「寝そべり族」になってしまう理由

中国政府は、政府の都合で一人っ子政策を撤廃して3人まで産むことを許可する一方で、情報を統制し不都合な情報はシャットアウトしています。加えて、愚民化政策で国民を骨抜きにした結果、無気力な若者が急増しました。何の役にも立たない、時代錯誤な「習近平思想」を無理やり学ばされて、未来に希望など持てるはずもありません。

彼らは、日々をしのぐために日雇い労働者として搾取され使い捨てられるよりは、寝そべって消費しない生活を選ぶというわけです。もはや中国政府に振り回される人生を送ることを拒絶しているようにも見えます。

中国は人口が多い国でありながら、人を育てることができない国であるため、必要な技術は外国から盗むしかありません。そこで、各分野の専門家を厚遇して海外から呼び寄せるわけです。日本の学者が中国の提示する厚遇に惹かれ、中国に流れ、頭脳流出と日本で騒がれている所以です。

しかし、いくら技術を盗んでも、それを使う人材が育たたないのだから、技術を使いこなすことができません。中国が諸外国で受注したインフラ建設が、ことごとく中止や中断に追い込まれているのはそのためです。

中国共産党が専制政治を敷いている限り、中国が変わることはないでしょう。

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