米国が“放送事故”?あろうことか台湾のプレゼンを「カット」の大失態

 

それでは次に香港のサウスチャイナモーニングポスト紙です。香港の英字新聞ですが、通常は中国政府に厳しい記事を掲載しています。しかしこの問題については中立的な論調のようです。

サウスチャイナモーニングポスト紙(香港) 12月17日

 

先週、米国で「民主化サミット」が開催された。中国はこれに注目し、独自の国際民主化フォーラムを準備し、自国の政治体制に関する白書を発表した。

 

両者は、民主主義の定義について、根本的に異なる理解を示している。

 

アメリカの立場は何世紀にもわたって明確である。自由で公正な選挙、法の支配、独立した司法、譲ることのできない権利と自由の保証である。

 

中国側は、社会的・政治的偏向、上位1%への富の集中、責任の不在、統治効率の低さ、社会的信頼の低さなど、アメリカの民主主義が抱える問題を指摘することに主眼を置いてきたと主張する。

 

また、中国はアメリカの民主主義の概念は普遍的なものではなくすべての国家に適用することはできないとも主張している。これは、アメリカには中国を批判する権利はなく、控えるべきだという主張である。

 

しかし、これまでの中国のガバナンスに関する言説には、重要な要素が欠けていた。アメリカの統治概念に同意しないのであれば、代わりにどのような統治を望むのかという点である。

 

中国外交協会と清華大学中国フォーラムが主催した「民主主義に関する対話」では、参加者が「民主主義は結果(経済・社会の発展)によって評価されるべきだ」という点を繰り返し強調した。

 

どの政治体制も何らかの形で測定可能な「結果」を出すことを目的としている。アメリカの場合、リベラルな価値観が推進され、統治の中に含まれているかどうかということだ。

 

つまり現在の議論は、まず国民の経済的・社会的発展を優先するのか、それとも譲れない権利や自由といったリベラルな価値を優先するのか、という価値観の問題に絞られてきている。

 

この問いに客観的な正解はなく、多くの国が中国と同じ考えを持っていることをアメリカは理解すべきである。同様に、中国は、国内を含む世界中の多くの人々が、この点に関してアメリカの見解を共有していることを理解すべきである。

解説

香港サウスチャイナモーニングポストは中国の主張を認めてもいませんが、アメリカにも批判的です。

同紙は他の記事でもアメリカの民主主義サミットは分断を進めるものだと言っています。中国は自らの統治方法を世界に広めようとしているわけではないのに、米国は自らの正義を世界に押し付けようとしているというのです。

日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから

 

print
いま読まれてます

  • 米国が“放送事故”?あろうことか台湾のプレゼンを「カット」の大失態
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け