国際社会から孤立するプーチン。ロシアが「経済的に破綻した核武装国」となる日

 

戦争の目的、これに関してプーチンさんが言っていることもドンドン変わっていると思うんですよ。最初は東部二州(の親露派支配地域)を独立国として承認し、それぞれとの間に条約を結び、集団的自衛権を行使するということでロシア兵を送った。その地でウクライナ政府によりロシア人が虐待されているので彼らを助けるのだと。こういうのが目的だったと思うのですが、いまや全然そんなことではないですよね。キエフを落とそうとしているのは全然違う目的があるからだということを端なくも表している。

どちらにしてもロシア兵がたくさん死んでいるということ、その前に経済的に厳しくなってきていること、こういう制裁の効果なりウクライナ軍との戦闘の結果なりで、新しい条件が生まれているということだと思います。先週ですか、元ウズベキスタン大使をされていた河東さんの話をご紹介しましたけれど、プーチンさんは広いかつての旧ソ連領をもう一度回復したいと思っているのかもしれません。ところが周辺諸国との関係もうまくいっていないですし、その最たるものがウクライナなわけですが。考えてみると、クリミア半島をロシアに編入するという話が、私は最初違う感じを持っていたのですが、あまりにもロシアにとってうまくいきすぎて、ウクライナ侵攻というのはプーチンさんが誘い出された結果だったという可能性があるのではないかと、思っています。根拠はないですが、河東さんのお話で2014年のクリミアの時にはウクライナの軍隊はほとんどないに等しい状態だった、だから簡単に進駐できて、(ロシアはクリミアを)我が物にしてしまった。それができた。しかしその後、2014年以降この8年間にウクライナ軍は米軍の軍事顧問団などの力によって鍛えられてきたと。40万人くらいの軍隊が出来ている。これとロシアは今戦っているということなので。しかもいろいろな武器も送られている。直接介入はしないけれども、かなり強力で最新鋭の対戦車ミサイルまで供与されているということになり、そこにプーチンさんは誘い出されて引きずり込まれたということかもしれない。なんとなればこの戦争の結果は、おそらくウクライナ自身もこれからキエフに対する総攻撃を受けることになれば、本当に悲惨なことになる。ウクライナも地獄ですけれど、ロシアも地獄。これで世界経済から切り離されてしまえば、ロシアの政権は維持できなくなる。

維持できなくなっても核兵器は持っている。

経済的に破綻した核武装国という、この存在を世界はどうやってこなしていったらいいのか。どうやって付き合っていけば良いのか。さっぱり分かりませんね。プーチンさんはどんなに残虐非道なことでも命令一下やらせている。その自信の源にあるのは、ロシアがソ連以来の核兵器保有国だからですよね。核武装の国だからですよね。そのまま、核武装したまま落ちぶれていく、廃れていく国になるということなので、何が起こるのか、心配があります。まあ、中には「プーチンさんがやっていることの良い悪いは別としてすごい政治家なのだ」と評価する向きも、本会議などを伺っているとあるのですが、(彼はいずれ)ロシアを崩壊させた張本人ということになるんじゃないですかね。そんな気がしています。

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