プーチンが扉を開いた「戦争の時代」が“日本の時代”と断言できる訳

 

経済の時代から戦争の時代へ

このコラムを始めたきっかけは、高校・大学時代の座禅で、大戦争で多くの人がなくなる光景を見たことであり、その時代が来ることを何とか防ごうとしたが、恐れていたその時代が来たようだ。

というように、時代が転換した。ロシアのプーチン大統領は、世界を変えたようだ。それまで戦争などは、発展途上国や中東のこと、ヨーロッパでは過去のことで、経済発展をグローバルに進めて、温暖化を食い止めることが重要であるとみなしていた。

このヨーロッパや先進国の主流的な意識を大きく変えることになった。経済より安全保障であるというように。

ドイツは、ロシアの資源活用で経済発展は可能であり、軍備に金をかけるより、温暖化ガス削減に回すべきだという意見が多かった。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻で、その見方は破壊されて、軍備増強が必要であり、ロシアに資源を頼ることはできないとなった。

グローバル経済で工業生産のコストミニマムを目指して、工業を労働賃金が安い新興国にシフトしていたが、コロナ禍と戦争で物流網と生産が混乱して、物資の不足と価格の高騰を招き、先進国企業は、見直しを余儀なくされている。

企業も専制主義国でのビジネスが、突然の停止になるリスクを経験して、徐々に専制主義国から撤退することになる。自由主義国を選ぶか専制主義国を選ぶか、企業も選択するしかないようである。

ルノーもロシアの生産を中止した。スイスのネッスルもロシアでの販売を継続しているが、世界的な不買運動が出れば、ロシアでの販売を中止するしかない。

そして、ロシアでの投資を放棄させられて、西側諸国の投資家は、中国から投資マネーを大量に引き揚げており、極めて異例の規模で流出しているという。分離の時代が来たのである。

中国企業投資を引き上げる理由は、1つが、米国市場から締め出されることと、もう1つに、ロシアへの経済軍事援助から、中国へも制裁が近々行われる可能性があるからだ。

そして、ロシアとウクライナの停戦になっても、ロシアのプーチン大統領と取り巻きは、変わらないので、経済制裁が続き、中国も停戦後、ロシアとの経済軍事関係を復活させるからだ。

しかし、プーチン政権が続く限り、ロシアは再度ウクライナへの侵攻を行うことになり、中国とロシアなどの専制主義国と民主主義国との経済的な断絶は、ウクライナ戦争が終わっても続くことになる。

その上に、北朝鮮が米国まで届くICBMを発射実験して、実用化直前であり、世界の構図は、経済から軍事で評価される時代になってきたようだ。

ということで、インドはロシア軍事技術を享受しているので、ロシアを切れない。発展途上国もロシアからの小麦や原油が必要であり、ロシアとの関係を切れない。しかし、欧米諸国は、ロシアとの関係がある国に経済制裁を行う。このため、世界が二分することになる。

日本は西側諸国の一員であり、その制裁に加わることになる。市場規模は半分になり、企業の発展する規模も半分になる。戦争の可能性も高くなる。

このため、食糧生産と工業生産は円安でもあり、日本で作る方が安く、かつ物流の混乱も起こりにくいので、徐々に日本への回帰になるしかない。

そのような方向で政府も政策をシフトするしかない。日本は、食糧生産も物資も自国内でできるだけ自給する努力をすることだ。

中国という近傍に専制主義国があり、いつ戦争になるかわからない。中国が台湾侵攻時、日本孤立を意図して、海上交通を遮断することになる。このときでも国民の生命を守るためには、食糧の自給とエネルギーの自給は絶対必要になる。

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

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