絶体絶命の独裁者。「プーチンが核シェルターに移動」が意味するもの

 

「ああ、やっちゃった」と反省していたら、今週の日経新聞にも寄稿されていたダニ・ロドリック教授(Harvard University the John F. Kennedy School of Government)の「もしメキシコ政府とロシア政府が同盟を結び、ロシア軍をメキシコに駐留させるというアレンジメントが行われたら、アメリカ政府はそれを“民主国家であるメキシコの自由意志”として受け入れることが出来るのか?かつてのキューバミサイル危機の際の反応は、21世紀になっても変化しない。身勝手な国家安全保障論はそろそろ辞めるべきだ」と言っていたのを見て、「もしかしたら、あながち間違っていないのかも」とこちらも、身勝手な解釈を行いました。

これについて皆さんはどう思われますか?

少し国家安全保障論への批判じみた論調になりましたが、実際にウクライナ紛争が当事者以外の国際社会に与えている影響は、広義の安全保障問題と言えるかもしれません。

先週号で損得勘定にちなんだお話を展開しましたが、開戦から5週間経った今、そろそろウクライナ紛争による国際経済や国民経済への本当の影響が表れ出し、国家安全保障上の懸念が出てくるものと思われます。

それは、報道でも取り上げられる

  • 燃料・エネルギー費用の高騰
  • 穀物を中心とする品薄とそれに伴う物価の上昇
  • 金属製品の不足(住宅市場におけるウッドクライシスは、今後、金属・鉄鋼の調達困難へ)
  • (ロシアビジネスを行う企業にとっては)債権の回収不能という事態
  • 物流の遅延と燃料費の高騰に伴う諸物品の価格の上昇

といった経済的なもの、つまり私たちの家計を直撃しそうな影響です。

植物性油脂や小麦製品の品薄と価格の決定的な高騰は5月ぐらいに予測されていますし、ウクライナでの紛争が長引くことになると、さらに影響は広がるものと思われます。この点については、経済の専門家の方々からいろいろとご意見を聞きたいと願います。

そして、日本という観点からは、世界の目がウクライナに向いている間に、北東アジア地域の安全保障環境が大きく変化する兆しを見せています。

北朝鮮によるICBMと思わしき弾道ミサイル発射が頻発しているのも一例ですし、あまり報じられませんが、中国による尖閣諸島周辺への圧力の増大、ロシアの艦隊による津軽海峡の通過という、北方領土問題をにらんだ威嚇…。

それらすべてが具現化するかどうかはわかりませんが、テレビ番組などでいろいろとウクライナ問題について論争するよりは、ネガティブな影響が降ってきたときにうろたえない様にするにはどうするのかを議論・検討・計画しておくべきだと考えます。

最後にハードコアな安全保障の観点から、ちょっと気になる内容を一つ。ロシア軍の撤退や、ウクライナ側の善戦、欧米諸国を中心にしたロシア、およびプーチン大統領とその周辺への兵糧攻め(経済的な対ロ制裁の強化)、ロシアの孤立、そしてメディアを賑わす“対プーチンクーデターの可能性”のお話し…。

例を挙げればもっと出てきそうですが、これらはその内容の真偽のほどを吟味しなくてはいけないことはもちろんとしても、そのような情報が流布されることで確実にプーチン大統領とその親衛隊を追い詰めています。

その際、軍事的な分析として、「プーチン大統領は核兵器を脅しではなく、使うのではないか」といったお話が出てきますが、ここ2週間ほど、ロシア軍の作戦の指揮を執っているはずのショイグ国防相が表舞台に出てこないことで、多くの憶測を呼んでいます。

「プーチン大統領が切れて更迭された」「どうも重病で第一線を離れたらしい」といった根拠のないうわさもありますが、どうもロシアの有事の際、作戦基地となると言われているウファ(ウラル地方の都市)にある核シェルターに執務場所を移動させて、そこから作戦指揮を執っているようです。ここはロシアが核戦争を行う際の作戦基地で、プーチン大統領からの命を受けて実際に核ミサイルの発射を実行する責任者である国防相がそこに籠ったというのも、多くの憶測を呼んでいます。

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