ウクライナ危機の影で中国が“静かな”侵攻。島国スリランカが嵌った罠

 

アジア、アフリカに経済支援をしまくる中国

中国は昨今、アジア、アフリカの各地で同様の経済支援を行なっており、各地でスリランカ同様の「債務の罠」にひっかかる可能性があるのです。

中国は、近年、急激な経済発展をしており、それに伴いエネルギーや鉱物資源を大量に必要とするようになりました。

そのため、アジア、アフリカの資源を確保するために、アジア、アフリカ諸国に経済援助や投資を行っているのです。中国は欧米諸国に代わって、昨今、アジア、アフリカにおいて大きな影響力を持ちつつあります。

たとえば、最近話題になっているAIIB(アジア・インフラ投資銀行)です。
AIIBは、1,000億ドルを出資金として集め、それをアジア各地の開発に投資するという目的を持っており、中国版マーシャル・プランとも呼ばれています。第二次世界大戦後、アメリカがヨーロッパ諸国に大規模な支援をしたように、中国もアジア各国に大規模な経済支援、経済協力をしようということです。

中国が金をだし、その金を参加各国の開発投資に使おうという趣旨を持っています。そして、開発地域は、歴史的にシルクロードが通っていた地域が重点的になるとされています。中国は現在、世界第2位の経済規模になっています。その中国が主に中国の金を使って、経済支援や経済協力をするというのだから、世界各国にとっては悪い話ではありません。

AIIBに限らず、中国の世界経済における影響力は、近年、急激に大きくなっています。中国は、AIIBをつくるかなり前から、すでに世界各地で、相当な規模の経済支援や経済協力を行っています。中国がアジア地域で強い影響力を持ちつつあることは、すでに知られていますが、実はアフリカでもかなりの影響力を持つようになっています。

中国は2000年から、アフリカ諸国の48カ国の首脳を集めて「中国・アフリカ会議」を開催しています。これは中国からアフリカ諸国に経済支援をする代わりに、石油などの資源を中国に優先的に輸出することを協議した会議です。

この会議は、3年ごとに開かれており、開催地は北京とアフリカの都市が交代で担っています。この「中国・アフリカ会議」では、毎回、中国からの桁違いの支援が約束されています。2006年11月に北京で開かれた第3回会議では、中国はアフリカ諸国に対して50億ドル拠出、2009年の第4回会議では100億ドル、2012年の第5回会議では200億ドルと額を増やしていき、2015年の第6回会議ではなんと600億ドルもの巨額の拠出をすることになったのです。

600億ドルというのは、日本円で7兆円近い額です。日本のODA予算が現在5,000億円から6,000億円なので、その10倍以上のお金をアフリカ地域だけに拠出するというわけです。まさに「桁違い」の国際支援です。

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