ロシアのKGBといえば、プーチン大統領もスパイとして所属していたことで知られるソ連の国家保安委員会。どんなノウハウが教えられていたのか興味がある人も多いと思いますが、スパイたちが学んでいたという記憶術があるようです。そこで今回は、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で、その方法が詳細に書かれた本をご紹介していきます。
プーチンも学んだ?KGBスパイ式記憶術
カミール・グーリーイェヴ デニス・ブーキン 著 , 岡本麻左子 訳/水王舎
本書の内容は、実話に基づいたロシアの諜報部員養生カリキュラムです。プーチンも学んだであろう記憶術を中心に見ていきましょう。
記憶力を向上させるためにはイメージの力を活用しなくてはなりません。ある記憶力の高い人を調査したところ、その人は覚えるべきことを視覚的イメージに変換して地元の街の通りの情景に置いていたといいます。
つまり、数字であれば1は棒、2はアヒル、8は車というように数字をイメージしやすいものに変換し、そのイメージを織り込んだ冒険のような刺激的なストーリーにして記憶するのです。
視覚的イメージに変換していた。例えば、数字の1は体格のよい堂々とした男、6は足の腫れあがった男、8はでっぷり太った女、という具合だ(p56)
日本の学校では知識しか教えませんが、ロシアのスパイ学校では覚え方を教えていることが印象的でした。スパイは証拠を残してはいけないので、紙に書いたものや記録を残しません。頭の中に記録しておくのです。
では、いかに記憶していくのでしょうか。それはストーリー記憶術であり、場所記憶法であり、物事をイメージに変換し、ストーリー化したり場所に置いたりするのです。
スパイの場合には、偽装潜入に使うカバーストリーを完璧に記憶して常時引き出せなくてはなりません。ファーウェイの副会長のように複数の偽造パスポートを持っている場合もあり、複数のカバーストーリーを記憶することもあるのです。
二重スパイとなると、2つの組織に対して矛盾のない行動をとらなくてはならないので、さらに記憶すべきことは、複雑となるので、イメージとして覚えている部分も多いのでしょう。
キケロも自分が行う演説を覚えるときには場所記憶法を使っていた…それぞれの部屋に特定のテーマはアイデアを関連付けていた(p154)
この本を読んで、諜報機関の分析官は、集めた情報をインテリジェンス化するために、ビジネスマンと同じように仮説を立て、導き出された結論を検証のための実験を行っていることがわかりました。
諜報機関の分析官は自国の国益のために、敵国の動きから工作活動や秘密作戦を見抜き、それを阻止する妨害活動を計画し、実行するのです。
タイトルは記憶術となっていますが、内容はロシアのスパイ養成プログラムで、記憶術は4割程度でしょうか。スパイ大作戦のように「なお、この記録は自動的に消滅する」ので記憶が大事なのです。
ブーキンさん、グーリーイェヴさん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★☆☆(78点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
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