プーチンがキーウ再侵攻の準備も。ベラルーシ巻き込み戦況打開を図るロシア

 

南部ではウ軍は、反撃に出ている。ロ軍の防空システムを破壊したことで、ウ軍の戦闘機やドローンが自由に行動できるようになり、ウ軍優勢の状況になっている。これに対して、ロ軍は東部のイジューム方面から3BTGを南部に送り、南部の防衛を固めたいようである。ロ軍は現状10-13BTGをヘルソン州に展開しているが、包囲された1BTGがウ軍に既に降伏している。

また、南部ヘルソンのドニエプル川に架かるアントノフスキー橋を複数回砲撃して破壊、車両が通行できなくなった。もう1つ、ヘルソンに通じるインフレッツ川にかかるダリフスキー橋も破壊、その横にある鉄道橋も破壊して、ヘルソン市へのロ軍の補給ができにくくなっている。

このため、ロ軍は、インフレッツ川に船橋を複数設置したが、ドニエプル川の川幅が広く、船橋が構築できないので、フェリーで補給を行うようだが、ヘルソン市への十分な補給ができない。

そして、ヘルソン市近郊でウ軍は、ロ軍の防衛線を突破して市街地から10km地点まで到達したが、ここからヘルソンの市内の検問所や弾薬庫、兵舎などをパルチザンや砲撃、ドローンで破壊して、市内ロ軍を弾薬欠乏状態にするようである。市内ではパルチザンが市民にヘルソン市内から退避するようにと宣伝している。

ヘルソン市内への攻撃をいつ、ウ軍が始めてもおかしくない状況である。しかし、このこともあって、ウ軍も情報統制が厳しく、事態はよくわからない。

ヘルソン州の中部ロゾベでも、ウ軍はインフレッツ川に船橋を掛け、ロシア占領地に橋頭保を築き、その地に大量の部隊を展開しているが、この部隊でどうするのかも情報統制で分からない。どちらにしても、ヘルソン州全体で攻撃をウ軍は行うようである。

ザポリージャ方面でも、ウ軍が前進しているが、ロ軍の攻撃はまだない。このため、徐々に前進中である。この方面のロ軍はいないのであろうか、非常に手薄になっている。このままであると、メルトポリまで進軍できる可能性がある。そして、マリウポリである。

全体的にウ軍が押している状態であり、このため、ラブロフ外相は、ウクライナ全土に攻撃を拡大するというし、事実、ベラルーシ国境に多数のロ軍とベラルーシ軍がいる。

そして、ウクライナ全体を解放すると言うし、キーウ近郊や中部の都市を巡航ミサイルで攻撃して、市民を多数死亡させている。しかし、ウ軍の軍事施設などに攻撃できていない。

徐々にロ軍の巡航ミサイルの迎撃もできてきている。今後米国から新規の防空システムも届き、防空性能も上がるはずである。

一方、ロシアのグロナス位置衛星は、2006年以降更新できずに、位置精度がでないし、ロシアの精密な偵察衛星もないのであろう。ウクライナ国内の軍事施設などが見えないようだ。ロ軍は、模型飛行機レベルのオルラン10無人機しかないが、イランからドローンを供給されるようであり、このドローンがどのような物か、そのうちわかるのであろう。

また、ロシアは民間航空機の修理もイランで行うことで合意した。イランがロシア経済制裁の抜け道になってきた。イランの武器も多数、ロシアに提供されるのであろう。イランとロシアは本格的な同盟関係になったようである。

しかし、現状では、ロ軍戦死者数は4万人を超え、ロ軍の限界にきている。正規軍15万人、予備兵9万人、地方軍4万人、チェチェン軍1万人で、総兵力は30万人程度であり、負傷兵などを含めると12万から16万人程度が既に戦線離脱している。軍総兵力の約半分である。これでは兵員不足になる。民間軍事会社の手も借りるしかない。

このため、ロ軍は、東部か南部かの選択をするべき時期に来たようである。しかし、ここでキーウ方面に戦線拡大を行う可能性が出てきた。ロ軍の負けが見えてきたので、それを逆転させる手に出てきたようである。

キーウで新政権を樹立させて、停戦させたいのであろう。政権内の親ロ派がロ軍侵攻と同時にクーデターを行うのであろうか?疑問。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • プーチンがキーウ再侵攻の準備も。ベラルーシ巻き込み戦況打開を図るロシア
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け