プーチンがキーウ再侵攻の準備も。ベラルーシ巻き込み戦況打開を図るロシア

 

そして、攻勢にあるウ軍には、フェニックスゴーストが580機も供与される。このドローンの使用方法が不明であるが、5,000キロ上空を24時間以上も偵察できるドローンをウクライナの副首相が西側諸国に供与を要請していたが、この要請に米国は応えたようである。

ということで、「見えない不死身」という名前が示すように、偵察ドローンであり、ロ軍のレーダーでも捕捉できないのであろう。このドローンの目的はハイマースの標的の発見であり、米衛星で見つけた候補を低い位置で長時間監視して、標的かどうかを見極めるためのドローンである。このドローンで発見しハイマースやM270MLRSで叩くことで、ウ軍有利になってきたのだ。

対抗処置としては、ロ軍は偽装工作をする必要があるが、その工作ができていないようであり、現時点では正確に目標を見極めることができている。

このようにロ軍が負け始めたことで、プーチンは、欧州への天然ガスの供給を80%も削減して、ドイツやイタリアなどでエネルギー不足を起こし、ロシアへの譲歩で停戦を引き出したいようだ。欧州はロシア産天然ガスに55%も依存していたので、この大部分がなくなる。

ドイツは今まで、ロシアからの天然ガス供給維持のために、ウ軍への武器供与を控えていたが、ロシアが天然ガス供給を大部分止めたことで、一気に武器供与を積極的に行い始めた。

ロシアは、現状での停戦を主張しているが、ウクライナは2月24日以前の状態での停戦と、停戦条件で折り合わない。ウクライナを停戦に持ち込ませるには、ウ軍へ最新鋭の武器を供与し、自国領土を取り返すことが重要になってきた。積極的な武器供与で、短期に戦争を終わらせる方向に欧米諸国は一致して行動を開始したようである。

7月29日の米ロ外相会談で、ブリンケン米国務長官は、ロシアで拘束されている米国人の解放や、ウクライナ産穀物の海上輸送再開に向けた合意の履行を要求した。また、ロ側がウクライナでの支配地域併合の「計画を進めれば、さらなる重大な代償を払うことになる」と警告した。この代償というのが、ATACMSでの攻撃なのであろうとみる。

ということで、米国も、ハイマースに搭載できる300キロ以上の射程があるATACMSの供与を行う方向で検討しているが、秘密裏に数本の提供をしたとも見える。これを使い、クリミア大橋(ケルチ大橋)の攻撃を計画するのであろう。ロ軍とベ軍がキーウ方面への侵攻を開始した時点で、攻撃に出る可能性がある。

そして、ドイツは天然ガスの代替で原発や石炭火力など稼働して、今年の冬を乗り切る計画である。

一方、ウクライナと同じようなロシア衛星国は、ロシアの侵略に身構えることになり、カザフスタンは、脱ロシアになり、ウクライナを支援する。ポーランドはポーランドの持つ232両の全P-91S戦車をウ軍に供与して、韓国から大量の戦車を輸入することにした。

ウクライナの食糧輸出では、オデーサ港にロ軍が執拗にミサイル攻撃を行うので、NATO軍とトルコなどが、黒海で合同演習を行い、ロ軍が航路妨害などをした場合の対応を行うようである。ロ海軍の動きを封鎖するようで、特にキロ級潜水艦を標的にしている。

しかし、一歩、核戦争に近づいたような気もする。ロシアのプーチンがいなくなるまで、戦争を拡大する可能性も否定できない。

第2次大戦後の秩序維持ルールが大きく試される事態になり、世界は核戦争への覚悟を必要とし始めた。限定的核戦争にはなる気がする。

ということで、日月神示とヨハネの黙示録の時代である。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2022年8月1日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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