MAG2 NEWS MENU

Washington, DC. USA. 1990

あれから50年。米ニクソン大統領の訪中は中国でどう扱われているのか?

日中国交正常化と同じ1972年に行われたニクソン大統領の訪中は、当時世界中の多くの人が注目する事柄でした。このニクソン訪中について、現在の中国ではどのように触れられているのでしょうか。中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんが、自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』の中でその現状を紹介しながら、中国とアメリカに関係する大きな「出来事」についても紹介しています。

この記事の著者・黄文葦さんのメルマガ

初月無料で読む

ニクソン訪中について、中国ではどのように扱われている?

Question

日中国交正常化と同じ年に行われたニクソン訪中について、中国ではどのように扱われているのでしょう?

黄文葦さんからの回答

70年代の中国では、ニクソン大統領の知名度はかなり高かったと思います。昔、うちの父がよく中国の海外ニュース新聞である「参考消息」でアメリカとニクソンのニュースをチェックしていました。当方は子供の頃に中米友好、中日友好の歌を覚えました。そのような時代は永遠に過ぎ去ってしまったのでしょう。

日中国交正常化と同じ年に行われたニクソン訪中について、現在、中国マスコミはあまり多く触れていないですが、一つアメリカに関連する出来事が大きく取り上げられました。それは、2022年9月19日、中国の王毅国務委員兼外相がニューヨークでキッシンジャー元米国務長官と会談したことです。

王毅は、キッシンジャー博士がまもなく100歳の誕生日を迎えることを祝福し、博士は中国人民の旧友であり、中米関係の確立と発展に歴史的な貢献をしてきたと伝えました。中国は、キッシンジャー博士が常に中国に友好的であること、中米関係に信頼を寄せていることを評価します。一刻も早く正しい米中関係に戻すために、博士にはこれからもユニークで重要な役割を担っていただきたいと述べました。

王毅は、今年はニクソン大統領の訪中と「上海連合公報」の発表から50周年であり、中国と米国は50年間の交流の有益な経験を真剣に総括すべきだと述べました。

この記事の著者・黄文葦さんのメルマガ

初月無料で読む

中国マスコミのコメントによると、「ニクソンの訪中により、中米両国は正式に外交関係を樹立し、機能不全に陥っていた中米関係に終止符を打った。中米両国が外交関係を樹立したことにより、アジア太平洋地域の安定と平和が維持され、アジア太平洋地域がより急速に発展するようになり、中米関係の発展とともに、両国は多くの分野で協力を始め、両国の発展を促進することになった」。

ニクソンの中国訪問を肯定的に評価する一方で、現在のアメリカ当局の中国に対する「敵対的な態度」を強く批判しています。「米国は自国の利益のために中国を繰り返し挑発し、中米関係の発展を損ねてきた。最近では、中国の警告にもかかわらず、米国議員が台湾地区を訪問したことまでになり、台湾海峡の状況が変化し、中米関係がますます緊迫している」。

中米関係がたいへん緊張しているときに、中国の外相がキッシンジャーに会って、どんなシグナルを発したのか、興味がないです。おそらく中国は中米関係をこのまま悪化させたくない、中国外相がキッシンジャーに会ったのは、中国がアメリカとの和解を望んでいるというシグナルを送るためでしょう。

一方では、中国は、口先では米国に厳しいですが、実際には米中関係をこのまま悪化させたくない、何しろ米国は世界で最も影響力のある国なのでしょう。キッシンジャーと懐旧談をすることは、アメリカとの和解を図ろうとする婉曲的な表現だと思われます。

この記事の著者・黄文葦さんのメルマガ

初月無料で読む

image by:mark reinstein / Shutterstock.com

黄文葦この著者の記事一覧

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 黄文葦の日中楽話 』

【著者】 黄文葦 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第3月曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け