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ほとんどの日本国民が知らぬインドへの武器輸出。国内でなされぬ議論

過熱する旧統一教会問題を巡る報道とは裏腹に、国内のメディアがほとんど報じることがない「国の方向を左右する大きな問題」をご存知でしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、香港の有力紙が伝えた日本政府によるインドへのステルスアンテナ輸出に関する記事を紹介。その上で、このような重要なトピックを海外報道で知ることの危うさを訴えています。

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インドへの防衛装備輸出を始めた日本

海外の報道を見て「日本はこういった方向に向かっているのか」と発見する事があります。

日本国内がワイドショー的に枝葉末梢の報道をしている中で、海外は本質的な日本の変化を伝える報道する事があるからです。

今回、ご紹介する香港のサウスチャイナモーニングポスト紙の10月15日の記事もそういった類です。

日本、ステルスアンテナをインドに輸出へ

 

日本は、ステルスアンテナをインドに輸出することを計画していると政府筋が10月15日に発表した。

 

輸出する予定の「ユニコーン」は、角型の構造物に多数のアンテナを収納したシステムである。2022年に就役する海上自衛隊の新型護衛艦に搭載される。

 

ユニコーンシステムは、アンテナを1つの構造物で覆うことで、敵の電波の反射を抑えることができる。日本とインドは、9月に東京で行われた外務・防衛閣僚会議「2プラス2」の際に、ユニコーンシステムの移転について協力することで合意した。

 

これは2015年に締結された防衛装備品・技術に関する日印協定に基づく最初の輸出となる。

 

この輸出は、インドがロシアへの軍備依存を減らすことを奨励し、中国の軍事的台頭を踏まえて日本とインドの防衛関係を強化することが目的であるという。

 

日本とインドは、オーストラリアと米国を含む4つの安全保障枠組みである「クワッド」の一員であり、インド太平洋地域における中国の主張の高まりは、両国の問題の1つとなっている。

 

日本は国内の防衛産業を支えるため、防衛装備品や技術の輸出を増やしたいと考えているが、戦争を放棄した憲法があるため、厳しい条件を設定している。

 

例えば、防衛装備品の移転に関する包括的な3原則では、攻撃ではなく監視や掃海などの目的で使用されるべきであるとされている。

 

今回の協定は、故安倍晋三元首相が率いる政府が2014年に、長年にわたる武器禁輸措置を初めて大幅に見直し、防衛装備品や技術の移転に関する規則を緩和したことに伴うものだ。

 

インド以外では、日本はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストラリア、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムの11カ国と同様の防衛装備移転協定を締結している。

 

今年末に予定されている日本の長期安全保障・外交政策ガイドラインである国家安全保障戦略の改定を前に、与党の自民党は、より多くの装備を輸出できるように規制を緩和することを提案している。

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解説

かつて、日本には「武器輸出三原則」がありました。しかし2014年4月1日にそれに代わって「防衛装備移転三原則」が閣議決定されました。

武器輸出三原則は、基本的に武器の輸出や国際共同開発をほぼ認めない内容でした。

それに対して、防衛装備移転三原則は、武器の輸出入を基本的に認めて、その上で禁止する場合の内容を規定する内容となっているそうです。

今回のレーダーは基本的に監視に使われる防衛装備なので全く問題ないのでしょう。

私は現在の国際情勢を鑑みて、今回のインドへのステレスアンテナ供与に反対するものではありません。韓国も武器輸出には力をいれています。

しかし、こういった武器・防衛装備の輸出が国内でさしたる議論もなく事もなく進んでいるという事には違和感を覚えます。

武器、防衛装備品の輸出、輸入はその2国間に特別な関係を生みます。それは一種の軍事同盟のような要素があります。

今回のような日本がとっている軍事的、戦略的な方向性、日本の新聞、TVがあまり報道しておらず、海外の新聞から教えられるというのもおかしな話です。

統一教会と政治家の深い関わりで大騒ぎしているマスコミ。個別の政治家を取り上げて細かい取材を行う事よりも、こういった国の方向性に関する大きな問題をもっと深く取り上げてほしいと思います。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』10月16日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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