世界の人口が80億人となった現代、これからのビジネスや人生はどうなっていくのでしょうか。今回、メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、人口統計の最新データをプロが分析し、2100年までの世界を予測する一冊です。
2100年までの世界が見える⇒『人類超長期予測』
『人類超長期予測』
ジェニファー・D・シュバ 著/栗木さつき 訳 ダイヤモンド社
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、ついに80億人を突破した世界人口が、今後どうなって行くのか、プロが予測した一冊。
著者のジェニファー・D・シュバ氏は、人口動態と安全保障に関するエキスパートで、米国防総省の人口統計コンサルタントを務める人物です。
未来を予測する一番確実な方法は、人口統計だとよく言われますが、本書はその最新データと意味をプロが読み解いた、注目の一冊です。
高齢化が止まらない中国、国外移住者世界最多のインド、人口ボーナスなき増大を続ける中南米、80年後は地球人口の3分の1が住むと言われているアフリカ…。
人口面で注目を集める地域で、今何が起こっているのか、今後の展望はどうなのか、詳細な分析が加えられています。
これを読む限り、やはり最重要はアフリカ、インド、中国のようですね。
また、何が地域の不安定要素となるのか、何が人口増加/減少の原因となるのか、今後、都市部でのビジネスや人生はどう変わるのか、ヒントが満載の一冊です。
世界の移住のトレンドなどもまとめられており、さすがは人口統計のプロですね。ピンポイントですが、移住促進の担当者は読んでおくといいと思います。
著者がビジネスのプロではないので、安全保障や社会問題への言及が多く、ビジネス面での言及は少なめですが、デキるビジネスパーソンが読めば、どの地域、どの養素にチャンス/リスクがあるのか、よくわかると思います。
2100年までに世界がどう変わっていくのか、日本はどうするべきなのか、政策担当者、経営者は特に注目の一冊です。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
世界の都市人口のほぼ半分が、人口50万人未満の地域に住んでいる。そして、人口1,000万人を超える「メガシティ」に住んでいるのは8人に1人だ
だからこそ、「ユースバルジ」[人口ピラミッドの横棒グラフで年少者(ユース)が膨らんでいる(バルジ)様子を指す]の年齢構造に、大勢の研究者が関心を寄せているのだ。(中略)注目すべきは15~29歳の世代で、政治的にも経済的にも社会的にも活発に行動を始める若者たちだ
若者が変革を求める3つの領域
1.有意義な仕事を見つけ
2.親から独立して所帯を持ち
3.統治者に対してある程度は意見表明ができる
国が若い人口構造を抜け出し、高齢化するにつれ、民主化する見込みは大きくなる。(中略)チンコッタの研究によると、中位数年齢が25歳以下では、国際NGO団体フリーダムハウスによって自由と評価された国が、その状態を10年以上維持できることはまずない。中位数年齢が15歳の時点で、自由と評価される可能性がある国はたったの8%ほどだ。中位数年齢が25歳を超える国の可能性は30%強にすぎないが、中位数年齢が35歳になると可能性は75%に上昇し、中位数年齢が45歳に達した国々では90%になるという
世界1位はメキシコからアメリカへの移住者で、その数は1,200万人弱、2位がシリアからトルコで370万人、3位がインドからアラブ首長国連邦(UAE)で340万人、4位がロシアからウクライナで335万人、5位がその逆(ウクライナからロシア)で330万人
一般的に、人口統計学的な「機会の窓」は、出生率が低下したあと、15未満の子どもの割合が総人口の30%未満で、65歳以上の高齢者の割合が総人口の15%未満のときに開くと考えられている。中位数年齢は26歳から40歳程度だ。このチャンスが訪れているあいだに、国は健康、教育、経済成長、政治的安定というボーナスを得る
2018年から2050年にかけての世界の都市人口増加において、インド、中国、ナイジェリアが35%を占めることになるだろう。インドでは4億1,600万人、中国では2億5,500万人、ナイジェリアでは1億8,900万人、都市生活者が増加すると見込まれている
個人的には、都市の定義が国によってまちまちだという事実と、地域の不安定さを決める若者の動向の読み解き方が勉強になりました。
今後の投資のチャンスを求める向きには、アフリカ地域の最新の人口動態が役に立つと思います。
ぜひ読んでみてください。
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