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処方薬の販売だけじゃない。アマゾンが「本気で狙っている」モノ

医療業界も「アマゾンエフェクト」によって変わってしまう可能性が出てきました。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では、MBAホルダーの理央 周さんが、米アマゾンが「薬局ビジネス」への参入を検討していることについて詳しく解説しています。

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「なぜ、アマゾンは、薬局ビジネスに参入するのか?」~医療産業のIT・DXへのマーケティング、メリットと考えるべき点

米アマゾン・ドット・コムが、中小の薬局と組んで、日本で処方薬のネット販売への参入を、検討していることが分かった、と昨年報道されました。

今月下旬から、電子処方箋が運用されることもあり、医療にもデジタル化の波が、押し寄せてきています。

日本経済新聞によると、アマゾンが検討している新しいサービスでは、オンラインで、医療機関での診察をしたお医者さんが、受診した患者さんに、これもオンラインで処方箋を発行する、というイメージなのでしょう。

その処方箋を、アマゾンのプラットフォーム上で、A、B、Cどの薬局がいいのかを相談して、どれにするかを決め、決めた薬局から自宅に配送してもらう、という仕組みです。

以前は、処方薬は医者で出してもらうものでしたが、今は、医薬分離が進んで、医者に書いてもらう処方箋をもって、調剤薬局に行かなければなりません。

大半の場合は、病院の前や近くにはありますが、それでも一度外に出て、多い時はいくつかある調剤薬局から選んで、そこで受け取る、という感じです。

このコロナ禍の中で、医療もオンラインで行うという特例措置がでましたが、これが本格的にできるようになると、もし、外出が難しく、オンラインで医療を受けることができたとしても、出してもらった処方箋をもって、調剤薬局まで出向かなければなりません。

今も一部大手の薬局はオンラインで服薬指導をして、場合によっては薬の配送もしているそうですが、多くの薬局では即日配送だと、300円ほどかかるそうです。

アマゾン薬局ができれば、この手間を省くことができるようになるので、その意味では、顧客の使い勝手があがり、また配送料も安く設定してきそうです。

今はオンラインでの医療に関しては、医者側は積極的ではなさそうですし、患者側も慣れていませんが、便利さがあり慣れてくると、浸透することも十分考えられます。

そうなると、医薬業界の市場も大きく変わりそうです。このように、アマゾンの進出によって、市場が変わってしまうことを、“アマゾンエフェクト”と呼びますが、また発生する可能性はありますよね。

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アマゾンはともかく、診療のオンライン化は避けて通れません。ITの浸透による、消費者行動の変化は、医療にも及んできています。

そしてIT化の動きは「不可逆」で、元に戻ることはないでしょう。

IT導入の設備投資に、積極的なお医者さんや薬局にとって、早く取り入れる方が有利になると思われます。

また、アマゾンとしては処方薬の販売に加えて、顧客データが収集できることが重要だ、と考えているはずです。

これまでは、本や雑貨、ビデオや音楽といった商品やサービスにおいて、ユーザーの好みを分析して、サイトを改善したり、レコメンデーションを出していました。

私が在籍していたころから、それがAmazonの最大の差異化ポイントです。

今回はそれに加えて、ユーザーの健康に関する個人情報が、入手できる可能性もあります。

消費者の健康に関する関心や興味は、ますます高くなっています。

ユーザーが処方箋で調剤薬を入手する、ということは、そのユーザーが、どんな健康への関心事項を持っているかが、推測できることになります。

これは私の推測ですが、こうなると、「この人には、健康に特化したスマートウオッチを、レコメンドしよう」などと、AIを使った仮説構築による、レコメンデーションが、できるようになるでしょう。

一方で、オンライン薬局を利用する患者側は、自分の病気や怪我の中身も、データとして提出することになります。

機微を含む個人情報になるので、アマゾンに限らず、患者側は、個人情報が守られるのか、考えなければならない時代になりそうです。

IT化、DXの浸透は避けられない動きです。企業側は、ITを取り入れることで、顧客の利便性をあげたり、業務を効率化したいところです。

しかし、個人情報の取り扱いなど、顧客も気がつかない、プライバシーへの配慮を、より注意しなければならない時代になりました。

また、顧客側も便利になるなら、デジタルで買おう、という傾向は増すでしょう。

しかし、ネットでの購入は、自分がさらけ出したくない情報を、開示しなければならないことなど、注意すべきことが増えるのも事実です。

便利になるのは嬉しいですが、それに伴って考えなければならないことは、当たり前ですが増えていきます。

インターネット、ITの利便性の向上は、“ただ”ではない、ということを考えさせられる、事例でした。

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image by: Shutterstock.com

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