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こうまで違う台湾と韓国。何が少年工と徴用工の差を分けたのか?

1965年の時点で解決済みであるのにもかかわらず、2018年に韓国により蒸し返されて以来対立が続いている元徴用工問題。ここに来て岸田首相が「条件付き」での謝罪を検討していると報じられましたが、果たしてそれは国益にかなうものなのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、元徴用工問題について日本が韓国に謝罪する必要などない根拠を紹介。さらに謝罪することによって日本が被るデメリットを解説しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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韓国徴用工と台湾少年工。日本の扱いが180度違ったのはなぜか

政府「おわび」継承説明へ 韓国肩代わり案後押し

韓国の「元徴用工訴訟問題」について、韓国政府が日本企業への賠償を韓国財団に肩代わりさせる解決案を決定すれば、日本側は過去の政府談話を継承し、「痛切な反省」と「お詫びの気持ち」を示す方向で検討に入ったと、共同通信が報じました。

左寄りの共同通信の報道ですから、これは韓国側の期待を高めるとともに日本政府に謝罪を迫る「ご注進報道」の一種かもしれませんが、もし本当にこのような対応を行えば、それは日本が「外交で韓国に負けた」ことを意味します。

たとえ金銭を払わなかったとしても、徴用工問題で日本の責任を認めたことになり、必ず後世に禍根を残します。「徴用工問題で日本が罪を認めた」と喧伝され、慰安婦像同様、徴用工の像が世界各地に作られることになるでしょう。そしていつか再び、新たな金銭訴訟に発展していくはずです。

そもそも、2015年の日韓慰安婦合意は、当時の岸田文雄外務大臣が締結したものです。しかしその後、韓国で朴槿恵政権が崩壊して政権交代が起こり、親北の文在寅政権が誕生すると、この合意はあっさりと反故にされ、日本政府が10億円を支出した「和解・癒やし財団」は解散させられました。

言うまでもありませんが、現在の尹錫悦政権における与党「国民の力」は、朴槿恵元大統領の「ハンナラ党」を前身とする保守派です。かりに日本が反省を示すことで尹錫悦政権が「永久解決」を宣言しても、いずれ左派政党への政権交代が起これば、必ずひっくり返され、「日本が反省を示した」という事実が蒸し返され、再び大きな揉め事になることは疑いありません。100%そうなると断言してもいいでしょう。

日本人の多くもそう思っているはずです。にもかかわらず、岸田政権が徴用工問題で再び同じような過ちを繰り返すとすれば、これはほとんど確信犯的に「売国行為」を行っていることになるでしょう。日韓慰安婦合意も、韓国がいずれ裏切ることを知っていて、あえてやる必要もない日本謝罪と支援金拠出をしたのではないかと勘ぐってしまいます。そしてその両方に絡んでいるのが岸田文雄首相だということになるわけです。

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慰安婦問題にしても、日本が謝罪や賠償を行う必要などまったくないものでしたが、徴用工問題はさらに日本に何ら責任のない、しかも明らかに1965年の日韓請求権協定で日韓双方が「完全かつ最終的に解決された」と確認している事柄です。

元徴用工問題は、2018年10月、元徴用工とされる4人が新日鉄住金に対して行った損害賠償請求で、韓国大法院が原告勝訴の判決を出したことが元凶となってきました。当時の安倍首相は1965年の日韓請求権協定をふまえて「国際法上ありえない判断」だと即座に述べましたが、これはそのとおりです。

そもそも、この原告の元徴用工4人は、日本側の募集に応じた労働者であって、強制的に労働させられたわけではないのです。にもかかわらず、強制的に連れてこられ労働されたかのように振る舞っているのは、「慰安婦」と同じ構図です。

韓国「元徴用工訴訟」の原告が「元徴用工ではない」矛盾

現在でもそうですが、労働の原理からいえば、低賃金のところから高賃金のところへと労働者は移動するのが一般的です。そしてその原理どおり、日韓合邦後、半島の労働者は内地の日本列島にぞくぞくと流入していったのです。これら低賃金労働者は、内地の失業者を増やしただけでなく、犯罪者となって悪事をする者も少なくありませんでした。

中央政府は、朝鮮総督府に対して、なんとか朝鮮半島の人間が日本に流入しないよう、制限または阻止してほしいと協議や要請をすることもしばしばだったのです。強制連行どころか、阻止したいほど勝手に流入してきたわけです。

日韓合邦後、朝鮮人が日本へ入国するには、今と変わらぬ厳しい規制がありました。しかし、当時の日本政府当局者は、朝鮮人を植民地としてみなす法的根拠がなく、あくまで日本国籍を有する者とみなしていたため、実際には容易に入国できたのです。当時の内務省警保局は、朝鮮人に対して、「渡航阻止の手続きは政策的な問題であり、何等法的根拠に基づく絶対的のごときにあらず」と見なしていました。

ところが、あまりにも朝鮮人が日本へ殺到したため、朝鮮総督府は、日本企業の朝鮮人募集攻勢に対して、「労働者募集取締」という行政指導を行い、厳しく規制しました。旅行も、日本をはじめとする海外への渡航は厳しく制限していました。

この渡航制限制度に関して、当時の民族紙「東亜日報」(1921年9月9日付)は、社説で不満を述べています。「朝鮮人全体を無視し侮辱する悪法」だとして、撤廃キャンペーンまで張ったのです。

こうした動きに押されるかたちで、1922年12月5日、朝鮮総督府は「府令第一五三号」を出して渡航制限制度を撤廃せざるをえませんでした。ただ、やはり朝鮮人が日本本土に殺到している状況を鑑みて、警保局と総督府は規制を厳しくして事実上の渡航制限をかけるようになります。

これに対し、1924年5月17日、釜山港では渡日制限撤廃を訴える5万人ほどの市民集会が開かれ、朝鮮労農総同盟、朝鮮青年総同盟の二団体が、内務省と総督府を相手どって渡日制限撤廃の抗議を繰り広げています。

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一方、いくら渡日制限をしても、日本への不法な密航は増え続けました。そのため、朝鮮総督府は1928年から水上警察を動員して出発港と各地方の末端警察機関による二重渡日取締を行いました。とはいえ、それでも朝鮮人は日本に殺到し、規制することはかなり難しいものでした。結果、1925年に13万人弱だった在日朝鮮人は、1933年には46万人にも増えていました。

日中戦争に入った後の1938年4月、国家総動員法が成立し、翌年の7月、具体化のための「国民徴用令」が施行されました。しかし、これは内地の日本人に対してであり、朝鮮には適用されませんでした。内地企業が自由に朝鮮人労働者を募集できるようになったのは、その後のことです。これを「統制募集」と言います。

しかし、「内鮮一体」のスローガンの下で、朝鮮人の渡日取締撤廃と規制緩和を要求する声がしだいに大きくなり、一時は部分的な規制緩和を強いられるほどでした。それもあって、1934~37年までの渡日者数は10万人を超えていたのです。大東亜戦争中の台湾や朝鮮への渡日規制は、どちらも同じように強化されていました。しかし、台湾ではそれが成功し、朝鮮では緩和せざるをえない事態となっていたのです。

1942年2月からは、「官斡旋」がはじまりました。しかしこれは強制ではなく、斡旋に応じたければ応じればいいし、転職も自由でした。

朝鮮に、日本人と同じ徴用令が適用されたのは、1944年9月からです。先の元徴用工の原告が日本企業の募集に応じたのはこれ以前のことであり、強制的な徴用ではなかったのです。もっとも、この徴用令にしても、日韓間の航路は危険水域を通過するため、人的な流通はそれほどありませんでした。

その一方で、不法な密航を含めた渡日は増え続けました。実際、1940年に渡日した朝鮮人は119万人、45年には210万人と、急増しています。

「強制連行」どころか、いくら渡日を規制しても、朝鮮人はみずから希望して日本列島に殺到したというのが歴史の真実なのです。日本への渡航や潜入を阻止する必要はあっても、朝鮮人だけをさらって強制連行する必要性などなかったわけです。

このようなことが資料などからも明らかであるにもかかわらず、なぜ謝罪と反省が必要なのか、理解に苦しみます。

1944年9月からの徴用令にしても、当時の朝鮮人は日本人でしたから、内地の日本人と同様に動員されただけにすぎません。内鮮一体で、別け隔てなく日本人として扱っただけです。

そもそも差別するなら「創氏改名」によって日本人名を名乗らせるなどナンセンスです(しかも創氏改名は強制ではなく届け出制でした)。現在でも韓国人が通名を使った場合、日本人と見分けがつきません。

大阪大学よりも早く朝鮮半島に帝国大学をつくったのも、同様の理由からです。欧米の植民地支配はたいていが愚民化政策です。オランダのインドネシア支配では、徹底的な愚民化政策が行われ、インドネシア人への教育が禁止されました。優秀な人材が表れて、独立や宗主国への敵愾心を煽られては困るからです。中国の少数民族支配も、同様に愚民化政策と洗脳が進められています。

しかし日本の朝鮮統治はまったく異なるものでした。韓国人はよく日本の統治時代を「七奪」などと表現し、国土や国王、名前などを奪われたと主張しますが、私に言わせれば「七恩」です。

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1990年代初期に、「台湾少年の強制連行」が取り沙汰されたことがあります。台湾人の子供たちが連れ去られ、飛行機の建設工場で死ぬまで働かされた、と韓国の有力紙が報じたのです。東亜日報(1991年10月23日)では、次のような日本の大学教授の発言を紹介しています。

「神奈川県で12歳から18歳の台湾少年工8,000名が、軍需工場で強制労働させられていたことが明らかになった。8歳の少年の強制労働というのは、ひょっとすると日本全国で初めて確認されたことではないだろうか」

戦争末期、台湾の少年工が名古屋や群馬の戦闘機工場で働いていたのは事実です。しかし彼らは、台湾での筆記試験や身体検査で厳しく選抜され、校長と両親の許可を得て来日したのでした。

強制的に連行されたのではなく、自分の意思で狭き門を突破してやってきた誇り高いエンジニアだったのです。しかし戦後、台湾の権益は中国人に独占され、最先端の技術者たちはほとんどそのハイテクを生かすことができませんでした。

「自分たちが実力を発揮できていれば、台湾の産業はもっと発展していたはずだ」

こういう自負を抱く彼らは、戦闘機「隼(はやぶさ)」や「雷電」の製造に従事した自分たちの過去に誇りを持ち、今でも「高座会」という団体をつくり、数千人の会員を有しています。

1994年には神奈川県大和市で高座会大会が開かれましたが、2,000人以上の会員が来日したために交通渋滞が起こったほどでした。東亜日報による「強制連行」の報道が出たときも、「会長が会員を引き連れて新聞社に抗議に行く」という話まで出ています。

【関連】「最期は日本人として死にたい」日本国籍を奪われた台湾人の深い悲しみ

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