ペットも長生きになってきて、犬や猫もがんを患う子が増えています。複数の飼い猫を飼っていて、抗がん剤治療を始めた子がいる場合、他の猫への影響についての考え方は獣医師によって違うようです。今回のメルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』では、ボストン在住医学博士のしんコロさんが、読者からの質問を受けて「しおちゃん」のケースについて回答。抗がん剤の種類によって対応が変わってくる理由を説明してくれます。
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猫の多頭飼いと抗がん剤治療について、しんコロさんのお考えを訊かせてください
Question
猫の多頭飼いと抗がん剤治療について、しんコロさんのお考えを訊かせて下さい。抗がん剤治療を開始すると、多頭飼いの場合は隔離が必要と考える獣医師から、いつもより少しマメにトイレ掃除をすればOKという獣医師まで、色んな考え方がありますが、しんコロさんはどのようにお考えですか?
しんコロさんからの回答
ご質問ありがとうございます!ご質問の内容は、つまり抗がん剤を与えた子の糞尿を通して、別の子が抗がん剤に暴露されてしまうということですね。
質問者さんのおっしゃるとおり、獣医によってこの質問の回答はかなり変わってくる傾向があります。僕もこの質問は抗がん剤を処方した獣医に投げかけたのですが、彼は「少しマメにトイレ掃除をすれば大丈夫」という考え方でした。
また、これは抗がん剤がどれだけ代謝されるか、どれくらいのスピードで代謝されるか(Pharmaco Kinetics=薬物動態)でも変わってきます。しおちゃんに与えるクロラムブシルはほとんどが肝臓で代謝されるということが知られているので、糞尿を介して他の猫に影響を与える可能性は低いという意見もあります。
抗がん剤を多頭飼いの環境で使う場合は、それぞれ抗がん剤の代謝の特性や糞尿への混入がどれくらいあるかを獣医に訊いてみるのが良いと思います。
ということで、一概には答えはありませんが、個々の抗がん剤によって対応を変えるのが良いと思います。我が家の場合はクロラムブシルなので、飲ませてから24時間以内は特にこまめに掃除をすることを意識して気をつけようと思っていますが、隔離は今のところ考えていません。
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