高市早苗「行政文書」の本丸は安倍晋三。見失ってはいけない放送法“改悪”の本質

 

どう見ても安倍氏が考え出した「テレビ局取締法」

で、どうもね、読んでいると、高市さん、この問題にそれほど熱心じゃなかったようなところもある。むしろ懸念していて、そんなことをしたら民放と大戦争になりますよ、というようなことも言われたりしている。官邸の中でも礒崎さんは他に官房長官とか補佐官、秘書官などには情報を知らせていない。で、山田真喜子さんという、そのあとちょっと有名になった方で、内閣広報官になったり、今退職されていますが、菅義偉さんの息子さんが関わる東北新社の接待問題で辞任しましたが、その山田さんが秘書官だったときに報告を受けて、総務官僚と話をしている場面があるのですが、山田さん、こんなものは法改正にあたるのだから、審議会を通さなければダメだと言っている。まっとうな話だと思うのですが。しかし、それにかまわず進めていく。

そして最後に総理大臣レクをしなければならないのですね。で、山田さんや今井秘書官もそうだと思いますが、これ、多分、安倍総理は乗らないだろうというふうにみていた節がある。ところが、乗るのですよ。あらあらあらと、ガラガラと崩れ落ちる感じですが。そりゃそうですよ。

普通に考えれば、安倍さんが考え出したことでしょう、もともと。

安倍さんと礒崎さんで始めたことだろうと思います。というのは、この問題が起きたのは2015年から先になりますが、2014年の確か11月でしたか、TBSの「ニュース23」。司会は筑紫哲也さんだった(岸井成格さんの間違い)かと思いますが、番組の中で安倍さんが生出演していたことがありました。選挙を前にして争点の話などをしているわけですが、街頭のインタビューが全部政府を批判した話で、安倍氏はそれに怒った。これは不公平だと。批判的意見ばかり載せるのは意図的で、そんなことはあり得ないのだから、おかしいではないかと言った。

それから関口宏さん司会の「サンデーモーニング」。やっぱり選挙の話だったか、アベノミクスだったか、出演していたコメンテーターがみな批判していると。酷い番組だということで、その番組の最中に礒崎さんがツイートをしているんです。ツイッターで言っていて、礒崎さんは、法律の問題だと言っている。道徳的な問題だとか慣習上の問題だと言っているのではなく、法律の問題だと言っている。「仲間内だけで勝手なことを言い、反論を許さない報道番組は法律上も問題がある」と礒崎さんが言っている。だから法律を変えようとこのときから考えていたのでしょう。

今の法律でうまく取り締まれないのであれば、解釈を変えるなり、法律を変えるなりして取り締まれるようにしよう、と動くのはよく分かりますよね。最初の時に動機を作り上げたのが安倍さんと礒崎さんだった訳ですよ。で、礒崎さんは自分に権限がないのに総務官僚を呼びつけて補充的説明として放送法を実質、変えてしまう。解釈を変えることで…というのは改憲問題と似ているけれど。これ、官邸と総務官僚との間で違法な解釈法改正みたいなものをやったという話ですよ。法改正のシステムには乗っていないから、今も岸田さんもなんと言っているかというと、解釈は変わっていないと言っている。変わっているでしょ。解釈は。

個々の番組を問題にしうるという言い方になると、番組の方で尻込みするようになりますよね。狙いはそこだと思います。テレビ局を脅かし付けて、政府に反対するようなことはなるべく言いにくいようにしておこうという。

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