高市早苗「行政文書」の本丸は安倍晋三。見失ってはいけない放送法“改悪”の本質

 

総務省の行政文書が「捏造」であるはずのない理由

そこに書かれていることは、私も全部目を通しましたけれど、最初は2015年からですかね。放送法4条1項2号は、放送事業者に「政治的公平」を求めているのですが、そこでいう政治的公平はなんなのかについて、現在は議員ではない礒崎陽輔さんという、当時首相補佐官の一人だった方がテレビ局の政治的公平を図る基準として番組全体、色んな番組全体を見て判断すると書かれているのを、いや、個々の番組を判断する方向にねじ曲げる、解釈を変えていこうという試み。

で、そのために放送法4条1項2号に関する有権解釈、総務省が解釈を記した文書があるのですが、不十分なのでそこに「補充的説明」を加えるという言い方で、実は個々の番組にも介入と言いますか、個々の番組に関して政治的に不公平である場合に、これは有名になりましたが、高市大臣の時に停波、つまり波を止める、テレビ局を潰すという意味のこと、その可能性がないわけではないということになりました。

あまりにも晦渋な言い方、ややこしい言い方だったと思いますが、で、そのような経緯について書かれている。何が書かれているかというと、礒崎さんが総務省の官僚に対して、これこれのことを検討せよと命じて、検討しました、いやいやそんな案ではダメだ、いやこれにはしかし色々とありまして…というようなやりとりがなされる。その中で礒崎さんは、自分の思うとおりになかなか「補充的説明」の内容が煮詰まっていかないことに腹を立て、「激高」するということまで書いてある。

記録をとっている人がその会談の場には必ずいて、その人が書いた文章。これ、とても変な話で、礒崎さんは当時首相の補佐官ですが担当が安全保障と選挙制度。で、放送法は担当外でした。その担当外の補佐官が総務省の局長以下、この問題に関係がある人たちを呼びつけて、こうせよというふうにして、最終的にはそれを…これは大変面白い、政治分野の勉強をしている方はこの文書、3回くらい読んだ方がいいと思いますが…。

まあ、高市さんにはね、捏造と言われましたが、捏造なものですか!ここまで詳細に手順を踏んで官僚と補佐官のやりとりが成されていることについて、大変納得の行く文章なんですよ。その中に高市さんも重要な登場人物としてでてくる。どういうことかというと。補佐官と総務官僚が決めたことについて、これを公的な文書として確立するためには国会の答弁が必要になると。国会で答弁するのは、安倍さんでも良かったわけでしょうが、とりあえず大臣の了解が必要。大臣が了解していないものを、これこれの解釈に変えますと決めてしまうわけには行かないじゃないですか。あまりにも失礼ですよね、それでは。

で、ちゃんと了解を取っている。大臣レクというのはそのこと。で、その後、国会で質疑に乗せるためにどのような質問を誰にさせたら良いか、そんなことまで相談している。こんな質問をするとこういう答えが返ってきて、補充的説明の内容、つまり番組全体ではなく個々の番組を問題にしうるのだという方向の補充なのですが。補充と言いながらエッと驚く内容。

これは礒崎さんと総務官僚で作った、官僚はイヤイヤだし、もうこれはギリギリですよという言い方ながら、礒崎さんが時に怒ったり叱りつけたりしながらやっている様子が浮かんできます。そうやって大臣の答弁が実際に行われるわけですよ。それは事実としてハッキリしている。ハッキリしていますが、なぜか全く関知しないというようなことを高市さんが仰っている。

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