高市早苗「行政文書」の本丸は安倍晋三。見失ってはいけない放送法“改悪”の本質

 

安倍官邸が放送法「改悪」の先に見据えていたもの

で、中身の議論はややこしいのでしませんが、端的にその狙いの行き着く先がどこにかるあというと、やっぱり憲法改正だろうと思いますね。この状況での改憲を有利に進めるというか、改憲を狙った方向に進めるために安倍さんが考え出した色々な方策のなかの一つとして、マスコミ、メディアをコントロールしよう、一番影響力のあるテレビ局が、特にTBSやテレビ朝日がケシカラン放送をやっているとして、こういうところを縮み上がらせて押さえてしまおうという企て。

自民党からは各局に対して、「番組は全部チェックしていますよ。収録していますよ。中身は全部把握していますよ」という脅しとともに…まあ、別にそんなことで脅される必要もないんだけどね、不公平なことをしないようにと言う要請書を、統一協会問題で有名になった萩生田さん、萩生田さんの名前で出しています。もう一人福田さんという方の名前でも出していますね。こういう自民党あるいは政府から見れば、放送法の規定がどうも憲法改正に向けて世論をコントロールしていこうという安倍さんの意図にうまくフィットしないと。だから変えたい。しかし、法改正となるとこれは大変。では解釈を変えよう。

しかし、放送法の担当はいなかったのでしょう、礒崎さんがそこで出てくる…礒崎さんは安倍さんにとってはとっても便利な人で、安倍さんがやりたいことをいっぱいやってくれる人だったらしいので、礒崎さんが総務官僚をどやしつけながら案を作り、大臣に答弁させで認めさせる。こういう大きな世論操作の企みが見えてくる。

この文章を公開した小西洋之さんという立憲民主党の参議院議員、とっても元気な人で、元総務官僚なんですよね。その方に官僚から託された78枚の一件文書。これ、小西さんのツイッターからダウンロードできますので、是非是非お読みになってください。こんな面白いものはそうそうないよ。特に後半は傑作。前半少し我慢する必要がありますが。

山田真紀子さんは、「これってヤクザに絡まれたって話じゃないの」なんてことも言っている。記録をとっていた官僚はちゃんとヤ、ク、ザと一文字一文字書き留めたんでしょうね。当然礒崎さんのことだと思いますが、そんなことも含めて結構凄い会話が行われています。

ずっと安倍さんは登場しないのですが、最後の総理レクのところだけ登場し、そして山田、今井両秘書官や官房長官の思惑、こういうところの考えとは違う結論を、安倍さんはポンと出す。まるで初めて聞いたかのように言った…かどうかは分からないけれども、そのような企みが背景にある。そこに高市さんは積極的に関わっていって、答弁、礒崎さんが要求した内容に合致した答弁もするし、その直前に安倍さんと話をしていると書かれている。こういう事実を否定したいわけですね。でもね、大臣の役割がなかったら成立しないこと、で、実際に成立しているわけ。

これって憲法改正の大きな企みの中、世論誘導の一つとしてテレビ局を手懐けておこうと。で、テレビ局には放送法に政治的公平姓を守れと書いてあり、でもこれは使えないことになっている。なぜなら全体を見てやらなければならず、個々の番組でどうのこうのではないと昭和39以来ずっと解釈してきた以上、少なくとも解釈を変えなければならない。つまり国会という最高権力機関で納得の得られる様なものを作るのではなくて、解釈でやってしまうということ。

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