アメリカで閉店したスターバックスのティー業態が日本に再上陸しました。海外で失敗した理由と、なぜ日本で再びローンチすることにしたのかについて、メルマガ『次世代ニューノーマルに売れるサステナブルビジネス~第3の持続可能なビジネス 全貌解説!!』が詳しく語っています。
アメリカで閉店したスターバックスティー業態が日本再上陸!!次世代はティーでバズるのか!?
直近スターバックスのティー新業態を日本で解説するセミナーを開催しました。
なぜなら、実は今から10年弱前2015年にスターバックスティー業態を、日本の経営者とともに当時NYマンハッタンで視察し解説したことがあり、ぜひ、今回この時視察した10年弱前の店舗と何が違うのか?実際に確かめたかったからです。
当時世界が注目したスタバックススティー業態は、アメリカのトレンドの発信地NYマンハッタンで産声を上げながらも、わずか数年で全店クローズに追い込まれれてしまいます。
本国アメリカで失敗した?ティー業態を今になって日本であえて、再度ローンチしたのは、なぜでしょうか?
これは推測ですが、コーヒーに続くビジネスの可能性を、スターバックスが、持続可能なビジネスの観点からがティー業態で戦略化しようとした?からです。
今号ではなぜスターバックスが、アメリカで失敗したティー業態を日本で再びローンチしたのか?、その真相を次世代に照準を当てたグローバル企業スターバックスの経営戦略で解説していきます。
アメリカで、なぜスターバックスのティー業態は失敗したのか?
ずばりその訳は、アメリカで健康意識がすでに高まっていた2000年代、コーヒーを第三の空間=サードプレイスで楽しむ顧客は、カテキン、ポリフェノールなどカフェインも含め副交感神経を高める効用のあるお茶に関心を抱くと同社が確信していたからです。
確かに、健康保険制度が日本ほど充実していないアメリカの消費者は、ホメオパシー(代替医療)を取り入れることで、健康維持コストを節約することに関心があったのは間違いなかったでしょう。
しかし、同社はアメリカで当時コーヒーほど馴染みのないティー(紅茶、緑茶、中国茶など)を、対面で調剤薬局のようにコンサルティング販売したため、顧客は来店時の接客に違和感を感じ、購入するまでに至りませんでした。
スターバックスが、コーヒーやティーという嗜好品は、副作用が少ない薬であるという認識で業態化しようとした試みは先見の明があったといえるのですが、当時はまだ時期が早すぎたのです。
スターバックスはコーヒーと決別するビジネスモデルを構築しようとしているのか?
これまで世界中でベストと言われている標高1,200メートル以上で育ったわずか3%のアラビカ種の豆を70数各国2万5,000店舗に安定供給する同社の譲れない品質の維持は、顧客がアラビカ種のこだわりの美味しさを楽しむには不可欠でした。
が、、このままでは同社が世界のアラビカ種の豆を一社が買い占めなければビジネスが存続できない店舗数となり、ビジネスの継続が困難となる事態に至るのはほぼ確実でしょう。
上場企業である同社の使命は、今後成長することであり、そのためには次世代へ向けて優良企業として持続可能なビジネスを実践しているブランドイメージは必須なのです。
ティー業態はスターバックスを救うか?
今後同社がとる戦略とは?それは、濃厚でコク深い後味が売りの深煎り加圧抽出のエスプレッソメニューではなく、“ティー”に特化したティー新業態「スターバックス ティー & カフェ」で、お茶を軸にした独自メニューを打ち出し、スタバでしか買えない、希少価値を訴求し、その流れでスタバシーズン限定のギフトアイテム(お茶パッケージやノベリティーカップなど)を購入してもらうビジネスモデルを具現化することです。
持続可能なビジネスを継続していかなければ、世の中が評価しなくなる現実は、次世代に向けて、コーヒー以外の商品を軸に売り上げを獲得できるビジネスモデルを確立しなければ顧客に支持されなくなるのです。
日本でスターバックスが成功した要素が、今後の足枷になる!?
スターバックスは日本に進出してから、日本は米国、中国に続き第3位のビッグマーケットとして成長しました。特に日本の顧客は、スターバックスの店舗が提案する上質なライフスタイルに価値を感じ、同店でコーヒーを楽しむ第三の空間は、日本のカフェにはない付加価値となりました。
そこで同社がとった更なる付加価値の提案は、アラビカ種ブランドコーヒー豆を商品化し、客単価アップで従来の売り上げを獲得する、高級コーヒーリザーブロースタリーコーヒーの店舗展開とともにプレミアムなコーヒー豆を販売する戦略でした。
アラビカ種の中でもトップのクオリティにこだわった日本進出20周年記念の「1996ブレンド」や期間限定のコーヒー豆を提供するリザーブは、確かに上質にこだわる日本のコーヒーファンを獲得しました。
が、本当のコーヒー好きは同社が提案する、どの店舗も同一化された雰囲気の中で美味しさを味わうスターバックスより、独立系店舗がこだわるシングルオリジンの少量しか生産されないコーヒー豆の焙煎、抽出を経た、バリスタの個性が生み出すここしか味わえないコーヒーの美味しさでした。
スターバックスのブランド価値とは?
世界4か国に展開する6店舗、シカゴ、東京、NY、ミラノ、上海、シアトルのリザーブ ロースタリー店舗は、同社がコーヒーを通してコーヒー体験を届ける、世界観そのものでした。
次世代のZ世代も、リザーブ ロースタリー店舗のデザインが生み出す空間を絵面にしたインスタ映えの雰囲気を醸し出すプレミアムコーヒーのゴージャスさに大満足しました。
しかし次世代、Z世代のリザーブ ロースタリー店舗での体験価値は、コーヒーを第三の空間で味わうというものではなく、ゴージャスな非日常でコーヒーを楽しむであったようです。
同社はリザーブ ロースタリー店舗をショールームにして、アラビカ種にこだわるコーヒー業態の店舗を増やしていくことに成長の限界を感じ始めているのです。
ティー業態が意味するものは?
今後、グローバル企業スターバックスは、新業態「スターバックス ティー & カフェ」をアイコンにして、同社の経営を持続可能な成長をとかじ取りしていくでしょう。
そのために、実践していく戦術とは?それはスターバックスの人気の売り商品、フラプチーノの新商品を発信し続け、同社の新奇性の存在をリピーターにアピールし、且つ日本発で成功した。抹茶ラテや抹茶フラペチーノというスーパーフード素材を使ったインスタ映えする色彩の商品で、ヘルシー志向の訪日客の来店を促し、ティーフレーバー独自アレンジ商品(アールグレイブーケラッテなど)で香りの美味しさを体感してもらい、茶葉などのティー商品を購入してもらう、関連販売を健康で促すオンライン、オフラインをリンクさせた店舗運営です。
日本発スターバックスが持続可能なビジネスを生み出す!!
スーパーフードの一つ抹茶誕生の地、日本で。ティー新業態「スターバックス ティー & カフェ」をローンチすることで、アラビカ種にこだわる同社の商品戦略が、ティー素材も含めた嗜好品の開発全般につながれば、価格が高値にもなるアラビカ種豆がなければ売り上げを獲得できないビジネスモデルから脱出できます。
同社の新業態「スターバックス ティー & カフェ」が教えてくれたのは、スターバックスのように成功した会社(お店)が、多様な素材に目を向け、素材調達をリスク分散できるビジネスへと変化し、SDGsが掲げる持続可能を打ち出し、次世代を魅了し、売り上げを獲得し、利益を生み出すビジネスモデルの構築の必要性なのです。
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