その理由は、どこの個人商店にでも起こり得る問題です。
経営者・スタッフの高齢化、後継者の不在、そして、もっとも大きな要因は人手不足です。
特にこのお店は、メニューが多く、長時間営業なので、オペレーションが難しく、働こうとする人がいなかったのです。
メニューを減らし、営業時間を短くすれば、問題は解決するのかもしれませんが、このお店らしさは失われます。
店主は、そのジレンマに苦しみ、廃業を決意したのです。
ただ続けるだけなら、やる意味があるのだろうか。
メニューが少なくなると、お客さまが悲しむ。朝早く来てくれる人の楽しみを奪うことになる。価格を上げると、食べられなくなる人がいる。
しかし、いまのまま続けることはできない。
ならば、「ここらが引き際かもしれない」。店主は、そう決断したのです。
50年も続いた老舗を閉めるのは、辛く悲しいことでしょう。寂しいことです。
お客さまに申し訳ない、という思いもあります。
コロナがなければ、人手不足にならなかったのかもしれません。
世界が平和であれば、原材料の値上げもなく、安いまま続けられたのかもしれません。
しかし、店主は愚痴を言うこともなく、静かにお店を閉めることにしたのです。
商売人の最後。お見事です。
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