「お客様のため」に続けてきた食堂を、同じ理由で廃業した商売人の誇り

Notification form for closing a business. Translation: Notification form for opening or closing a sole proprietorship. Place of residence. Place of residence. Place of business.
 

その理由は、どこの個人商店にでも起こり得る問題です。

経営者・スタッフの高齢化、後継者の不在、そして、もっとも大きな要因は人手不足です。

特にこのお店は、メニューが多く、長時間営業なので、オペレーションが難しく、働こうとする人がいなかったのです。

メニューを減らし、営業時間を短くすれば、問題は解決するのかもしれませんが、このお店らしさは失われます。

店主は、そのジレンマに苦しみ、廃業を決意したのです。

ただ続けるだけなら、やる意味があるのだろうか。

メニューが少なくなると、お客さまが悲しむ。朝早く来てくれる人の楽しみを奪うことになる。価格を上げると、食べられなくなる人がいる。

しかし、いまのまま続けることはできない。

ならば、「ここらが引き際かもしれない」。店主は、そう決断したのです。

50年も続いた老舗を閉めるのは、辛く悲しいことでしょう。寂しいことです。

お客さまに申し訳ない、という思いもあります。

コロナがなければ、人手不足にならなかったのかもしれません。

世界が平和であれば、原材料の値上げもなく、安いまま続けられたのかもしれません。

しかし、店主は愚痴を言うこともなく、静かにお店を閉めることにしたのです。

商売人の最後。お見事です。

image by: Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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