都市部における若年層失業率が、ついに過去最悪の20%を超えた中国。このニュースを国内外のメディアが大きく伝えていますが、日本にとってそれは「対岸の火事」で済む話ではないようです。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、中国の失業率悪化が他人事ではない理由を解説。さらに我が国を現在の危機的状況から救うため、今すぐにでも実施すべき具体策を提示しています。
中国、若者の失業率が衝撃的な高さを海外メディアはどう報じているのか?
中国で若者の失業率が衝撃的な高さになっています。
2023年5月27日の英誌エコノミストの記事を紹介しましょう。
中国は驚くべき統計の国である。しかし、5月16日に発表された公式の数値は、やはり際立っていた。中国の都市部の16歳から24歳までの若者の失業率が、4月に5人に1人を超えたのだ。
中国は若者の数が不足している。出生率を上げようとはしているが成功していない。その状況での若者の失業は不可解であり、驚きでもある。
全体の失業率が低下しているにもかかわらず、若者の失業率は急上昇しているのである。
そして、今後数カ月でさらに上昇する可能性が高い。今年、大学を卒業する学生は過去最高の1,160万人で、2019年から約40%増加した。
失業した若者の数(今年1~3月で約630万人)は、中国の都市部の労働人口4億8,600万人に比べれば少ないものである。
しかし、大学生が感じる不安や失望がソーシャルメディアを通じて広まることは、社会全体の信頼に影響を与える可能性がある。
解説
中国の若者の就職難は1年前でも空前の水準と言われていました。それがさらに悪化しているのです。
コロナが終わって全体の失業率が下がっているにもかかわらずです。さらに奇妙な事に低学歴の若者の方が職が見つかる可能性が高いそうです。
教育内容と社会の需要にミスマッチがあるのでしょう。
就職できない若者はソーシャルメディアを使って批判をする可能性がありますから政府も必死です。
中国政府は、地方政府に予算が許す限り多くの新卒者を採用するよう促しています。
対外的には強面の側面がある中国ですが、内部的にはこのような社会不安を抱えていることは知っておくべきです。
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
これは他人事か
しかし、我々日本人はこれを他人事と言えるのかとも思います。
ChatGPTに代表されるIT技術が急速に発展する中で、仕事内容が急速に変化していくのは中国だけではありません。世界中がそうです。
今の時期、企業は自社の製品、技術、資産、ブランドなどの棚卸をして精査して、本当に自社がやるべき事、コンピューターで自動化できること、外注した方がよいことなどを振り分ける時期なのです。
実際、世界中の企業がそうしています。
そんな中で日本はどうでしょう?
実際、企業内の潜在失業率は相当に高いと思われます。終身雇用に守られて外に見えないだけです。
非効率な部分に手を付けていない企業も多いでしょう。下手に自動化すれば、人が余ってしまい、その人達をどうやって使ってよいかが今は分からないからです。
政府の失業政策を企業が代行していると言えます。
企業は得るべき利益を得ていないですし、非効率な部分で働く人もリスキリングの機会を失っています。
このような状況、いつまでも続けられるものではありません。
政府は人材流動化の制度改革をしなければならないです。でないと、企業も人も共倒れになってしまいます。
私は、企業に年間で従業員の5%を解雇する権利を与えるべきだと思っています。20人に1人ぐらいはどうしても合わない人がいるだろうからです。
中国の若者の歴史的な就職難は目に見えるものです。
日本ではその問題が目に見えない形で進行している事に不安を覚えます。
時間は限られているでしょう――(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』6月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)
社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために
メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 では、在米14年の経験と起業家としての視線、そして大学教授という立場から、世界で起きているさまざまなニュースを多角的な視点で分析。そして各種マスコミによる「印象操作」に惑わされないためのポイントを解説しています。5月中であれば、5月配信分のメルマガ全てが「初月無料」でお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。
月額:¥330(税込)/月
発行日:毎週 日曜日(年末年始を除く)
形式:PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
image by: aquatarkus / Shutterstock.com