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不法移民問題だけではない。なぜ米国市民がトランプを支持しているのか?

実に37件もの罪で起訴されたトランプ前大統領。とは言え彼が来年行われる大統領選挙の共和党候補として、絶大な人気を誇っているのが事実です。なぜアメリカ国民の一部は今もトランプ氏を支持し続けるのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、どれだけメディアがトランプ氏を批判しても支持者が減少しない理由を解説。その上で、前回の選挙結果への疑問を検証することなくトランプ批判を繰り返すだけのマスコミを、「アメリカ分断の元凶」と斬って捨てています。

トランプ起訴、アメリカを分断するもの

トランプ元大統領がホワイトハウスから機密文書を持ち出したとして起訴されました。国防情報の故意の保持など37の罪に問われています。

当然NYタイムズ、ワシントンポストなど大手新聞が大きく報じています。これでもか!というぐらいのトランプ批判の連続です。

しかしながら、トランプは今だに共和党の次期大統領候補の最有力です。圧倒的です。

「なぜトランプを支持するのだ?」と思う日本人は多いと思います。

日本のマスコミは「トランプに騙されている米国人」と言いますが本当でしょうか?

このメルマガでは、トランプ支持の理由として不法移民問題を何度も紹介しました。

【関連】「トランプは貧乏で情弱な白人米国人を騙している」は本当なのか?

今回は、もう一つの理由、「米国の選挙制度、郵便投票への不信」を紹介しましょう。

昨年、中間選挙の前に「レッド・ミラージュ(赤い蜃気楼)」という言葉が広まりました。

赤は共和党のシンボルカラーです。

つまり投開票日の夜に共和党に有利な開票速報が出るかもしれないが、後で開票される郵便投票には民主党の支持者が多いので逆転するというのです。

赤(共和党)は蜃気楼のように消えるという意味です。

そして事実そうなりました。多くの接戦州でわずかにリードしていた共和党が負けて、予想されていたほどの圧勝にならなかったです。

全体からすればわずかな比率の郵便投票ですが、それが圧倒的に民主等に入っていたらからです。

2019年の大統領選でも選挙制度に対する不信感をもっていたトランプは選挙後さらにツイッターで何度も発信しました。

「我々の選挙制度は発展途上国よりひどい」「メキシコでさえ選挙人名簿があるのに!」といった発言です。

「メキシコでさえ選挙人名簿があるのに!」というのは日本人には不思議な発言に聞こえるかもしれません。

アメリカには戸籍や住民票がなく投票するためにはその地域で有権者登録しなければならないのです。

つまり政府が管理する完全な有権者のリストがないのです。

私の家内は米国に10年間住んでいましたが、2回も陪審員裁判の呼び出しがありました。家内は日本人で米国人ではありません。米国の永住権すらもっていません。単にビザ(滞在許可証)をもっていただけなのです。

アメリカ国民の名簿管理はどうなっているのか?と思ったものです。

まして全米で1300万人以上といわれる不法移民を保護する州や都市もあるのです。その不法移民に投票用紙が行っていないと誰が言えるでしょうか?

それがトランプのいう「メキシコでさえ選挙人名簿があるに!」という怒りです。

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加えて郵便投票になると、さらに不正がしやすくなります。

実際、貧しい人がすむ集合住宅などで郵便受けから他人の投票用紙を盗む事、簡単にできそうに思います。気にする人もないでしょう。

また、例えば、家族でお母さんが一人だけが政治意識が高い場合、夫や子供の投票用紙を使って複数投票する事もありそうです。

 

つまり郵便投票への不信は十分に理解できるのです。

ところが多くの米国マスコミは郵便投票の問題点はほとんど取り上げません。「大規模な不正はなかった」といいうだけです。

それで「選挙結果を受け入れない人がいる。これは民主主義の否定だ」というのです。

「郵便投票に不信を持つこと」を「民主主義を否定する事」に無理に結び付けているのです。

これはトランプの「不法移民を許さない」を「移民そのものを許さない」との論調で報道したのと似た構図です。

こういったマスコミの報道姿勢に共和党員はうんざりして怒っているのです。

これがマスコミがトランプ批判をしつづけても、トランプ支持層が減らない理由です。

はっきり言って、トランプの大きな主張、「不法移民対策をしっかりしろ」「郵便投票を改革しろ」には力があるのです。

国家主権と民主主義の根幹をなすものだからです。

その二つの主張について議論することを否定している人こそ、トランプに振り回されているのです。

それはトランプに関係なく米国人が議論すべき問題だからです。

PS

ちなみに保守系のFOXニュースは投票機メーカーのドミニオン社が不正にバイデン側に加担していると報じました。結果、同社から名誉棄損で訴えられて結局1,000億円で和解しました。

私もドミニオン社が意図的にバイデンに加担したとは思いません。

しかし実際にどれぐらいの確率でサインの真偽を判定できるのかについては疑問を持っています。

各個人のサインのサンプルが100もあれば、「このサインは本人のものではない」とAIが高確率で判定できるでしょう。しかしそんなにサンプルあるはずがありません。疑問はあって当然です。

その疑問を、多面的な証言や実験結果の報道などで氷解させること、それこそがトランプ批判しているマスコミがすべき事です。

そんな努力をしないまま「選挙結果を受け入れない⇒民主主義を否定する⇒トランプに操られている」と報道し続けるのは無責任であり、まさにアメリカ分断の元凶だと思っています――(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』6月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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