2.あふれる失業者と文革の悪夢
こうした状況で、3年間のロックダウンが始まりました。国内が完全に停止したため、輸出産業は大打撃を受けました。また、中国に発注していた海外企業はサプライチェーンの全面的な見直しに動きました。中国国内の外資企業も次々と撤退しました。
飲食や物販の中国企業も数多く倒産し、テナントが撤退した廃墟モールが急増しています。
23年の春節明け、広州では農村からの出稼ぎ労働者、農民工であふれていました。しかし、仕事は見つかりません。海外企業からの発注が消え、企業が軒並み倒産したからです。
仕事がないのは、広州だけではありません。全国的に仕事がないのです。23年4月には、若年層の失業率が20%を超えました。中国は毎年大学卒業者が増加しており、23年には1,000万人を超えています。そのほとんどが失業しているのが現状です。海外の大学卒業生も、博士を取得しても、就職できず、フードデリバリーで働いている人が多いのです。現在では、フードデリバリーの希望者が増えすぎて、募集を制限しているほどです。
失業対策として、中国政府は、都市部で禁止していた露天や屋台の出店を認めるようになっています。しかし、屋台の料理や商品は安くないと売れませんし、競争も激しいのが実態です。
更に、若者を不安にさせる政策が用意されています。それは若者を農村に送る計画です。
広東省では、既に30万人の若者を農村へ行かせる計画が公表されました。
また、習近平主席は、中国農業科技大学の学生に次のような手紙を出しています。
「村の深いところに行き、事実をより深く理解して、群衆との付き合い方がわかり、若者はみずから苦労を嘗め尽くすことを探すべきだとあなたたち(農業科技大学生たち)は言った。とてもいいことを言った。新しい中国の青年たちはこのような精神を持つべきだ」。
誰もが、毛沢東時代に続く第2回目の下放を連想したことでしょう。
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