なぜ、中国は経済回復をうたいながら「破壊行動」に走っているのか

Great Hall of the People. Beijing, China
 

3.先進国との関係修復と富の配分を

政治体制が共産主義だとしても、経済は市場原理で動きます。需要と供給のバランスで価格は変動します。それを無理やり封じ込めることはできません。

不動産企業の倒産を先伸ばししても、不動産価格の下落を規制しても、結局、問題の先送りをしているだけです。

先進国への輸出をしないと、外貨は獲得できません。先進国との関係修復には、人権問題や無理な拡張戦略を改める必要があります。しかし、中国政府は自らの信念を曲げません。むしろ恫喝し、自分から関係を断つような真似をするのです。これでは経済は成長しません。

国内需要を刺激し、国内で経済を循環させるのであれば、屋台経済ではなく、貧富の格差を解消すべきです。一部の富裕層が富を独占している限り、消費市場は動きません。幅広い市民に富を分配させることにより、市民は自信を取り戻し、消費活動が活発になります。

そもそも共産主義というのは、富裕層を排除して、労働者階級が富を分配する制度だったはずです。なぜ、再び富裕層が富を独占しているのでしょうか。

一方で資本主義に敵対しながら、一方では共産主義も否定しているように見えます。一部の支配層が、自らの名声と利益だけを追求する、独裁政治は長く続きません。やがて、周囲は敵だらけになるからです。

中国人民のエネルギーを開放すれば、経済発展は可能でしょう。それは改革開放後の中国が示しています。人民共和国の基本に立ち返ることが、中国復活の鍵になるのではないでしょうか。

■編集後記「締めの都々逸」

「積み上げるのは 大変だけど ぶっ壊すのは一瞬だ」

こつこつと努力を積み重ねるのは時間がかかる。もっと手っとり早く儲かる仕事はないのか。それを追求したのが中国だと思います。

実際に中国は世界第2位の経済大国になりました。しかし、経済の活動量が増大しただけで、質は伴っていません。お金を持っている人は偉く、お金持ちは貧乏人を支配していい、と考えています。そして、中国は偉大な国であり、世界に強い影響力を持つべきだと考えてしまったのです。

私は仕事で中国企業と付き合っていたので、彼らの弱みを知っています。一からビジネスを組み立てる力はありません。常に先進国のお手本があって、それを真似ているだけです。先進国から切り離されたら何もできません。農業国に戻ることもできません。お金にならない仕事は切り捨ててしまったからです。

愚かな行為ではありますが、ある意味で資本主義の罠にはまったとも言えます。拝金主義も欲望の増大も資本主義の罠です。

私は古き良き中国、古き良き中国人が好きでした。共産党幹部が自らの富みを人民に配分し、質素な人民服を着て、助け合って生きていく。そんな理想的な共産主義なら、応援したくなるんですけどね。(坂口昌章)

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