MAG2 NEWS MENU

Delicious fresh cakes in the pastry shop behind the glass

強気な価格設定で週3日しか営業しない京都のケーキ屋が客に支持されるワケ

値上げはするも賃金は上がらない今の日本。それでも、「自分が納得したものなら高くても買う」と話すのは、メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさん。今回、佐藤さんは京都にあるケーキ店を紹介。「週3日営業」「強気な価格設定」など、現代では不利になりそうな要素を持ったケーキ店が客に支持される理由を分析しています。

週替わり商品で、週3日営業。高付加価値で強気な勝負をするケーキ店

厳しい社会情勢から抜け出そうとしている現在。消費欲求は高まっています。

賃金の上昇より、物価の上昇が上まわっていても、人びとの欲求は抑えられることなく、高額の商品でも売れ行きは好調です。

自身が納得したものなら、高くても買うということです。

京都市左京区一乗寺に、フランス菓子専門店「パティスリータンドレス」があります。

このお店は、京都では最高の評価を得ていると言っても良い名店なのですが、かなり強気な価格で提供されています。

ショーケースには7~8種類しか並んでいないのですが、1カット700円台~900円台。

百貨店に入る有名店より、高い価格設定になっています。

それでも高評価を得ているのは、なぜでしょうか。

「それだけ美味しい」あるいは「それ以上に美味しい」というのは当然のことなのでしょうが、高くても売れる価値は、どのように作られているのでしょうか。

ケーキづくりの職人は、オーナー1人。

その理由は、「作り手が多くなると、品質にバラツキが生じたり、細かなところまで目が届かなくなるから」。

こだわるが故に、人には任せられないということです。

オーナーのこうしたこだわりは、週3日営業にも表れています。

店休日に仕込みをするためです。

1週間まるまる営業するとなると、その日売るモノはその日に仕込むことになり、時間的制約が多くなるため、妥協せざるを得ない部分も出てきます。

これは、商売としては当たり前のことで、一般的には、手間隙材料に見合った価格設定にします。

しかし、このお店はこだわり抜くために、時間的制約を無くしたのです。

それが、週3日営業という選択となったのです。

こだわりを追求した結果、高価格となってしまいましたが、お客さまには、商品の“価値”として認められたのです。

職人としては、非常に理想的なモノづくりを実現しています。

また、週3日しか買えないということが、付加価値となり、営業日には開店前から行列ができています。

さらに、このお店のケーキは週替わりなので、次の週に行っても、同じモノは並んでいません。

「一期一会」の出逢いであり、それもまた、高付加価値となっているのです。

毎週新しい商品を生み出すのは、並大抵のことではありませんが、それを目的に毎週お客さまが来てくれるのですから、苦労のし甲斐があり、喜びでもあります。

オーナーのこだわりは、それだけではありません。

 

ケーキの提供方法にも、細かな気配りがあります。

テイクアウトの場合には、ケーキのひとつひとつについて、美味しい食べ方を書いた説明書をつけています。

「冷たくして、冷蔵庫から出してすぐ……」
「冷蔵庫から出して、5~10分置いて……」
「常温に近づけて……」
「オーブンで温めて……」

など。

また、イートインを利用する場合は、お店で上記のような状態にして、提供しています。

ここまで徹底しているお店は、他にありません。

美味しいケーキを食べて欲しいという、オーナーの強いこだわりです。

納得のいく理想のケーキを追い求め、丁寧な仕事をするために、週3日営業とし、そのことで付加価値が高まり、高くてもお客さまに喜ばれるようになったのです。

職人として、理想的なビジネスモデルになっていると言えるのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け