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View for sea over the Mountain in Saga prefecture, JAPAN.

なぜ、船を使わなければ行けない秘境の「和食海鮮料理屋」に人は足を運ぶのか?

お店を開店するとなったら「どこに出店するか」は、一番に考えるところですよね。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが、立地の重要性を語ったうえで、お客様を満足させる魅力があれば立地は関係ない場合もあるとして、とある料理屋の例をあげています。

秘境に旨いものアリ!立地ハンデを付加価値に変える方法

新規でお店を開店するなら、まずは立地が最優先事項となります。

ターゲットとする客層が、お店の前を往来していることが前提条件となるからです。

立地が良ければ、繁盛のための試練が軽減され、他のことに注力できます。

しかし、好立地は経費が掛かり過ぎるので、売り上げ目標を高く設定しなくてはなりません。

売れない場合の負担が大きくのしかかります。

ならば、負担の少ない立地を探す方が良いのでしょうか。

経費の掛からない立地を選べば、今度は集客に頭を抱えることとなります。

難しい問題なので、安易に立地を決めない方が良いことは明らかです。

しかし、新規開店で舞い上がっている店主は、冷静さに欠け、正しい判断ができない場合があります。

落ち着いてじっくり探すことが重要です。

時間が掛かったとしても、妥協せずに選択した方が、後の繁盛に繋がりやすくなります。

……と、立地の重要性を説いていますが、人も住まず、道も整備されていない場所でも、繁盛しているお店はあります。

商売のセオリーからは外れていますが、お客さまを納得させる、満足させるだけの魅力があるから、不便なところでもやって来るのです。

魅力があれば、立地は問題にならないと証明しています。

ただし、並の魅力ではありません。

大変な思いをしても行きたいと考えるかどうか。

では、どんな魅力があれば、お客さまはわざわざやって来てくれるのでしょうか。

佐賀県にある半島の突端に、とある飲食店が建っています。

前は海、後は森林。

このお店に行くには、険しい山の中を登山のごとく歩くか、近くの港から船を使うしか方法はありません。

世間から隔絶されたこんな場所に、なぜ飲食店があるのでしょうか。

それは、店主夫妻の自宅だからです。
自宅で商売を始めた。
ただ、それだけ。

こんな秘境にお客さまは来てくれるのだろうか、という不安はあったものの、美味しく新鮮な魚を提供すれば、必ず来てくれると信じていました。

しかし、現実は……。

お客さまの来ない日が何カ月も続きました。

ところが、ある日やって来たお客さまによって、繁盛店へと変貌したのです。

フレンチの鉄人と呼ばれた有名シェフが、このお店の海鮮料理を食べて、大絶賛したのです。

このことがSNSなどで拡散し、一気にお客さまが訪れるようになったのです。

漁師でもある店主が獲る魚や仕入れて来た魚介は、お店の前にある海の生簀に保存され、生きた状態から調理するので、新鮮そのもの。

お造りや煮魚、焼き魚、揚げもの、酢の物、茶碗蒸し、握り寿司など、コースで提供されます。

魚介の種類は、マグロ、カサゴ、アラカブ、ヒラスズキ、アワビ、サザエ、タコなど、季節の魚が調理されます。

醤油、柚子胡椒、ポン酢なども、全部自家製というこだわりよう。

2019年には、ミシュランにも掲載されています。

味は保証されている上、料理の一品一品も量が多く、お客さまは大満足です。

また、店主のおもてなしが、お客さまを喜ばせています。

料理を運んで来ると、テーブルに並べるだけではなく、必ず話し掛けるようにしています。

冗談を交えながら、面白おかしく。

料理は美味しく、店主の人柄も良いことが、人気の秘密なのです。

しかも、行くためには船に乗らなければならないという特別感が、旅の気分を演出してくれます。

フランス、エジプト、イタリア、メキシコ、オーストラリアなど、外国人もたくさんやって来ています。

料理、店主、演出、PR。

秘境にありながら、お店が繁盛する要素をすべて備えているのです。

立地によるハンデは、一切感じさせません。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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