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自民の本好き妖怪・二階俊博に「巨額脱税」疑惑!特捜部による金丸事件再現&ブタ箱送りエンドの可能性は?

自民党の二階俊博元幹事長が世論の猛反発を浴びています。SNSでは、政治資金収支報告書の訂正分にあたる約3500万円を「すべて書籍購入費にあてた」というトンデモ釈明が炎上。ただ、二階氏という妖怪の本性はビブリオマニアではなく脱税犯かもしれません。メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』の著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんによれば、二階氏が得ていた50億円もの政策活動費のうち政治活動に使っていない金額が、雑所得として税務申告されていない可能性が浮上。自民党のドンこと金丸信氏が電撃逮捕されたかつての「金丸事件」を想起させる「巨額脱税」疑惑とあって、東京地検特捜部の動向に注目が集まっています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題「金丸事件の再現か。二階元幹事長が巨額脱税を疑われる理由」

自民・二階元幹事長に巨額脱税の疑いが浮上

自民党の二階俊博元幹事長に巨額脱税の疑いが浮上している。

5年間で50億円にのぼる党から二階氏個人への「政策活動費」名目の寄附のうち、政治活動に使っていない金額について、雑所得として税務申告していない可能性があるからだ。

そのような疑念が湧き起るのも、ちゃんとした理由がある。

二階氏の資金管理団体「新政経研究会」が派閥パーティー券売上の裏金化問題にからみ、収支報告書を訂正したのだが、その内容は、あまりに納得のいかないものだった。

一昨年までの3年間、自身が会長を務める二階派(志帥会)からの収入計1768万円を記載していなかったとして、収支報告書を訂正した。おそらく、パーティー代金のノルマ超過分を“中抜き”した金額を計上したのだろう。

もちろん、これは裏金作りの“自白”といえるものだが、いま国会やメディアで話題沸騰しているのはその件ではない。

同時に追加記入した支出が3年で3500万円もあり、その全てが書籍代金だったことだ。

読書家の元幹事長が刑務所で差し入れ本を待ちわびる日

あの二階氏が3年間に3500万円分もの本を買って読み漁ったとは誰も想像できまい。以下のような批判や疑問の声がネット上やメディアにあふれ、国会でも取り上げられた。

ネット上では《お前ん家は図書館か!》《店丸ごと買ったんか》というツッコミが相次いでいるが……。日本図書館協会によると、2021年度の公立図書館の図書資料等購入費は1館あたり823万円が予算額になっているという。3500万円という金額はじつに公立図書館4館ぶんの年間の書籍購入金額となる。
(2月9日女性自身)

家一軒建つくらいの書籍代に支出をされたということで、3500万円ですから一体何万冊を購入されたのか、使途について非常に説明が求められると思います。
(2月8日衆院予算委員会、藤岡隆雄議員)

もちろん、知人や議員仲間、あるいは自民党べったりのジャーナリストの本を大量購入したことも考えられなくはない。1冊1200円の本を3万冊近くも買える金額である。一般的な書籍の場合、2万部以上売れれば大ヒットといわれるから、たった一人でベストセラーをつくるようなものだ。

永田町の論理だと、これも自分の党を利するための政治活動といえるのかもしれないが、自分の腹が痛まないカネだからこそできる芸当であり、意図的に世論を捻じ曲げる行為にほかならない。一般社会の常識では、まともな政治資金の使い方とは言い難いのではないか。

こんなことだから、5年間で50億円を使途公開の必要のない「政策活動費」として党本部から引き出していた二階氏に対し、どんな使い方をしていたのか怪しむ声が頻出し、あげく党資金の私的流用の疑いがかけられるのだ。

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50億円から不正蓄財か?

2月6日の衆院予算委員会で、 米山隆一議員は、二階氏に脱税の疑いがあり、政務調査をする必要があるのではないかと国税当局にただした。

その根拠として米山氏が指摘するのが、政治資金規正法に定められた寄附の総額規制だ。

規制法21条3により、個人からの寄附は、他の個人や政党、政治団体に合わせて3000万円までしかできない。だから1年に10億円の政策活動費をもらえば、残り9億7000万円は二階氏が自分で使わないといけない。5年間、雨の日も晴れの日も、寝てるときも起きてるときも、1時間ごとに10万円。ひたすら政治のためにお金を支出し続けた、あり得ますか、あり得ない。相当な額が残余となっているはずで、その分は雑所得になるはずだ。

たとえ二階氏が50億円すべてを政治活動に充てるつもりだったとしても、法の定める総額規制を破って他の政治家や団体に寄附しない限り、一人ではとうてい使いきれない数字である。

使い残した資金は、雑所得として申告する必要があると米山氏は主張する。

これについて、星屋和彦国税庁次長は、一般論としながらも米山氏の考えに肯定的な見解を述べた。

個人が政党から政治資金の提供を受けたら、雑所得の収入金額として取り扱う。1年間の政治資金の総額から政治活動の必要経費を差し引いた残額が課税対象となり、残額がなければ課税関係がないことになる。

もし、米山議員の言うように、5年間で50億円を手にした二階氏が、使いきれない金額を税務申告することなく“蓄財”していたとすれば、31年前の「金丸事件」を想起させる脱税事件にもつながりかねない。

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東京地検特捜部が威信回復を目指した「金丸事件」

「金丸事件」は、いうまでもなく、かつての自民党のドン、金丸信氏を東京地検特捜部が脱税容疑で電撃的に逮捕した出来事である。

金丸氏が自民党副総裁だった1992年8月、東京佐川急便から5億円の献金を受け取りながら収支報告書に記載していないことが発覚。金丸氏が副総裁を辞任し、政治資金規正法違反を認める上申書を提出したため、東京地検は略式起訴にとどめた。

その結果、金丸氏は裁判所から罰金20万円の略式命令を受けるだけですんだが、この刑罰の軽さに世間が猛反発し、検察庁の石表札に黄色いペンキが投げかけられる騒ぎにまで発展した。

威信回復をめざした東京地検特捜部は、金丸氏が政治資金を流用し個人資産を蓄財していたとみて、脱税容疑で捜査をする方針に切り替え、1993年3月6日、逮捕した。

大手ゼネコンから闇献金を受け取り、約18億4230万円の所得を隠したとみられていたが、裁判の途中で金丸氏が亡くなったため、審理は打ち切られた。

家宅捜索で時価1千万円相当の金の延べ棒が発見されたことも、ニュースにインパクトを与え、同年7月の総選挙で自民党は単独過半数を失った。

そして、非自民・非共産8党派の連立政権である細川内閣が誕生し、自社対立の「55年体制」は崩壊した。

それから長い歳月を経た今でも、自民党の金権腐敗体質は変わらない。企業からの闇献金は、派閥パーティー券売上のキックバックや“中抜き”の裏金に姿を変えただけである。

政権に遠慮し、肝心の二階氏や安倍派の幹部たちをいずれも無罪放免にした検察の姿勢と、それに国民が憤慨した構図も金丸事件と同じだ。

ならば、今後は「政策活動費」も含めた脱税捜査に移るべきであろう。二階氏はその最大のターゲットだ。

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二階氏を擁護する子飼い議員の「呆れた屁理屈」

むろん、二階氏を擁護する声もある。かつて民主党に所属し、2021年、自民党二階派に迎え入れられた長島昭久議員は2月5日の衆院予算委員会で、このような発言をした。

政策活動費が何を原資にしているかというと、自民党においては、国民の税金が原資となっている政党助成金(政党交付金)ではなく、政党独自の努力によって集めた浄財である。

なんという愚かな理屈であろうか。国民の血税を直接フトコロに入れたのではないから問題ないと言わんばかりである。

自民党の収入は、国民の税負担で賄われる政党交付金が70%近くを占め、あとは企業・団体献金の受け皿である国民政治協会や所属議員からの寄附などによるものだ。

長島氏はこのうち国民政治協会からの資金だけを政策活動費にあてていると解釈したいようだが、お金に色はついていない。党資金の大部分が政党交付金である以上、国民の莫大な血税を一人の政治家が思うがままにしてきたということになるのではないか。

問われる東京地検特捜部の存在意義

政権をコントロールしたい財務省の一組織である国税庁は容易に動かないだろう。問題は検察の姿勢だ。

金丸事件では、東京佐川急便事件の軽い刑事処分で批判のマトとなった東京地検特捜部が、金丸元自民党副総裁に関わる情報を東京国税局と共有して極秘に捜査を進め、巨悪を討つことが可能になった。

つまるところ、検察や国税を動かす国民の声が大切なのだ。

政策活動費も、派閥からのパーティー売上還流金も、使途不明であるかぎり、巨額脱税の疑いが晴れることはない。検察がここで奮起できないようでは、存在意義が問われることになるだろう。

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