「霞が関は俺の支配下だ」萩生田光一の権力欲
若狭氏は、小池百合子氏が自民党を離党して都知事選に立候補したさい、自民党の衆院議員(東京10区)でありながら、自民党都連の推す増田候補ではなく小池氏を支持したいきさつがある。その人が、都連の現会長である萩生田氏を批判することには奇妙な因縁を感じるが、若狭氏の指摘に説得力があるのは確かだ。
ついでながら、議員時代に自民党都連に所属していた若狭氏が、萩生田氏に「権力志向」を感じたと書いている一節があるので、紹介しておこう。
萩生田氏は安倍政権の内閣官房副長官だった2015年10月、内閣人事局長に就任した。それからしばらくして、自民党東京都連の会食があり、若狭氏も出席したが、その席上で参加者を前に、萩生田氏は次のような趣旨の発言をしたという。
「これで霞が関は俺の支配下だ。霞が関を牛耳ることができる」
かつて霞が関官僚は、専門的知識を武器に“お飾り”の大臣を操って、政治権力をコントロールしていた。そのため、天下り組織の膨張などによる税金の無駄遣いが横行し、行政改革の必要性が叫ばれた。
内閣人事局長は、各省庁の幹部の人事権を一手に握り、国の運営を官僚主導から政治主導に転換するのが目的で設けられたポストではあるが、「霞が関は俺の支配下だ」といってしまえば、おしまいである。
実際に、その後、わが国の官僚の間には官邸の意向を忖度する病が蔓延し、森友学園問題における佐川理財局長のようなケースを生んだ。
加計学園・獣医学部新設をめぐっても、当時の安倍首相の権力乱用が疑われたが、首相の意向を実行するよう文科省に圧力をかけたのは官房副長官、萩生田氏だった。
省益優先の官僚体制を打破するのはいいが、そのかわりに官邸支配が暴走して権力の私物化が進んだ顕著な例となった。