前回記事「「日本を蝕む『プロ自民議員』」で、税金にたかる国会議員の売国ぶりを痛烈に批判した投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔氏。続編となる今回は、国会議員以上に世襲率が高い「地方議員」の闇に迫ります。約半数が腰掛けの兼業、ロクに働かず高額報酬だけはちゃっかりゲット、暇をもてあまし犯罪にすら走る“地方議員”たちの呆れた生態とは?(メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』より)
全国3万2千名の「地方議員」は、一体どんな仕事をしているのか
地方議員とは、ご承知の通り、県議会議員、市議会議員、町議会議員、村議会議員となります。
こうした議員たちは、自治体ごとに選挙で選ばれ、地元の有権者から行政への付託を受けて自治体の首長や行政の監督チェックを行うというのがタテマエのシステムです。
「二元代表制」という言葉をご存じかと思いますが、自治体行政を「首長」と「議員」の両方に分けて選挙することで、この仕組みを担保する形になっています。
ちなみに地方議会の数は、2023年時点で、全国に1765の議会があります。内訳は、都道府県議会が47、政令指定都市を含む市議会が792、町議会が743、村議会が183です。
これらの議会の定数を合計すると、日本の地方議会議員数は約3万2000名に及びます(都道府県議定数2598名、その他の地方議会議員定数2万9425名)。
こんなに大勢の税金丸どり議員がいると、自治体のほうも大変です。これらの議員の世話を焼くための議会スタッフも自治体側が職員として用意しなければならないからです。こうした人件費ももちろん税金で賄われます。
ちなみに東京都議会の場合は、議員定数127名に対し、議会局として150名もの専業スタッフが用意されて、都議会議員からの無理難題の要求への対応や、知識レベルの低い議員にへの行政知識のレクチャーなど、甲斐甲斐しく世話を行っています。
働かない“痴呆議員”の実態。半数以上が自営と兼業
地方議員というのは、特別職の地方公務員ですから、自治体から仕事を請け負う仕事でない限り兼業も自由に行えます。
ゆえに、地元に長年根をおろして、地域との結びつきが強い農業従事者や、建設土木工事業、風呂屋や八百屋、飲食業、不動産業といった別の事業を行っている人が立候補して、地方議員になるケースも多いのです(2017年のデータでは市議会議員の57・7%が兼業議員)。
市議会議員に限ったデータの例では、実に6割弱の市議会議員が兼業議員であり、議員専業という人は4割強なのです。これは、都道府県議会や町村議会においても、似たりよったりの構図でしょう。
何しろ、他国の事例とは裏腹に日本の議会は、国会も地方議会も「会期制」 だからです。
前回のメルマガでもお伝えしましたが、国会議員は年間365日のうち、国会に拘束される会期があるのが、約半分程度しかありません。しかも議会では、テレビ放映される予算委員会などを別として、大半の議員が巧妙に居眠りしています。利権の口利きや誘導で夜の活動に忙しく、酒を飲み過ぎた体を、国会の議場でいたわり休めているわけです。
いっぽう地方議会議員は、もっとラクチンです。
都道府県議会は、年間の半分どころか80~90日、市議会は約70日前後、町村議会はたったの40日程度しか議会は開かれません。しかも開かれた議会の平均所要時間は、ほぼ1時間程度なのです。
居眠りする時間すらないほど短いように感じられますが、多くの地方議員は上程される議案の中身についてほとんど理解できていませんから、開会5分もしないうちに眠りにつくそうです。
何しろ、議会で質問する機会が回ってきても、地方議員は「何を質問すればよいかわからない」という人が多く、議会スタッフとしても手がかかります(かつて地方議員の質問を代行作成してくれるサービスが商売として成り立っていたことさえある)。
こんな具合なので、議会では議員提案の条例案もなく、自治体首長提案の条例がロクに質問も受けずに、95%以上は修正もなく通過しているのが実態です。
これをもってすると、もはや地方議員ならぬ“痴呆議員”であり、まったくもって無駄な存在と言えます。地方議会は事実上ほとんど機能していません。タテマエの「二元代表制」など絵にかいたモチにすぎないのです。
日本と地方を食い潰す、地方議員のデタラメ高額報酬
それでいて、地方議員の報酬と待遇は、ものすごく手厚いものになっています。昔から、税金泥棒の議員たちが、お手盛りで条例を都合よく改正しオイシイ報酬額にしてきたからです。
都道府県議会議員なら政務活動費を含めて平均2000万円超えです。
市議会議員で平均850万円、町村議会議員でも平均400万円。市議会など会期はたったの70日程度で、しかも所要は1時間程度です。850万円を70日70回で割ると、1日1時間程度の顔出しだけで、1回あたり12万円も貰える計算です。町村議会なら会期は40日程度ですから、1回あたり10万円もらえます。
さらに議会によっては、顔出しに際して「費用弁償」として、1回あたり1万円支給されるところもあります。
こんなにオイシイ地方議員なのに、「議員のなり手がいない」といわれる現状もあります。
この記事をご覧の読者のみなさんは、「地方議会議員は難しい仕事をこなしている」という大いなる誤解をしていませんか。
議員のなり手がいなくて定数割れになる──というなら、これまでのあまりにも多すぎた無駄な定数を削減すればよいだけです。前述の通り、地方議会は痴呆議会で、まともに機能していないのですから。
報酬が少ないから「なり手がいない」などというのは、さらにお手盛りで報酬を上げようとする税金泥棒議員のたくらみに他なりません。
例えば埼玉県議(定数95議席)なら、歳費が月額92・7万円(期末手当含む)で政務活動費が月額50万円、年間合計の収入は2190万円にのぼります。
さいたま市議(定数60議席)なら、歳費が月額80・7万円(同)、政務活動費が月額34万円、年間合計の収入は1721万円 です。
東京都の中野区議(定数42議席)なら、歳費が月額94・24万円(同)で、政務活動費が月額150万円、費用弁償が年間30万円で、年間合計の収入は1152万円です。
「政務活動費」は、2012年に旧名称の「政務調査費」が改称されて使途が拡大しています。調査研究費、人件費、交通費、研修費、事務所費、広報費などが名目ですが、領収書が必要とされないケースも多く、しょせんは「裏給与」「遊興費」と言われます。
ラクすぎる地方議員が「世襲」に執着する当然の理由
そういう事情もあって、全国的なデータはありませんが、 地方議員の世襲比率は国会議員の世襲比率(三親等内に地方議員や地方首長の親族を有する議員の割合約30%、自民党に限っては40%弱が世襲の国会議員)をゆうに超えていると指摘されているのです。
親子二代、三代に渡って、税金の甘い汁を吸える構図なのです。知らぬは有権者の大方の人々でしょう。
読者の皆様のほとんどが、こうした地方議員が日々何をやっていのるかをご存じない──というのが実情ではないでしょうか。
はっきりいって、読者の皆様が想像する地方議員のイメージは、まったくの虚像であり幻想なのです。地方議員は、毎日ロクに何もしていないも同然──というのが実態だからです。
たまに国政選挙があると、親分の国会議員の下で選挙活動に従事して、お小遣いをもらう存在にすぎないのです。
地方議員3万2000人に支払われる報酬額の推定合計は、年間3000億円弱に及ぶといわれています。壮大な浪費です。
このように直接議員に支払われる人件費だけでも、ものすごい税金の無駄遣いになっていることが窺えるのです。
「怠け者の楽園」というのが日本の地方議会です。
みなさまは「地方議員というのは非常に忙しい」と思っている方が大半でしょうが、実際はヒマをもて余している議員が多いのが現実です。
そのせいか、不倫や援交、淫行、薬物中毒、詐欺や酒酔い運転などで問題を起こし、時々捕まります。
地方議員に「生活給」は必要か?日本の常識は世界の非常識
地方議員に生活給ともいえる高額の年間報酬を支払っている国は日本ぐらいです。
海外の地方議会はボランティア議員が中心で、まともに生活できるような報酬はもらえません。
年間50万円もらえれば御の字であり、200万円を越えるような地方議会議員は稀なのです。
議員になる人も、サラリーマンや主婦など、ごくごく市井の人が、ボランティア意識で選ばれているのです。
当然ですが、議会は夜間に開かれることも多いのです。昼間働いていても参加することを可能にするためです。
翻って日本の地方議会議員は、“国会議員のパシリ”以上のはたらきをしていません。これはロクに地方議会の実態や事実を報道してこなかったマスメディアに大きな責任があると言えます。
日本の議会制民主主義は、風前の灯にあるのです。(本記事はメルマガ3/25号の抜粋です。ご興味をお持ちの方は初月無料のお試し購読をどうぞ。3月分の記事をすべてお楽しみいただけます)
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