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東日本に人が住めなくなる。国民のほとんどが忘れている福一原発「使用済み核燃料プール」に残されている殺人物質

2013年3月の発生から13年が経ち、多くの国民が日々の生活で思いを巡らす機会が少なくなってしまった福島第一原発事故。しかしこの事故は決して過去のものではなく、「日本人にとっての危機」は今も継続しているのが事実のようです。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、福一原発の「使用済み核燃料プール」崩壊が東日本に壊滅的な被害をもたらす可能性を指摘。さらに処理水の海洋放出を強行した政府や東京電力と、彼らの「プロパガンダ」に手を貸した国内メディアを強く非難しています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

次の原発事故はどこか?地震多発国ニッポンの原発・使用済み核燃料プール崩壊の恐怖!日本中で居住地がなくなる危機!

みなさま、こんにちは!「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。

さて今回は、「次の原発事故はどこか? 地震多発国ニッポンの原発・使用済み核燃料プール崩壊の恐怖! 日本中で居住地がなくなる危機!」というテーマで原発の「使用済み核燃料プール」についてえぐっていきたいと思います。

福島第一原発にある1号機から6号機までの原子炉のうち、メルトダウンした1、2、3号機内には、1,496体(880トン)もの溶け落ちてデブリになった燃料が残り、これが流れ込む地下水と接触し汚染水を生み出し続けています。

ちなみに原子炉建屋上部に設置された使用済み核燃料プールの燃料保管状況は次の通りです(2024年3月31日現在)。

原子炉建屋の上部構造の崩壊などにより、いまだに1号機と2号機の崩壊を免れた使用済み核燃料プールには、1,007体の「使用済み」及び「使用前」の核燃料が残されたまま、取り出せていない状況があるのです。

福島原発事故の原因は東電幹部の「認知バイアス」の誤謬によるものだった!

福島の原発事故の究極の原因は、皆様よくご存じの通り、東京電力が津波対策を怠ったことによるものでした。

2022年7月東京地裁では、福島原発事故の賠償責任を問われた東京電力の旧経営陣4人に対し、総額13兆円超の支払いを命じました。

もちろん、一人あたり平均で3兆3,300億円にのぼりますから、上訴審で判決が確定したとしても、個人で払える金額ではないため、この人たちは自己破産して終わりになるだけです。

津波対策費には数百億円がかかる──ということでコストをケチり、対策を怠ったことが明白となった東電の旧経営陣に責任をとらせる──といったところで、このように虚しい話なのです。

民事ではともかく、すでに刑事では無罪放免なのですから。

4人はいずれも高齢ですから、そのうちあの世に召されて終わりです。

政府の地震調査研究推進本部が2002年7月に出していた「長期評価」では、福島県沖でマグニチュード8級の地震と津波が発生する可能性がある──というものだったのに対して、東電幹部はまともに向き合おうとせずに無視したのでした。

経営上の利益を優先し、国民の命の安全を無視した罪は、本当に非常に重いものがあるといえるのです。

この事例とは反対に、日本原子力発電は、同時期に東海第二原発(茨城県)において、原子炉建屋に防水扉を設置するなどの津波対策を行っています。

その結果、東海村は東日本大震災による重大事故を免れ、明暗を分けたのです。

なぜ東電幹部4人は、原子炉建屋を守る堤防のかさまし工事を怠ったのでしょうか。

これこそ、著者が先月、心理学専門の別名義でのペンネーム(神岡真司の名)で著した『脳のクセを徹底活用! 認知バイアス最強心理スキル45』(清流出版刊)で喝破した通りの脳の悪い癖が発現したからだったのです。

「大きな地震があっても、津波がここまで届くことはないだろう」と自分たちに都合よく考える「正常性バイアス」をはたらかせ、そして不都合な情報は無視して自分たちに都合のよい情報だけを信じる「確証バイアス」で認識を共有し、さらに東京電力の幹部会議における権威序列の意見が支配的となる「集団同調圧力」までもが、強烈にはたらいていただろうことが容易に推測できるのです。

こういうあやまちに導かれないためにも、さまざまな脳の悪いクセである「認知バイアス」に嵌らないよう、日頃から私たちは意識的かつ警戒的に行動することが大事なのです。

まさしく、いくつかの「認知バイアス」に導かれて、福島第一原発事故が起こった──という教訓は永遠に忘れないようにしたいものなのです。

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福島第一原発事故はいまだに収束していない!

2011年3月11日、東日本大地震が起きた際に、福島第一原発で原子炉が稼働していたのは1号機から3号機でした。

4号機から6号機は定期検査中でしたが、5号機と6号機の原子炉には核燃料が入っていました。

1号機から3号機までは津波などによる影響で冷却装置が停止して核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」を起こしています。

そして、発生した水素が建物上部にたまり、1号機と3号機、それに水素が3号機から流れ込んだ4号機でも水素爆発が起きました(2号機でも爆発が起こったものの、これは水素爆発ではなかったというのが東電の見解)。

これが当時の事故の概要だったのですが、あれから13年が経ちましたが、いまだ根本的な解決の糸口さえつかめていないのが事故後の実情なのです。

驚くべきことに、1号機と2号機の原子炉建屋の上部にある「使用済み核燃料プール」には、取り出すこともままならない異常な状況で、ヤバい燃料がタンマリ残されています。

危険なのは、原発の大本である原子炉や、そこに接触した汚染水だけではないのです。

福島の原発事故では、余震などの影響もあって、4号機プールが崩壊しそうになり、プールの下部を鉄骨やコンクリートで補強することによって、危機一髪での崩壊を免れています(4号機の使用済み核燃料は2014年12月1,535体すべてが取り出され、原発敷地内の共用プールに移されている)。

なぜ、使用済み核燃料プールが崩壊したら、ヤバいのでしょうか。

使用済み核燃料プールに残されたものの何が危険なのか?

この使用済み核燃料は、数年間、水を循環させるプールの中で冷やし続けないといけないものだからです。

これを万一空気中に露出させると、原子炉内での連鎖的な核分裂反応(臨界)が起こらなくても、核分裂時に内部に閉じ込められた放射性物質が「崩壊熱」を出し続け、温度がどんどん上昇し、高熱を帯びていく──という性質のものだからです。

すると、どうなるか。

核燃料の被覆管が壊れ、放射性物質が漏れだし、露出した被覆管と水蒸気が反応し、水素が生まれて爆発の可能性があるというのです。

そうなると、この使用済み核燃料は再度の核分裂(再臨界)を誘発しかねません。

ここで再び核分裂が起きると、原子炉圧力容器や原子炉格納容器に覆われていないために、中性子線を東日本の広範囲に拡散させることになるのです。

そうなると、どえらい被害を拡散します。

中性子線は透過力が強く、60%が水分で構成される人体への影響は甚大です。

同じ放射線のガンマ線と比べても腫瘍発生率は2~300倍、寿命短縮は15~45倍ともいわれる強力なものだからです。

これを放置すれば、次々と人が死んでいくのです。

東日本の人々は、生命が危ぶまれ、日本人類の消滅の危機にも到りかねないわけです。

本来こうした使用済み核燃料は、十分に冷却した後、青森県六ケ所村の再処理工場で新しい核燃料に加工する前提がありました(残った高濃度放射性廃棄物は、まだどこにも決まっていない最終処分場に埋める見込み)。

しかし、その目途も立っていないため、使用済み核燃料プールから取り出した燃料は、原発敷地内にある共用プールで保管しているのが現状なのです。

「トイレのないマンション」と原発反対派の人々が揶揄する通りの惨状を呈しています。

日本は、火山・台風・地震・津波の災害大国です。

ゆえに、北朝鮮のミサイル攻撃や航空機の自爆突入攻撃も懸念されるのです。

こんな危険な原発が、日本には54基(商業用原子力発電所16)もあるのです。

そして、建屋上部には、いずれも使用済み核燃料プールが存在します。

これが崩れたら、日本はどうなるのか──という危機的状況が今も日本中にあるのです。

このうち現在稼働中の原発は、10基です(定期点検で停止中含む)。

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処理水も30年どころか、永遠に垂れ流しが続き、世界中から非難される展開もあり得る!

さて、「処理水」の問題で、日本中が原発事故の後処理の問題については、大きな関心が集まりました。

今回の処理水の海洋放出は、デブリ除去や廃炉作業に必要なスペースの確保のために、今回敷地内のタンクを片付けたい、ゆえに海洋放出する──というのが政府が公言したストーリ─でした。

しかし、タンクを並べるスペースなら、福島第2原発や、周辺にも多くの敷地があるのに「敷地がいっぱいだから」と説明されただけでした。

こうした報道も日本のマスゴミは正しく伝えてくれていません。

何としても「海洋放出しかない」という政府の方針に沿ったイメージをマスメディアもつくりたかったのでしょう。

しかも、勝手に流布された「海洋放出が終わるのは30年後」とかいう時期になった時に、はたして生存している関係者は、いったいどのぐらいの人数になっているのでしょうか。

関係者の死んだ後のことなんか、知らねーよ!──といわんばかりの気がするのは筆者だけでしょうか。

まさかテキトーにとりあえず「30年」とかいって時間稼ぎをしているつもりはないのか?──ということなのです。

なにしろ、そもそも30年で廃炉作業が終わる──などという保証は、みじんもないからです。

本当は、マスメディアも報道で、具体的な年数の「目途」などは、まったく立っていない──というべきところではなかったでしょうか。

たとえ100年経っても、炉心溶融に到ったデブリは取り出せないかもしれないのです。

しかも世界中に連なる海に「処理水」を放出していくのですから、将来的に大問題になることが起こるのでは──と今から懸念されるのです。

トリチウム以外の放射性物質を基準値以下にした──といっても、今まで放出したことのない放射性物質が微量とはいえ、処理水に混ざっているのは事実なのですから。今後は壮大なる実験の領域といえるでしょう。

他国の原発の冷却に使った処理水とは、まったく違うトリチウム以外の汚染された放射性物質を含んだ水だからです。

基準値以下にALPSで処理していくといっても、今後10年、20年、30年……いや50年、100年と続くやもしれない処理水の海洋放出がきちんと行われるかどうか……懸念されるのです。

ALPSだって故障します。

現にこれまでも何度も不具合をきたしてきているのです。

1,000基を超えるタンクのうち、7割以上が「処理途上水」だったことが、その証左です。

いつまでまともに稼働してくれるのか──その辺も気がかりなところなのです。

今後そうした放射性物質の魚介類などへの生態系全体への蓄積が問題となるようなことはないのか──無理やり「科学的に安全!」と突っぱねられても困るのです。

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外国にカネをバラ撒くだけで、日本にまともな「外交」が存在しない証左!

中国に「日本産・海産物の輸入禁止」とやられただけでも、日本外交の大失敗です。

中国はそう非難しながら、平気で日本の漁場に繰り出してきて、漁業を続けていますが、このダブルスタンダードに対しても、なーんにもいえないのが政府自民党です。

いくら他国への嫌がらせが天下一品の隣国とはいえ、海産物の輸入禁止は日本にとっては大打撃です。

中国は国内経済不振への人民の不満の矛先を日本に向けさせるべく、反日政治カードを切ってきた──などと付け足しで反論しても虚しいだけです。

日本政府が外交の根回し・地ならしをちゃんとしなかった──からに他ならないでしょう。

今からでも硬軟取り混ぜて、外交上での主張をすべきです。

諸外国への「外交」とか称し、首相が血税のカネをばんばんバラ撒くだけの「日本外交」ゆえに、肝心の時には何の役にも立たない、こういう事態にもなるのです。

旧安倍政権時代には、「地球儀を俯瞰する外交」などと、のたまって毎年平均7兆円もの血税を諸外国にバラ撒きました(8年7ヶ月で60数兆円と外務省が国会で公表答弁)。

消費税率に換算すると、この7兆円は、年間で3.5%の消費税相当分です。

そして岸田政権は、それを上回る毎年平均9兆円もの血税を外国にバラ撒いています。外交やってる感のパフォーマンスのためだけにです。何でこんなバラまきのカネがあるのか。

外務省のODA予算は年間5,000億円程度しかないのに、特別会計の「外為特別会計」や「年金特別会計」の剰余金を原資にバラ撒きを続けているのです。

誰かまともな国会議員が、こうした「特別会計」にメスを入れるべきですが誰もやらないのですから呆れてしまいます(過去に民主党の石井紘基衆院議員が国会で追及しようとした矢先の2002年10月に暴漢に刺殺された)。

「処理水」の問題は将来的に世界の大問題になる可能性!

とまれ、処理水の海洋放出以前に、日本国民に対してさえ、海洋放出以外に、モルタル固化や空中蒸発、大容量タンクなどでの保存といった他の方法がある──ということさえ周知させられていませんでした。

ほとんど議論も検討もされなかった経緯はなぜなのか。

そんな方法もあるなら、もっと国民全体に提示すべきだったでしょう。

結局、最もコストが安いという理由で「海洋放出しかない!」と勝手に最初から決めつけていたのがバレバレなのです。

そこにマスメディアが追従しただけです。

メディアによる政権批判も監視もへったくれもありません。

政府べったり、ヨイショのお馴染みのマスメディア体質に他ならないでしょう。

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またしても東電のオタメゴカシの新しい「お約束」が登場!

東電は海洋放出に当たって、次のように説明しています。

※ トリチウムの年間放出量は、事故前の福島第1原発の放出の上限である年間22兆ベクレルを下回る水準とし、定期的に見直します。

※ 環境影響のモニタリングの分析には、IAEA(国際原子力機関)の協力も得ることで、信頼性を確保します。

※ 放出に伴う風評被害が発生した場合は、東電が賠償することにし、期間や地域、業種を限定せず、被害の実態に合わせて迅速かつ適切に対応します。

※ また、政府も、農水産物の販路の拡大や観光客の誘致などを支援します。

──といった表向きの方針が発表されていますが、信用できるでしょうか。

漁業関係者への、今のところの風評被害補償金も1,000億円強を積み上げましたが、これも国民の税金ということが忘れられています。

国のカネではありません。国民の血税なのです。

しかも、これからも日本産の輸入禁止措置を中国が採り続ける限りでは、1,000億円ではとても足りなくなります。

今まで政権忖度の腐ったマスネディアを信じていた国民は、他国の原発処理水と同じ「トリチウム水」と錯覚させられてきたのです。

こうした恐るべき、マスメディア誘導が行われてきたのが、この国です。

何か将来に、とんでもない「どんでん返し」が待っていて、後世の日本国民が世界中から叩かれるのではないのか?……と訝しさが募るばかりなのです。

さて、今回はここまでといたしますが、原発の核燃料プールの問題や処理水についての詳しい情報は、当メルマガ第回(2023年10月9日「危ないのは原発や処理水だけではない!使用済み核燃料プールの危険性について警鐘を鳴らさない、危険と隣り合わせの日本の現状!」)のバックナンバーをご参照頂ければ幸いです。

【関連】まだ福一原発事故は終わっていない。処理水よりも深刻な「使用済み核燃料プール」の中に残るヤバい物

(本記事はメルマガ4/1号の抜粋です。ご興味をお持ちの方は初月無料のお試し購読をどうぞ。4月分の記事をすべてお楽しみいただけます)

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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