まだ福一原発事故は終わっていない。処理水よりも深刻な「使用済み核燃料プール」の中に残るヤバい物

kh20231017
 

福島第一原発で、あの未曾有の大事故が起きてしまってから今年で12年。日本国民の中には「すでに終わったこと」として捉えている向きも多いようですが、「未だ継続中」と考えるのが妥当なようです。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、その根拠としてメディアが伝えることがない「使用済み核燃料プールの真実」を伝えるとともに、海洋放出が開始された「処理水の今後」について予測。さらに東電の危険な体質を知るために見ておくべき、海外の放送局制作の動画を紹介しています。

危ないのは日本の原発や処理水だけではない!使用済み核燃料プールの危険性について警鐘を鳴らさない、危険と隣り合わせの日本の現状!

ところで、前回のメルマガでは、処理水についてのマスメディア報道や東電のいい加減な対応について取り上げましたが、誤解してはいけない最重要な点は、福島の原発事故はまだまだけっして収束していない──ということなのです。

いまだ日本は、原発事故の渦中にあるのです。

福島第一原発にある1号機から6号機までの原子炉のうち、メルトダウンした1、2、3号機内には、1,496体もの溶け落ちてデブリになった燃料が残り、これが汚染水を生み出し続けています。

そして、これがどこまで処理されるか──でかまびすしい議論が巻き起こったのでしたが、もっと身近なところにある、私たち日本人が知るべき恐怖の実体があるのです。

今回はこのことについて、読者の皆様に考えていただきたいと思うのです。

原発建屋・上部の使用済み核燃料プールには「使用済み燃料」と「新燃料」の合計で4,000体(棒)以上が原発事故から12年経っても残されたまま!

さて、2011年の福島第一原発での未曽有の大事故ですが、まだまだ解決には程遠い現状にあることを知っておく必要があります。

2011年3月11日、東日本大地震が起きた際に、稼働していたのは1号機から3号機でした。

4号機から6号機は定期検査中でしたが、5号機と6号機の原子炉には核燃料が入っていました。

1号機から3号機までは津波などによる影響で冷却装置が停止して核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」を起こしています。

そして、発生した水素が建物上部にたまり、1号機と3号機、それに水素が3号機から流れ込んだ4号機でも水素爆発が起きました(2号機でも爆発が起こったものの、これは水素爆発ではなかったというのが東電の見解)。

これが当時の事故の概要だったのですが、あれから12年が経ちました。しかし、見るべき解決の糸口さえつかんでいないのが実情です。

驚くべきことに、なんと3号機と4号機(水素爆発のみ)を除く1、2、5、6号機の原子炉建屋の上部にある「使用済み核燃料プール」には、今でもヤバい燃料がタンマリ残されているのです。

ガレキなどが邪魔をしていて、いまだに取り出せない「使用済み燃料」と「新燃料」の合計で4,159体が、これらの使用済み核燃料プールに残されたままなのです。

いやはや、ものすごい量でしょう。

原発事故から、12年が経っても、いまだに核燃料が取り出せない状況なのです。

このことをどれだけ多くの日本人の方がご存じだったでしょうか。

危険なのは、大本の原子炉や汚染水だけではないのです。

いやもっと恐ろしい現実がそこには残されています。

福島の原発事故では、余震などの影響もあって、4号機プールが崩壊しそうになり、プールの下部を鉄骨やコンクリートで補強することによって、危機一髪での崩壊を免れています(4号機の使用済み核燃料などは、2014年12月に1,535体すべてが取り出し完了済で原発敷地内の共用プールに移されている)。

なぜ、使用済み核燃料プールが崩壊したら、ヤバいのでしょうか。

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