東電の危ない体質を知るためにも、ドイツの公共放送ZDFの動画(約30分)を見ておこう!
さて、最後に読者の皆様にぜひご紹介したいのは、福島原発事故を取材したドイツの公共放送ZDFの『フクシマの嘘』という30分程度の動画のことです。内容をざっとかいつまみます。
そもそも福島原発は1970年代はじめ、米国のゼネラルエレクトリック社(GE)が建設を請け負って完成させたものです。
したがって保守点検もGEの技術者が行っていました。
しかし、当時のGE技術者で原発の保守点検を担当していた人物が、原発の蒸気乾燥器に亀裂を発見したり、蒸気乾燥器が逆向きに取り付けられていたことなどを報告したのに、東電からは「もみ消し」を命じられた──と証言しています。
この人は10年後にGEを解雇されてから、監督官庁にそのことを告発しましたが、これまた「もみ消し」がなされ、スルーされた──などの状況証言があります。
また、福島第一の原発立地は、当初35メートルの台地に建設される予定が、冷却水の取水に都合のよいように標高10メートルのところまで掘削して建設し、おまけに津波の被害を軽視して6メートルの防波堤しか作っていなかったために、津波による全電源喪失に到ったこと──などが当時の菅直人首相の言葉でも語られています。
そして、地震発生4日後には、東電は、福島原発から関係者全員を撤退させてほしい──と当時の民主党・菅直人首相に泣きついたことなども改めて紹介されています。
思い出していただきたいのですが、東電は無責任なことに原発事故の収束をさっさと諦めて、全員が福島原発から逃げる──という「究極の選択」の判断をしていたことが当時でも報じられていました。
関係者から何度も警告を受けていたという津波対策を怠って、原発を作って稼働させ、いざ原発事故が起きたら、オレたちはもう逃げたい!
東日本一帯が放射能汚染で人が住めなくなる状況になることが予想されたのに、まったく平気で、自分たちの安全と保身を優先させて「撤退させてくれ」と首相に求めていたのでした。
菅首相が東電の福島撤退を許していたら、福島はもとより、茨城、群馬、栃木、東京、神奈川、埼玉などに…、いや東日本全体にわたって、人はまったく住めなくなってしまっていたことでしょう。
日本の半分が、壊滅していたのです。
こうしたことが、このドイツ公共放送の動画をご覧いただければ、真相への理解が深まり、原子力ムラの暗躍がよく窺えるはずなのです。
原発発生時に、政府と東電の間でどんなやり取りがあったのかなど、もう一度振り返るのにとても「よい手がかり」にもなるはずですから、『フクシマの嘘』をぜひ、ご覧ください。
YouTubeで視聴できます。
日本崩壊の瀬戸際にあった真実を、この動画を見ることで理解していただければと切に思うのです。
● 『フクシマの嘘』独ZDFテレビ フルバージョン(YouTube)
それでは、今回はここまでといたします。
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image by: 経済産業省 資源エネルギー庁