高市早苗政権の続投が決まり、日本の政治と経済の先行きをめぐる空気は、楽観よりも警戒に傾きつつあります。永江さんは自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、感情論や支持・不支持をいったん脇に置き、政策の中身と過去の成功・失敗例を踏まえながら、崩壊を避けるための最低条件と個々人が取るべき自衛の視点について整理しています。
高市政権下で、我々が生き残るための「マシな」シナリオ
Question

高市政権が続投になりました。「高市さんは頑張っているから!」で雰囲気で投票してしまう層はおいといて、それなりにビジネスの上流に携わっている人であれば、高市首相の打ち出す方針や不用意すぎる発言に、これまでにない危機感を抱いていることと思います。
特に高橋洋一氏が参謀だという点が絶望的で、さらに本来はストッパーになるべき片山さつき氏は高橋氏と主張が近い様子です。この点、永江さんはどう思われますでしょうか。
また、全体的に高市政権の今後について、永江さんの予想される、現実的に最もましなパターンとしてはどのあたりになりそうでしょうか。すでにメルマガ読者の多くは最悪パターンの想像はしているでしょうから、せめて良いパターンを……
永江さんからの回答
おっしゃる通り、ビジネスの現場にいる方であれば、高市政権に対して相当な危機感を抱いていることでしょう。今の高市政権は、戦略なきスロット依存症のギャンブルと同じ状態です。このままでは日本は崩壊します。なぜそう言い切れるのか、そしてこの絶望的な状況でマシなパターンは何なのか、わたしの見解をまとめますね。
最大の問題は、高市さん本人が経済の素人だということです。素人でも優秀な参謀がいれば良いのですが、取り巻きが悪すぎます。特に高橋洋一氏は、Xを見ていても「1ドル300円でも平気だ」とかめちゃくちゃなことを言っていますよね。もはやリフレ派の中でも内紛が起きているレベルで、まともな経済学者は呆れています。
次に高市さんは積極財政を掲げていますが、その中身がスカスカです。30項目以上の政策に小出しに予算をつけると言っていますが、これは近代戦争で最もやってはいけない逐次(ちくじ)投入です。ガダルカナル島の戦いで日本軍が大敗したのと同じパターンですよ。
例えば「AIに1兆円投資する」と言っていますが、今の日本にそれを使いこなせるエンジニアや学生がどこにいますか?本当に優秀な学生は1年生の時に海外企業にヘッドハンティングされています。実力のない大企業や、ソースコードすら読めない自称・専門家に金をばら撒いたところで、10年後に10兆円になって返ってくるはずがないんです。
もし本気で積極財政を成功させたいなら、過去の成功例(ニューディール政策や日本の戦後復興)に学ぶべきです。つまり、成功したのは全てインフラ投資でした。
1兆円をAIに溶かすくらいなら、例えば東北に世界最高峰のスノーリゾートを建設し、全世界の富裕層から外貨を吸い上げる。それくらい一気投入して、半年で効果が出る勝負をすべきです。
もう一つ、わたしが何度も言っている隠し金山は「脱税の摘発」です。日本にはアンダーグラウンドの経済が20兆円規模であると言われており、AIに1兆円使うなら、そのお金で税務職員を3倍に増やすんです。北欧のように、納税はサービスを買う権利という意識を根づかせ、きっちり回収する。これだけで毎年5兆円以上の税収増が見込めます。
では最もマシなパターンとは何かと言うと、高市さんがどこかで正気に戻り、実績のある実務家のアドバイスを聞くことです。それこそトヨタの社長や、かつてリクルートの巨額債務を完済した実績のある経営者のような、現場で数字を動かしてきた人間を中に入れる。机上の空論ばかりの学者やリフレ派ではなく、実務のプロに投資して金が儲かるところを選別させる。これしかありません。
結局、日本が人口減少という厳しい現実にある以上、外国人を受け入れず、ただ借金してばら撒くだけで成長するなんて魔法は存在しません。「強い経済を取り戻す」という抽象的な言葉に騙されないでください。下流の視点を持たないリーダーに期待するのではなく、我々自身がデータの裏側を読み、自衛していくしかないと思います。
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