春先の天気予報で頻繁に耳にするようになった「黄砂」。視界を悪化させ洗濯物や車に付着するだけでも迷惑ですが、場合によっては花粉症以上にひどいアレルギー症状を引き起こすことがあるというので、かなりのやっかいモノです。今回のメルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』では、患者さんたちからよく聞くようになった「黄砂」について施術家の吉田さんが深掘り。黄砂によってアレルギーが起きる原因や、よくある症状、予防法など、詳しく調べて伝えています。
黄砂アレルギーとはどのようなもの?治療や対策を調べてみた結果
最近は日々の施術の中で患者さんから黄砂の訴えを良く聞く。「きょうは黄砂がひどいんだってね~」とか、「黄砂が凄いらしいのでこのナイロンのコート着てきました!」といった感じだ。
春になると車や建物に黄色い砂が積もる。これが黄砂だ。駐車している車なんてベトベトになることもある。これは中国やモンゴルの砂漠の砂が偏西風にのって、はるばる日本まで飛んできたもので、この現象を「黄砂」という。いまさらだが。
黄砂は少しの量なら問題はないのだが、年々、量が増えてきているのだ。それは中国で起こっている砂漠化の影響だといわれている。工業化が進み、森林を切り開いて土地開発を続けた結果、中国では砂漠のように乾燥した土地が増え、そこから放たれる砂は多くの有害な化学物質をのせて日本までやってくる。
化学物質を含んだ黄砂は呼吸器系の病気やアレルギーを引き起こしたり、農作物に害を与あたえたりする。また、川や湖に黄砂が落ちると、富栄養化してプランクトンが異常発生するなど、自然への影響も大きい。そうしたことから黄砂は今、大きな環境問題のひとつと考えられている。
これまで花粉症になったことがないのに、突然、花粉症のような症状が出始めた…そのような場合、それは花粉症ではなく、黄砂アレルギーかもしれない。
黄砂は中国などから飛んでくる砂漠の砂やちりで、春に多く飛散し、アレルギーを引き起こす原因となるという。花粉アレルギーのようにメジャーではないが、そのうち当たり前のように日常言語となり、耳鼻薬にも「黄砂アレルギー」などと表記されるのだろう。
しかし、黄砂アレルギーとはどのようなものなのだろう。治療や対策はどうしたらよいのかについて少し調べてみた。
黄砂アレルギーとは?
そもそも昭和世代にとって「黄砂」という言葉は、昔はなかったと思う。しかし最近はニュースなどで何かと耳にする。まず初めに、黄砂とはどのようなもので、なぜアレルギーの原因となるのか、黄砂アレルギーになりやすい時期はいつなのか?ということだ。
中国やモンゴルの砂漠の砂やちりが、偏西風にのって日本まで飛んでくる現象を「黄砂」というが、中国での砂漠化などの影響により、黄砂の飛散量は年々増えているらしい。
飛散量の多い日は、車や建物、洗濯物などに黄砂が積もっているのが確認できるほどで、とても厄介だ。黄砂の飛散量は、気象庁のホームページなどで確認できる。
しかし、どうして黄砂でアレルギーが起こるのだろう?日本へ飛んでくる過程で、黄砂には大気汚染物質やほこり・ゴミ・ダニなどが付着するという。こうしたものが体内に入り込むことで、アレルギーを引き起こしてしまうということだ。
黄砂の粒子の大きさは約4μmと大変小さいため、体に取り込まれやすく、アレルギー症状が重症化しやすい特徴があるのだ。黄砂アレルギーになりやすい季節は、例年2月ごろから増え始め、飛散量のピークは3月から5月となる。これはスギ花粉症の時期とちょうど重なる。
これまで花粉症ではなかったのに、突然花粉症のような症状が出始めた、花粉が少ない日なのにアレルギー症状がある、というような場合は花粉症ではなく、黄砂アレルギーかもしれない。確かにそのような人は沢山いる。
また、黄砂はそれ自体がアレルギーを引き起こすだけでなく、花粉症を悪化させるということも分かってきているというのだ。黄砂アレルギーの症状は花粉症と同じような症状が出る。
- 目のかゆみ、皮膚のかゆみ
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- のどの痛み
- 咳
- 頭痛
また、黄砂はスギ花粉よりも粒子が細かいため、肺の奥まで吸い込まれやすく、気管支炎や喘息の原因となってしまうことがあるために注意が必要だというから油断ならない。
しかも、黄砂によって皮膚のかゆみや湿疹などの症状が出る人は、金属アレルギーの傾向があるといわれていて、黄砂に含まれる金属物質に反応し、皮膚の炎症が引き起こされている可能性があるという。顔や首などの露出の多い部分だけでなく、頭皮がかゆくなる場合もあるというから厄介だ。
ところで、この黄砂は一体いつから活性化したのか?
黄砂現象は古くから存在し、人類に影響を及ぼしてきたらしい。歴史的な黄砂の記録として、古代中国の文献には、黄砂に関する記述が見られる。黄砂が中国やその周辺地域に達する様子が描写され、古代からその存在が知られていたことが窺えた。
しかも、日本では古代から黄砂の現象が記録されており、風が運んだ砂や塵が稲作に影響を与えたという記述が見られる。
黄砂による健康への影響としては、黄砂に含まれる微小な砂や粒子が、呼吸器系に影響を及ぼすことが知られている。特に、その微粒子が気道に侵入し、呼吸器疾患を引き起こす可能性があるとのこと。
皮膚に付着した黄砂は、かゆみや湿疹の原因となることがあり、特に、アレルギー体質の人々にとってはより深刻な問題となる可能性が出てくるだろう。
しかも、黄砂は大気汚染の一因となりえる。微粒子が大気中に漂い、大気の透明度を低下させ、視界を妨げる。更に農作物や水域に黄砂が運ばれると、土壌や水質に影響を与え、生態系に悪影響を及ぼす可能性も出てくるらしい。
黄砂の予防方法なんてあるのか?
予防のためには、黄砂の発生源となる砂漠地域での土地利用や植生保護が重要だろうが、それは国家がやることだ。植林や防風林の設置などが効果的な手段として考えられるのだろうが、果たしてどこまでやっているのかは不明。
個人レベルでの予防策としては、黄砂の影響が懸念される日にはマスクの着用や屋内での活動を心掛けることくらいしかできないだろう。他には外出時に帽子や長袖などで皮膚を保護することくらいのものだ。
以前ある研究チームが、黄砂の粒子がどれくらいの距離を移動するかを調査するために実験を行った。その結果、黄砂の微小な粒子が実際には何千キロもの距離を移動していることが分かったという。当時は本当か?などと思ったものだ──(『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』2024年4月26日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・吉田正幸さんのメルマガ
image by: Arvydas Kumpis / shutterstock.com