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北朝鮮が飛ばす約600個の「汚物風船」がもたらした被害はどの程度だったのか?

北朝鮮から韓国に向けて飛ばされた「汚物風船」による被害が明らかになってきました。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が現在の韓国の状況を詳しく語っています。

北朝鮮の汚物風船、落ちて爆発することも

北朝鮮が1、2次にわたって吹き飛ばし、全国各地で発見されている「汚物風船」から化学物質などは出なかったが、自動車のガラスを破損するなど実質的な被害を生んでいる。

特に住宅街や市場など住民の往来が多いところでも重さ5キロを超える積載物が爆発しないまま発見され不安を募らせている。

6月2日午前8時30分ごろ、京畿道富川市梧亭区大庄洞(キョンギド・プチョンシ・オジョング・デジャンドン)に汚物風船2個が落ちた。このうち1つがトラックの前輪の近くに落ちて爆発したため、タイヤと車両の運転席の外部が燃えて煙が上がり煤が生じた。このため風船や積載物に爆発や火災の危険がある火薬などの引火物質が含まれているのではないかという分析もでている。警察関係者は「風船の中にあったタイマーが燃え、トラックの車輪を焼いたもので、大きな火災にまで広がることはなかった」と話した。

また同日午前10時22分ごろには安山檀園区(アンサン・ダンウォング)に立つビラの駐車場にも汚物風船が落ちた。風船は駐車場に駐車されていた乗用車に落ちフロントガラスが粉々になった。

当時乗用車には誰も乗っておらず、周辺に通行人もいなかったため人命被害は発生しなかったものの一つ間違えば大きな人命事故につながることは目に見えている。破れていない袋の中にはプラスチック瓶をはじめとするゴミや土などが入っていたと伝えられた。

ソウル陽川区新亭2洞でも同日午前5時40分ごろ、道路に駐車していたSUV車両の上に風船が落ち、助手席のガラスが割れた。風船にぶら下がっていたビラや汚物などを入れたビニール袋が破れずそのまま落下し被害が大きかったものと思われる。ビニール袋の重さは約5キロと推定された。

また同日午前、安養市万安区のある市場の路地にも汚物風船の推定物体が落ち、中にあった内容物が街を覆った。幸い休日だったのでほとんどの商店が閉店していたため通行人が多くなく怪我をした人はいなかった。

慶尚北道浦項市(キョンサンブクド・ポハンシ)では、花津(ファジン)海水浴場近くの砂場で、汚物風船の推定物体が発見された。

避暑シーズンを控えて人出が集まる海水浴場などに汚物風船が落ちる場合、ややもすれば大きな被害につながりかねないという不安も提起されている。汚物風船にはタバコの吸殻、古紙、ビニールなど汚物・ゴミが含まれていることが把握された。

しかしこのような被害に対する補償が可能かどうかは明らかではない。2016年2月、水原市の集合住宅の屋上に北朝鮮の対南ビラの束が落ちて水タンクとガラスなどが破損し、1月には高陽市(コヤンシ)の車両の屋根が壊れる被害が発生したが、補償をめぐって地方自治体と保険会社などが混線した。

当時、北朝鮮の対南ビラの束が落ちて発生した被害を政府が補償する根拠を設けた民防衛(ミンバンウィ)基本法の改正が推進されたが、立法予告の段階で中断してしまった。

警察関係者は「まだ北朝鮮の対南汚物風船による被害補償規定はない」とし「破損した乗用車の車主が加入した保険会社側も補償が可能な状況なのか内部検討中だと理解している」と話している。

合同参謀本部によると、北朝鮮は前日の1日午後8時から汚物風船を飛ばし始めた。ソウル・京畿・仁川など首都圏はもちろん、江原(カンウォン)・忠北(チュンブク)・慶北(キョンブク)を含め、全国で現在まで約600個が確認されている。(1回目のときは260個余り)。

これらの地域では「積載物落下に注意し、汚物風船発見時には絶対に接触せず、軍部隊(1338)や警察に通報してほしい」という内容の安全案内メッセージを送出した。

一方、京畿道は北朝鮮の「汚物風船」散布と関連し、道民の安全保護強化措置として2日から「京畿道非常対応状況室」を設置し運営すると明らかにした。京畿道によると1日夜から現在まで道内全域で600個以上の風船が識別され、軍、警察、消防など関係当局が協力して回収中だ。

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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