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森保Jが目を背けるアジアサッカーの闇。日本サッカー協会がミャンマー市民虐殺に“加担”!?「親日利権」に群がる面々

2026年北中米W杯アジア2次予選で今月6日、ミャンマーを5-0で粉砕したサッカー日本代表。6戦全勝で無事9月のアジア最終予選にコマを進めましたが、そんな森保ジャパンに在日ミャンマー人から抗議の声があがっているのをご存じでしょうか?といっても、試合内容に対するクレームではありません。彼らは、ミャンマー市民を虐殺する国軍やそれに近いミャンマーサッカー連盟に、「お墨付き」を与えた日本サッカー協会に憤慨しているのです。メルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』著者の伊東さんが詳しく解説します。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:サッカーW杯予選ミャンマー戦の裏で蠢く”親日利権” ミャンマー国民の虐殺に加担した日本サッカー協会 「アジア最後のフロンティア」、ミャンマーに巣食う日本右翼

サッカー日本代表に在日ミャンマー人から抗議の声があがる理由

6日、FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会出場を目指す日本代表が、アウェーでミャンマーと対戦。試合はヤンゴンで行われ、日本は5-0で圧勝した。

しかし、その裏で多くのミャンマー国民が苦しんでいることを私たち日本人は知らない。

5月、ミャンマー戦を前に、日本サッカー協会はミャンマーサッカー連盟と若手選手の育成や指導者の養成などで協力する協定を結んだ。

しかし、この協定に対して31日、在日ミャンマー人の有志が東京都内の日本サッカー協会を訪れ、

軍の宣伝に手を貸し、弾圧を後押しする結果になりかねない」(*1)

として、協定の破棄や停止を求めた。

実際、ミャンマーサッカー連盟の会長は、建設会社や銀行などからなる財閥を率いており、2019年に国連人権理事会が発表した報告書では、ミャンマー軍に対して多額の寄付を行ったと指摘されている。

ミャンマーでは、ウクライナやガザと同様にいまだに殺戮が繰り返されているが、日本政府は伝統的にミャンマー政府に対して甘い。その背景には、日本の右翼人脈と連なるミャンマーへの「親日利権」がある。

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ミャンマー市民の虐殺に“加担”した日本サッカー協会

6日の試合に先立ち、5月22日に東京都内で、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長とミャンマーサッカー連盟(MFF)のゾーゾー会長がパートナーシップ協定の覚書に署名。

この協定には、ミャンマーの若手選手の育成や女子サッカーの強化を支援することが含まれ、協定は3年間(*2)。

しかし、ミャンマーでは2021年2月の軍事クーデター以降、国軍の弾圧により多数の市民が犠牲になっている。またミャンマーサッカー連盟の会長も国軍に近い政商だ。

この協定について、ミャンマー出身のナンミャケーカイン・京都精華大学特任准教授は東京新聞の取材に対し、

「多数のミャンマー国民が軍に殺されている状況で交流している場合か。『被害者への思いやりはどこにあるのか』と受け止められる」(*3)

とコメントしている。

実際、人権団体や国連によると、クーデター後のミャンマーでは国軍の弾圧により5100人以上が死亡し、約300万人が国内避難民となっている状態だ。

国軍の影響力が強いヤンゴンは表面上落ち着いているものの、地方では民主派が攻勢に出ており、国軍は今なお激しい空爆を行っている。

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日本とミャンマーとの親日利権

問題はサッカーだけではない。

福岡市動物園はミャンマーからアジアゾウ4頭の受け入れ準備を進めている。クーデター前の2019年12月、姉妹都市のヤンゴン市と結んだ覚書に基づく事業で、福岡市からもライオンなどを提供するという。

しかしながら、ミャンマーでゾウは、かつて王権の象徴とされた特別な動物だ。すなわち、ゾウの受け入れはクーデター後の軍政の容認と受け止められかねない(*4)。

このような日本政府のミャンマー”優遇”の背景には、日本右翼の”親日利権”が隠されている。

そもそも、日本の自衛隊は、約2000人の民間人を殺害した軍の関係者を受け入れ、訓練を施している。

日本政府は、委託を受けて訓練を実施できる自衛隊法の規定に基づき、35カ国の軍関係者を留学名目で受け入れてきた。

そのうち、ミャンマーについては民政移管後の2015年度に開始。2021年度までに国軍の幹部や幹部候補生ら30人を受け入れた。クーデター後に受け入れているケースもあった(*5)。

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「アジア最後のフロンティア」、ミャンマーに巣食う日本右翼

ミャンマーの現行憲法には、国会議員の25%や国防、内務、国境の3大臣を総司令官が選ぶ規定がある。しかし、ミャンマー国軍の成り立ちには日本との深い関係がある。

具体的には、第二次世界大戦中、旧日本軍が反英運動を指導するスーチー氏の父アウンサン(故人)らに訓練を施して結成させた「ビルマ独立義勇軍(BIA)」が国軍の母体となった。

旧日本軍はBIAとともにイギリスを追いやった後、ミャンマーを占領。ただし、旧日本軍の高圧的な振る舞いは評判が悪く、現地では「キンペイタイ(憲兵隊)」という単語が残る。

また、西部ラカイン州の支配権争いでは、旧日本軍が仏教徒のラカイン人と英国がイスラム教徒(ロヒンギャ)を武装させたことがあった(*6)。

これらの歴史的な衝突は、現在も続く対立の一因に。そして日本とミャンマーの関係は「アジア最後のフロンティア」と呼ばれる地で結び付く。

また、一般社団法人「日本ミャンマー協会」には国会議員や大手企業が多く関わっている。

最高顧問の麻生太郎氏が就き、理事には甘利明加藤勝信浜田靖一の各自民党衆院議員、立憲民主党の枝野幸男前代表らが在籍する(*7)。

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引用・参考文献

(*1)「“ミャンマー軍が利用も”日本サッカー協会に協定破棄申し入れ」NHK NEWS WEB 2024年6月6日

(*2)北川成史、曽田晋太郎「日本サッカー協会の人権感覚が疑われている パートナー協定を交わしたミャンマー連盟は独裁政権にベッタリ」東京新聞 2024年5月28日

(*3)北川成史、曽田晋太郎、2024年5月28日

(*4)曽田晋太郎、岸本拓也「サッカーも動物園も…日本は無神経すぎないか ミャンマーとの交流に潜む国軍のプロパガンダ利用の恐れ」東京新聞 2024年6月1日

(*5)北川成史「民間人を弾圧するミャンマーの軍人を留学させ、訓練を施す日本 クーデター後も受け入れ継続」東京新聞 2022年6月19日

(*6)北川成史、2022年6月19日

(*7)北川成史「在日ミャンマー人の間で評判悪い日本の元国会議員は何をしたのか クーデター起こした国軍幹部と…」東京新聞 2022年8月14日

(『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』2024年6月15日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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image by: Mehr News Agency, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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