24年ぶりに平壌を訪れたプーチン大統領を歓待し、ロシアとの間に包括的戦略パートナーシップ条約を締結した北朝鮮。両国に強い影響力を持つ中国は、この動きをどのように受け止めているのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、ニューヨーク・タイムズが「中国の本音」を報じた記事を紹介。その上で、日本が中露朝3カ国の「亀裂」を利用できるような戦略を身につける必要性を説いています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:プーチンと金正恩と習近平
プーチンと金正恩と習近平
プーチン大統領が北朝鮮を訪問しました。24年ぶりです。
空港では金正恩総書記が異例の出迎えを行い、プーチン氏と抱擁を交わしました。
ロシアはウクライナで使える武器弾薬を必要としています。一方、北朝鮮はロケット技術や食料、燃料などの支援を必要としています。お互いに緊急の必要性があるのです。
その後、ロシアの通信社は、両首脳が包括的戦略的パートナーシップ条約に署名したと報じました。
そのロシアと北朝鮮に決定的な影響力をもつのが中国です。
大局的に見れば、独裁者が支配する「ロシア・北朝鮮・中国」が軍事的・経済的な結束を強めているようにもみえます。
しかしながら、中国はこのロシア・北朝鮮の交流をあまり快く思っていないようです。
ニューヨーク・タイムズの6月20日の記事をみて見ましょう。
中国にとって新たな頭痛の種となるロシアと北朝鮮の防衛協定
中国と北朝鮮は公式には緊密な関係にあるという。
しかし隣国同士の関係は長い間、相互不信と共通の利害が入り混じり、険悪なものであった。
2011年に政権を奪取して以来、金氏はミサイル発射実験の回数を急速に増やし、北朝鮮の核兵器プログラムを拡大することで、中国を不快にさせてきた。
習近平氏は金氏との会談を拒否していた。
トランプ大統領が北朝鮮の独裁者と会談する計画を発表したため習近平は方針を転換し2018年、トランプ大統領との首脳会談の前後に金氏と会談した。
今回のプーチン訪朝に関して、延世大学のジョン・デリー教授(中国学)は言う。
「プーチンと金正恩の新しい協定は、中国にとって良いニュースではない。金正恩の攻撃的な傾向を助長することを心配する理由が増えている」
ロシアがウクライナで使用する軍需品と引き換えに、平壌の核兵器プログラムを強化する技術を北朝鮮に提供するのではないかという懸念はすでに溢れている。
習近平は2つの亡国と手を組むことで、予測不可能な指導者の行動から影響を受ける危険性をもつ。
この協定はまた、中国、ロシア、北朝鮮の三国間の関係を深めるように見えることで、中国にとってさらなる頭痛の種を生み出す。
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解説
現実世界では、身内に脅かされるという事はしばしば起こります。
もう大人になった引きこもりの子供に脅かさてお金を出し続けている親はいるでしょう。
中国にとって北朝鮮は困った身内のようなものでしょう。
北朝鮮の独自開発した核兵器、ミサイルは方向を変えれば、中国全土が射程距離に入ります。
そこにまたロシアのロケット技術が入れば、さらに精度が増します。
その刃は中国にも向く可能性があるのです。
北朝鮮が破綻寸前になれば猶更です。
「何とかしろ」と暗に脅しをかけられる可能性は十分にあるでしょう。実際、すでに脅されているかもしれません。
また中国は経済大国として世界各国との取引があります。
孤立した経済ブロックになっては、国民を食べさせていけません。
中国は、公的にはこういった事は言えません。
しかし、確実にこの3か国には亀裂があります。
その亀裂を利用できるような戦略が日本にほしいものです。
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(『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2024年6月23日号より。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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