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都知事選が分岐点に。NHK党の元幹事長が吐露、立花孝志氏を改心させられなかった忸怩たる思いと政治家としての賞味期限

法の不備をあざ笑うかのように、都知事選で選挙ポスタービジネスなるものを展開する「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。このような振る舞いを有権者はいつまで許すのでしょうか。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では、かつてNHK党の幹事長を務めた経験を持つジャーナリストの上杉さんが、同職を引き受けた理由を記すとともに立花氏や同党を「改心」させられなかった経緯を述懐。さらに今回の都知事選が、彼らを政治の世界から退場させる一つの分岐点になるとしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【教育係からの反省】5年前、なぜ立花孝志(執行猶予中)とNHK党(旧N国党)を改心できなかったのか?

【教育係からの反省】5年前、なぜ立花孝志(執行猶予中)とNHK党(旧N国党)を改心できなかったのか?

人生に失敗はつきものだ。失敗は誰でも嫌なものである。だが、その失敗が人間を豊かにし、また人生に色どりを付けてくれるのもまた確かだ。

私自身、社会的には失敗だらけの人生である。

「なんであんな人物に近づいたのだ?」「惜しいよね、メディアさえ敵に回さなければ、能力を活かせたのに」「16本のテレビレギュラーを降板?オワコン、残念すぎるね」

こんな言葉を何度投げかけられたことだろう。

『人生から失敗をゼロにする方法』(三笠書房)という本の著者なのに、失敗だらけというのは問題があるのだろうか?

いや、実は、私自身はそうした指摘の中のひとつたりとも失敗だとは思っていない。むしろ、私の失敗の概念というのは世間のそれとは違い、チャレンジの途中で、休止を余儀なくされた成功の過程だとみなしているほどだ。

確かに、救済を求められ、人助けのつもりで手伝うと、しまいには当の人物に逆恨みをされ、裏切られる。そのようなケースは枚挙にいとまない。それでも、私はチャレンジを続けて、いわゆる「失敗」を繰り返している。

そうした批判の中で、私自身、もっとも大きな失敗だと言われているのが、NHK党の立花孝志氏を手伝い、同党の幹事長に就任した件だ。

「なんであんなやつとつるんだのだ」「上杉さんを嫌いになったのはあんな政党の幹事長を引き受けたことだ」「最低の選択だったな」

こうした言葉はもっともだろう。昨今の立花氏とNHK党の目を覆いたくなるような蛮行の数々を考えれば、私自身でもそう思う。だが、私は幹事長になった自体は問題だとは思っていない。なぜか?それは、5年前の就任会見で私自身の語った5つの宣言を知ってもらえば、納得してもらえるところもあるのではないかと思う。

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以下は2019年8月に憲政記念館で行われた私の就任記者会見のまとめである。

上杉隆が2019年8月13日に幹事長就任会見で述べたNHK党で目指す5項目を以下にまとめます:

政治教育の充実
上杉は、国政政党としてふさわしい「政治教育」を行うことを目指しています。彼は自身の25年以上の秘書経験や永田町での知識・人脈を生かし、党の議員やスタッフに対して永田町での作法や行儀についてのアドバイスを提供することで、より健全な党の成長を促進すると述べています。

党勢拡大
幹事長としての主要な役割の一つとして、党勢を拡大することを挙げています。具体的には、橘隆投手の政治家としての適性を説明し、実際に人々に会ってもらうことで党への理解と支持を広げることを目指しています。

新人発掘
上杉は、新人の発掘も重要な任務と考えています。全国11ブロックで、国会議員にふさわしい人材を探し、公認権を使いながら、新人や現職議員を発掘・育成していくと述べています。

マスコミ対応
上杉は、マスコミ対応の窓口としての役割も果たすとしています。特に、立花隆投手のメディア対策の補助を行い、定例会見や記者クラブとの対応など、正しい情報発信を支援することを目指しています。

党運営
最後に、党の運営に関する業務も担当すると述べています。幹事長として、党の事務所や国対的な連携を含めた通常の業務をこなし、党の接着剤としての役割を果たすことを目指しています。

これらの5項目を通じて、上杉隆はNHK党の幹事長としての責任を果たし、党の成長と発展に貢献する意向を示しています(ChatGPT4o)。

重要なのは一番目である。実際、私はNHK党の幹事長を受諾する条件として、1番目だけを立花氏に提示した。すでにその頃、NHK党は、地方議員への誹謗中傷を繰り返し、批判相手の選挙演説の場所や議会にまで押しかけるという蛮行を繰り返していた。

しかし、仮にも国政政党の党首である。私は、立花氏に、国政政党の党首としての責任ある振る舞いを求めた。彼らのお行儀を正すことが、国政政党として、国権の最高機関である国会の一員としてまずはふさわしいように思えた。私の役割は国政の場の教育係で、それを自ら買って出たのだ。

とはいえ国会という場では、闊達な議論を妨げるべきではない。価値観の違いをぶつけるなどの論争の中で、民主主義の成熟に寄与するような国政政党に成長することを願った。

だが、立花氏のそのやり方は野蛮で粗野なままだった。相手の意見や価値観を封じ込め、一方的に自らの意見を強要する、まさしく暴力的な権力の使い方だった。それは、民主主義国家において許される行為ではない。私は就任当日から、行儀の悪い党幹部や党員への教育をスタートさせた。もちろん、立花党首への苦言が連日続くことになる。

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結果として、立花孝志という人物に健全なふるまいを理解させることはできなかった。党所属の国会議員や党幹部で、私の意図を理解したのは、渡辺よしみ参議院議員、丸山穂高衆議院議員、大橋昌信副党首の数人だけだった。

残りのメンバーは、立花孝志氏の悪行に対して、注意をするどころか、一緒になって蛮行を繰り返す輩の集まりと化したのだった。私自身はそうした野蛮な人物たちの恨みを一身に買って、誹謗中傷の対象となり、最終的には当の立花氏から事実無根の誹謗中傷を受けて、敵視、追放されるという運命が待っていたのだ。

まさしく、当時、そうした心情を吐露したのが「われはセネカか?」(ネロ帝とセネカ)という一文である。

【ネロ帝とセネカ】幹事長辞任の理由(NHK党と森友学園)

「東に行け」と言われて東に向かって歩んでいると「なぜ西に行かなかったのか!」と叱られる…。みなさんにもこんな経験はないだろうか?

冒頭で「失敗ではない」と言ったのは、まさしく私自身が危惧して、そうした損な役回りを回避しがちの日本にあって、彼らを教育するのが私の役割だと思ったからこその幹事長就任であったからだ。そうした意味で、私の危惧は的中した。昨今のうんざりするような立花孝志とNHK党の振る舞いを考えれば、当時、食い止め、改心させておけばと思わずにおられない。

あれから5年、当時、私自身が注意喚起し続けた地方議員(中央区議会議員)への強要で、立花孝志氏は有罪判決を受け、いまなお執行猶予中の身である。にもかかわらず、蛮行を繰り返しているのはどういうことか。

党内部で彼に注意をする人物はいないのか?立花氏の走狗と化した浜田聡参議院議員などに期待するだけ無駄なのか?大橋氏も渡辺氏も丸山氏もいないいま、ほとんど野放しにせざるを得ないのか?

さすがにこれ以上の被害拡大は許されないだろう。今回の立花孝志氏の選挙ポスタービジネスにおいては、法律は許しても、社会は許さない気がする。日本人に最後の良心が残っているのならば、立花孝志氏のような輩を二度と政治の世界に入れることなく、また周囲の人物たちも一緒に退場させる時期がきたように思える。現代日本社会に求められているのはそうした政治の健全化だ。

果たして、立花氏のような者が歓迎される社会はいつまで続くのか、あるいは、こうした蛮行に批判の声を挙げ続ける者たちの勝利が来るのだろうか、今回の都知事選はその分岐点となるに違いない。(了)

(本記事は有料メルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』2024年6月24日号の一部抜粋です。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: X(@nhkparty

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