ショート動画で成功したクリエイターへのインタビューを行い、彼らの成功の秘訣を探るオリジナル潜入企画「バズるショート動画の裏メソッド」。前回はTikTokフォロワー970万人超えのタレント/クリエイター「はやたく」がいかにして世界中でフォロワー数を増やしたかのカラクリを暴いたMAG2編集部が、今回は具体的にどうすればバズるのか? その手法を徹底的に聞き出してきます。
前編はこちら:バズる秘訣は、しゃべらない…総フォロワー2000万人超え・はやたくが教える動画でブレイクする方法
プロフィール:はやたく
2000年4月3日生まれ。学生の頃からSNSで自撮り発信を始め、言語に頼らないノンバーバル動画で世界的に大ブレイク。2020年にTikTokの男性部門日本1位を獲得し、現在もTikTokフォロワー970万人超え、2022年に開設したYouTubeチャンネル「HAYATAKU はやたく」もわずか2年で1000万人超えを達成。国内より海外に多くのフォロワーを持ち、TikTokでは再生回数1000万回超えの動画がいくつも並ぶ人気タレント/クリエイター。
再生回数1000万超えを次々と生み出すカラクリは?
それは一通のメールから始まった。
前回、室長・花輪の命令により、動画クリエイターのはやたくの取材に訪れたタキバヤシ。ノンバーバルという手法で世界で大ブレイクするという驚きの方法が明らかに。しかしまだ謎の解明に満足しないタキバヤシは、再生回数1000万回超えを次々と生み出すカラクリの解明に取りかかるのであった。
秘伝1:あえてツッコミどころのある動画を作る。
タキバヤシ:私たちは動画を一瞬でバズらせる勝者のレシピを探してまして、なにかご存知ないですか?
はやたく:勝者のレシピ?それかどうかは僕も知りませんが、バズらせる秘訣はありますよ。
タキバヤシ:ぜひ教えて下さい。
はやたく:まずはあえてツッコミどころのある動画を作るとバズるということです。
タキバヤシ:ツッコミどころ?といいますと?
はやたく:例えば背景のすごい奥の方でちっちゃい骸骨のようなものを踊らせるんですよ。
タキバヤシ:小さい骸骨を踊らせる、、、なぜ?
はやたく:本当に目を凝らさないと見えないぐらいでもいいんです。
タキバヤシ:それだとスルーされるじゃないですか?
はやたく:そうなんです。ほんとんどがスルーするんです。でも気づいた人がどうするかと言うと、、、
タキバヤシ:どうするんですか?
はやたく:コメント欄に書き込むんですよ。
タキバヤシ:コメント欄に?
はやたく:するとそれを読んだユーザーが私も見えた!私も見えた!ってコメントが増えていくという。
タキバヤシ:あ、ずるい。意図的に仕掛けを用意しているんですね。
はやたく:すると再生回数が増えるだけでなく、視聴時間も長くなるのでもっとほかのユーザーさんにレコメンドされるんです。
タキバヤシ:そして再生回数がまた増えるという仕組みに?
はやたく:そうなんです。ファンが楽しめるコンテンツを生み出すことができる。そのためだったらどんな仕掛けでも用意します。
タキバヤシ:ツッコミどころを残すことでファンとコミュニケーション、なるほど、そういうのほかにもありますか?
秘伝2:驚き、笑い、共感、胸キュンの要素を入れる。
はやたく:僕の経験上、バズる4要素というがあるんですよ。
タキバヤシ:バズる要素?さっきの仕掛けとはまた別にですか?
はやたく:僕の動画はこの4つのうち必ずどれかを入れているんです。
タキバヤシ:どういう要素ですか?
はやたく:まずは驚きです。ビジュアル的にインパクトがあるものでもいいですし、ストーリー的に驚きがあるようなものでもいいのですが。
タキバヤシ:とにかくワーオ!と驚くようなことを入れるってことですね。
はやたく:次に笑いです。驚きと同じようにとにかく見た目でも内容でもいいので笑わせること。
タキバヤシ:驚きと笑い、確かに通じるところありますね。
はやたく:もう一つが共感です。
タキバヤシ:共感?
はやたく:あるある系とかあーなるほどって思わせるような動画ですね。
タキバヤシ:あるある系はなぜ人気なのですか?
はやたく:共感ネタは知識になるのでいいね!が押されやすかったり、保存されたりしやすいんですよ。
タキバヤシ:あーなるほど、リアクションにつながりやすいと。
はやたく:最後は、胸キュンです。
タキバヤシ:へぇ?
はやたく:女性向けには急にカメラが近づいて壁ドンするような状況を撮ったり、男性がキュンとするような女性の仕草を入れたり。
タキバヤシ:それ関係ありますかね(笑)
はやたく:あると思います。だから僕はできる限りその日で1番かっこいい状態にして撮影するんです(笑)
タキバヤシ:そうなんですね。
はやたく:とにかくユーザーの感情を揺さぶる、この4つの要素のうち2つ以上を入れ込むとバズる確率は確実に上がるんですよ。僕の場合ですが。
@wd7754 修羅場ごっこ!a story about a toy fight!
秘伝3:動画制作の、PDCAを回す。
タキバヤシ:ほかに動画編集の部分でもこだわっていることはあるのですか?
はやたく:僕は動画制作においてビジネスの世界でよく使われるPDCAを回しています。
タキバヤシ:動画でPDCA?
はやたく:例えば1万回再生した動画があったらそのコメント欄から良し悪しを徹底的に分析して改善したものをまた出してます。
タキバヤシ:まったく別の動画ではなく、少し違う形にするってことですか?
はやたく:例えば疑似料理をする動画で、肉を使った部分の反応が良ければ、今度は肉だけを使って動画を5本出すとか、ナイフとフォークの金属音に反応する人が多ければ、今度は金属音を新たに録音して動画を5本あげるとか。そういうのを繰り返しています。
@wd7754 DISSECT A CARDBOARD BOX!
タキバヤシ:ちょっと待って。あの音とかすべて自分で録っているんですか?
はやたく:そうです。人間ってご飯を食べるにしても、咀嚼するにしても、手を挙げるにしても、全ての動作に音が鳴ってるんですよ。なのでそういう音を全部付けています。
タキバヤシ:全ての音を別録りしてるなんて信じられないです。そしてその反応を分析して新たな動画を。
はやたく:そうですね。まずはコメント欄からPLANして、DOで投稿、数字をCHECKして、コメント欄を参考に改善した動画を投稿という流れですね。
タキバヤシ:もとからグローバル目線で考えたり、PDCAを徹底的に回していたり、それを会社ではなく個人でやるというのがZ世代というか令和っぽい考えですね。
はやたく:そうですか?
タキバヤシ:さっきまでいた昭和脳の花輪・室長にはやく聞かせてやりたいですよ。なにが全員野球だよ…。
秘伝4:マネしたくなるような動画を作る。
タキバヤシ:最近はダンボールを使ったショートストーリーが多いのですが、何か狙いがあるのですか?
はやたく:実はあえてダンボールにしているんですよ。
タキバヤシ:あえてと言いますと?
はやたく:もとはおもちゃを使って遊んでいる動画も人気だったのですが、このおもちゃをダンボールで作ったら子どもたちが真似してくれるんじゃないかと思ったんです。
タキバヤシ:どういこうとですか?
はやたく:おもちゃってどの国にも同じものがあるとは限らないし、でもインドやインドネシアでもダンボールはあるんです。
タキバヤシ:確かに。
はやたく:なので誰でも簡単に作れそうなダンボールでおもちゃみたいのを作って遊んだら、みんなが真似してくれるんじゃないかと。
タキバヤシ:確かに子どもでも作れそうな簡単なフォルムのものが多いですね。
はやたく:そうなんです。本当はもっとクオリティの高いのを作れるんですけど、あえて2次元のスタンプのような形にしてます。
タキバヤシ:たしかにそうなってます!
はやたく:ダンボールかつ簡単なフォルムで子どもが切りやすい形にしているんです。
タキバヤシ:器用ですね。
はやたく:僕、昔から工作も得意でして(笑)
@wd7754 CARDBOARD CUP RAMEN!
タキバヤシ:それ以外に子どもの気を引く仕掛けとか入れているんですか?
はやたく:トムとジェリーの対立要素を参考にしています。
タキバヤシ:対立要素?
はやたく:あえて正反対のキャラクターを動画に登場させるんです。
タキバヤシ:アンパンマンとバイキンマンのような?
はやたく:そうです。正義と悪者、いいヤツと悪いヤツ、白と黒といいますか。
タキバヤシ:両極端のキャラを用意するってことですね。
はやたく:それだけじゃなくて、その対立要素を活かして最後にちゃんとオチをつけるんですよ。子どもはちゃんとそういうところも観てますから。
タキバヤシ:するとどうなるんですか?
はやたく:最初はストーリーを観て、その次からは同じダンボールを作ろうとするのでこれまた再生回数が伸びるんですよ。
タキバヤシ:すべて計算でやってるんですね。なんか怖くなってきました(笑)
秘伝5:目標は高く持つ。
タキバヤシ:これまで全ての戦略が当たっていて、2000万人超えのフォロワー数もダテじゃないってことがわかりました。
はやたく:そんなことないですよ。僕も全然ハネなかった動画とかたくさんありますから。
タキバヤシ:そうなんですか?
はやたく:壊れたケータイを修理する動画とか全然でした(笑)
タキバヤシ:そういうのもあるんですね。
はやたく:3回に1回ぐらいしか当たらないという感覚です。当たるまでひたすら繰り返すからというのもありますが。
タキバヤシ:当たるっていうのは何か目標とする数字があるのですか?
はやたく:月に10億回再生ですかね。
タキバヤシ:じゅ、10億?
はやたく:10億回再生いけばノルマ達成だと思っています。
タキバヤシ:フォロワー数で言うと?
はやたく:ゆくゆくは5000万人は行きたいです。
タキバヤシ:10億回再生に5000万人ってパワーワードすぎます。
はやたく:もちろん簡単に行ける数字ではないですよ。難しいとも思ってます。でもこれまでも何度もプランをたて実行してきてますから。
タキバヤシ:確かにそうですね。
はやたく:それに実は、いま動いているプロジェクトもありまして。
タキバヤシ:プロジェクトというと?動画とは違う?
はやたく:動画は動画なんですが、海外で活躍できるクリエイターさんの仲間を作りたいって想いがあるんです。
タキバヤシ:素晴らしいですね。
はやたく:これからはもっと海外に向けて発信するクリエイターさんが増えてきて競争率も高くなってくるはずです。
タキバヤシ:日本のお笑いやコメディアンも続々と海外進出していますしね。
はやたく:なので今のうちに僕が動画制作で培った戦略やスキルなどをお伝えして、海外向けの最強集団を作りたいんです。
タキバヤシ:最強集団、強そうですね。
はやたく:1人でやってもできないことを、みんなでやればすごいパワーになるんじゃないかなと思っています。
タキバヤシ:今度は自分がバズるのではなく、他人をバズらせるのがミッションになる。
はやたく:そうです。本当にそう。でもそれだけじゃないんです。
タキバヤシ:まさかほかにも?俳優業とか?
はやたく:いまはまだ言えないですが、基本的に動画以外にも挑戦していこうと思うので応援よろしくお願いします。
(ピローン)
と、そこにMAG2編集部より一通のメールが届く。
タキバヤシ:な、なんだってー!
はやたく:どうしたんですか?
タキバヤシ:あ、いえ、なんでもないです。はやたくさんすいません、今日は予定がケツカッチンなのでこの辺でドロンさせていただきます。ニンニン。
はやたく:????
ここはMAG2 編集部。ショート動画をバズらせる伝説の「勝者のレシピ」を求めて、ルポライター・タキバヤシの調査はまだまだ続くのであった…。
次回は初めての動画投稿で900万再生、24時間でフォロワー10万人突破のクリエイターの「ガリレオ」さんのバズる手法を暴きます。
取材・文:タキバヤシ
撮影:冨田味我