風邪やアレルギーがきっかけで炎症が起き、慢性化すると数か月も苦しむことになる副鼻腔炎。実はこの病気は精神疾患にも関連があるという研究結果が発表されました。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』で紹介しています。
慢性副鼻腔炎と精神疾患
◎要約:『副鼻腔炎があるときには、うつ病等の精神疾患が多くなる可能性があり、逆に精神疾患があるときにも、副鼻腔炎が多くなる可能性がある』
今回は、慢性副鼻腔炎と精神疾患の罹患が関連し合うのかを調べた研究をご紹介します。
慢性副鼻腔炎と精神疾患
Chronic Rhinosinusitis and Mental Health
アメリカにおける研究で、全国的な疾患登録のデータベース the National Institutes of Health All of Us databaseを元にしており、33,732人(副鼻腔炎がある人もない人も含む、69.3%女性)が対象となりました。
11年の経過で、他の様々な傾向を合わせて、副鼻腔炎の有無や精神疾患の有無の関連性を調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・副鼻腔炎があるときには、うつ病や不安障害に罹患する傾向が高くなっていました(ハザード比でうつ病:1.40倍、不安障害:2.79倍)。
・逆に、うつ病や不安障害があるときにも、副鼻腔炎に罹患する傾向が高くなっていました(ハザード比でうつ病:1.59倍、不安障害:2.37倍)。
(様々な介在する要素があるのかもしれませんが)副鼻腔炎と精神疾患には、お互いに影響し会う関係があると思われる結果でした。
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