米国小児科学会「子供や十代の若者の糖質制限」に懸念表明も、糖尿病専門医が“疑問”に思うワケ

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低炭水化物ダイエットやケトジェニックダイエット。日本でも流行している炭水化物制限のあるダイエットについて、米国小児科学会が子供や若者がおこなうことに「懸念」を発表しました。しかし、糖尿病専門医で自身も二型糖尿病である江部康二さんは、自身のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』で、この発表について「疑問」を呈しながら、穀物食を食べさせることのリスクについても言及しています。

米国小児科学会、小児や未成年の低炭水化物ダイエットに懸念を表明?

読者の方から興味深い情報をいただきました。ありがとうございます。

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20231120/med/00m/070/001000d

以下、その要約です。

米国小児科学会(American Academy of Pediatrics;AAP)は、糖尿病またはそのリスクのある小児や未成年が低炭水化物ダイエットを行うことに対して、ポリシーを発した。

・・・低炭水化物ダイエットでは、炭水化物の摂取量を 1 日の総カロリーの推奨される 45%-65% 未満に制限します。

超低炭水化物ダイエットでは1日あたり20-50グラムの炭水化物を摂取できますが、ケトジェニックダイエットでは一般に1日あたり 20 グラム未満の炭水化物を摂取できます。

子供や十代の若者にとって、こうした食事制限が成長の鈍化、栄養不足、骨の健康状態の悪化、食行動の乱れにつながるのではないかという懸念があります。・・・

・・・「有名人や減量プログラムが、低炭水化物ダイエットやケトジェニックダイエットによる炭水化物制限を支持しているのをよく見かけますが、子供や十代の若者に対するこれらの食事計画の身体的、代謝的、心理的影響に関する証拠は限られています」とFAAP共同のタマラ・ハノン医師は述べた。・・・

要するに、米国小児科学会は、

「スーパー糖質制限食などケトジェニックダイエットや低炭水化物ダイエットが、成人には有効とのエビデンスがあるが、子供や十代の若者に関するエビデンスは限られているので、推奨できない」

という立場ということですね。

まあ、2000年代の現代の常識に従って、平面的に考察したら、このような意見になるのでしょう。

一方、人類の食生活の歴史という縦系列の考察も必要と思います。

チンパンジーと分かれて以降、人類は700万年間、小児や未成年に低炭水化物食を食べさせていましたし、妊娠・出産・子育て・日常生活・狩猟・採集も全て、穀物なしの低炭水化物食でした。

30万年前ホモ・サピエンスが誕生してからも29万年間、小児や未成年に低炭水化物食を食べさせていましたし、妊娠・出産・子育て・日常生活・狩猟・採集も全て、穀物なしの低炭水化物食でした。

穀物食は、わずかこの1万年間だけです。

つまり、小児や未成年の低炭水化物ダイエットに何の懸念もありませんし、そのことは人類の歴史そのものが証明しています。

逆に、小児や未成年に、人類の歴史上700分の1しか食べたことのない穀物食を食べさせる方が、大きなリスクと言えます。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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