さて、そうしたアメリカの動きに対して中国はどう向き合おうとしているのだろうか。
これまで何度もこのマルマガで取り上げてきた話題だが、中国の姿勢は一貫している。
直近で象徴的なのが、APEC(アジア太平洋経済協力)での習近平国家主席の書面での演説だ。
ここには中国が目指す国際秩序が明確に示されている。
その特徴を3つの視点からまとめるとすれば、
一、保護主義へと向かうアメリカへの警戒感。
二、アメリカの秩序から国連、国際機関を中心とした秩序への回帰。
そして、
三、グローバル・サウスの代弁者としての中国の立場の強調。
という3点になるのだろう。
アメリカの秩序に対する中国の国際秩序といえば、インスタントに米中対立の流れで「中国主導」ととらえられがちだが、誤解である。あくまで国連主導だ。
ロシアが折に触れて強調する多極化(これは中国も言及するが)とも少し違う。
むしろアメリカの予測不可能な不安定性に対し、その影響が及びにくい世界の構築という色彩が強い。
確かに、二と三で示したように習近平は演説の中で、グローバル・サウスの代弁者として世界に発信するという中国の立場を強調している。
これは世界人口のわずか10%を占めるだけのG7の秩序に挑戦しているかのようではある。しかし実際はアメリカもヨーロッパも国際秩序の一員であることを考えれば、従来の秩序の修正を求めているに過ぎないのだ。
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