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中国の自動車市場でポルシェが大苦戦。思い切って「6割引き」しても売れぬ異常事態

高級車の代名詞的存在といえばポルシェですが、その常識が中国では崩れているようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では、現在の中国での「ポルシェの苦戦ぶり」と、その理由を解説しています。

独VW苦境の象徴、ポルシェが中国勢の高級分野への躍進で苦戦

独VWが中国BEVで堅調なのに厳しい状況と指摘されたことの続き。

VWグループの中でも、これまで高級ブランドとして君臨してきたポルシェが直面する状況は特に厳しいものとなっているという。

2024年第3四半期(7-9月)までに、ポルシェのグローバル販売は前年同期比7%減少し、22.6万台にとどまった。

中国市場においては特に深刻で、販売台数は前年同期比29%減の4.3万台と急減し、ポルシェにとって最大の下げ幅を記録した。

この背景には複数の要因があるが、その一つは中国市場での急激な競争の激化だという。

700万円格安ポルシェ

中国では、ポルシェの販売店が大幅な価格引き下げを余儀なくされている。

2024年、ある深センの販売店はポルシェの人気モデルであるMacan 2.0Tを大幅値引きし、2024年モデルの価格を35.8万元(約700万円)まで引き下げた。

これはメーカーの公式価格である57.8万元(約1140万円)の約6割に相当し、大幅な値引きが話題となり、「ポルシェの価格が40万元を切った」という報道は瞬く間に中国で広まり、注目を集めた。

この動きは中国の他の都市でも見られ、販売店は値引きやプロモーションに依存せざるを得ない状況にあるという。

値引きしても販売不振

このような価格戦略にもかかわらず、ポルシェは販売回復に苦戦している。

第3四半期までの総販売台数が減少した理由として、ポルシェは「供給の制約」と「市場環境の悪化」を挙げている。

しかし、業界内ではこれだけでは説明が不十分と見られている。実際の原因は、急成長する中国産高級電動車市場にポルシェが追い付いていないことが挙げられる。

中国高級勢の台頭

BYD、蔚来(NIO)、ZEEKR、ファーウェイ問界(AITO)などの新興ブランドが次々と高性能なモデルを投入し、ポルシェがターゲットとしている市場セグメントを侵食している。

特に、BYDの仰望U8やZEEKR 001FRといったモデルは、ポルシェが誇る高級車の分野に食い込んでいる。

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BEV技術の遅れ

さらに、電動化の遅れもポルシェの課題だ。

BEVであるTaycanやMacanは市場に投入されたものの、中国産ブランドの同等価格帯のモデルに比べて航続距離やコストパフォーマンスで劣っている。

これにより、ポルシェは中国市場で競争力を失いつつある。

シャオミの登場

一方、ポルシェにとっての大きな痛手は小米(シャオミ)の戦略的な挑戦である。

シャオミは新型モデルSU7を発表し、ポルシェのTaycan Turboを公然と対抗車種として掲げた。

このモデルはわずか21.59万元(約430万円)という競争力のある価格で提供されており、価格と性能のバランスから多くの消費者を引きつけている。

さらに、このSU7をスーパーカーとして販売を開始するSU7 Ultraは、ニュルブルクリンクで最速4ドア車という称号を得ており、ポルシェが誇る性能面でも優位を示した。

このようなシャオミの攻勢により、ポルシェはブランド価値を揺るがされており、「高級」というイメージだけでは消費者を引きつけることが難しくなっている。

「価値重視」掲げるも逆効果?

この状況で、ポルシェは「価値重視の販売戦略」を掲げ、中国市場でのブランドイメージの維持を試みている。

しかし、この戦略が逆効果となっている面もある。消費者はかつての外資ブランドに対する盲目的な信頼を失い、実用性やコストパフォーマンスを重視するようになってきている。

ポルシェがかつてのようなブランドプレミアムを維持するのはますます難しくなっており、電動化戦略の遅れや新興ブランドの攻勢によって、その地位は大きく揺らいでいる。

このままでは、ポルシェの「神話」が完全に崩壊する可能性もあると見られており、外資系ブランド全体にとっても教訓となる事態が進行中、というのが中国の現状だと指摘する。

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/eitSQhGDIicdmiw0L-QLgw

※CHINA CASE(https://www.chinacase.xyz)は株式会社NMSの商標です。

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image by: Michael Gordon / Shutterstock.com

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