斎藤陣営は公職選挙法に違反していたのか?
斎藤元彦知事(47)が再選された兵庫県知事選の公正性が疑われる重大疑惑が噴き出した。斎藤氏から選挙の「広報全般を任された」と主張する同県内のコンサルタント会社社長がSNSを含む広報戦略を「仕事として手掛けた」とネットで自慢し始めたのだ。ネットでも選挙運動を行なった者に報酬が渡れば公職選挙法の買収罪にあたる可能性があり、そうなれば候補者だった斎藤氏本人も連座制適用で当選取り消しがあり得る。(11月23日、集英社オンライン)
これはどういうことなのか。「選挙運動者に対して金銭等の供与をした者」に買収罪が適用されると公職選挙法第221条第1項にある。ウグイス嬢、手話通訳者、要約筆記者、選挙事務員を除き、「選挙運動者」は無償、すなわちボランティアでなければならない。ネット広報戦略を担った折田氏、あるいはその会社が「選挙運動者」なのに報酬を受け取ったとしたら問題だ。
ネット選挙が解禁された2013年、総務省がまとめたガイドラインには「参考」として、こう書かれている。
選挙運動用ウェブサイトや選挙運動用電子メールの企画立案を行う業者への報酬の支払い
一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払いは買収となるおそれが高いと考えられます。
意味するところは、こういうことらしい。たとえば、業者がデジタル選挙戦略を決定し、候補者や選挙事務所に指示を与えるような場合には、公職選挙法上「選挙運動者」として扱われ、報酬の支払いが「買収」に該当する可能性が高くなる。
元東京高検検事、郷原信郎弁護士はヤフーニュースの記事で、この件に関する見解を次のように述べている。
折田氏が、斎藤知事に直接依頼されてネット選挙運動を、会社の業務として全面的に仕切っていたとすれば、それは選挙運動そのものであり、しかも、無償で行われていたとは考えられない