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致死率50%で感染源不明。コンゴで広がる謎の「疾病X」を日本に持ち込みかねないインバウンドの大弊害

アフリカのコンゴ民主共和国で感染が広がる謎の感染症「疾病X」。その致死率は50%に達するとも伝えられ、新型コロナ同様の世界的感染爆発も懸念されています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、「疾病X」を取り上げ詳しく解説。さらにこの正体不明の感染症から自身の身を守る方法を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:黒船インバウンド

日本にも襲来するのか。致死率50%の「疾病X」という黒船

昨年2023年5月8日、岸田政権が政治的理由から新型コロナの位置づけを2類から5類へ移行したことにともない、それまで続いていた毎日の感染者数と死者数の発表も、この日をもって終了しました。そのため、新型コロナの感染の実態は曇りガラスで隠され、世の中的には「終わったこと」というフレーバーが漂い始め、この1年でマスクを着用した人はほとんど見かけなくなりました。

しかし、5類への移行後も半年ごとに発表されている「新型コロナによる死者数」のデータを見ると、今年1月から6月までの半年間で、人口10万人あたり14.6人、全国で2万人近くの人が死亡しているのです。ちなみに、新型コロナの感染がピークだった2022年の死者数は、人口10万人あたり38.1人だったので、その時と比べれば半数以下に減少しています。しかし、半年で2万人弱という死者数は、インフルエンザによる死者数の約15倍であり、日本人の死因の約2.3%にあたるのです。

そして、5類への移行後に始まった全国約5,000カ所の医療機関による「定点把握」の最新データを見ると、今年10月までしばらく横ばいか微減だった感染者数が、11月に入って増加し始めているのです。正確に言うと、全国47都道府県のうち9割にあたる42都道府県で感染者数が増加に転じ、1週間の新規感染者数が9,406人に上ったのです。ま、単に感染者数が微減から増加に転じただけなら、気温が下がって空気が乾燥し始めたことなどが原因として想定されるので、それほど不思議なことではありません。しかし、実際の原因はまったく違っていたのです。

全国で2万人近い人が死亡した今年1月から6月までに主流だったウイルスは、オミクロン株の変異株「KP.3」でした。しかし、11月から急増し始めたのは、「KP.3」より感染力が高く、これまでのワクチン接種などで得た免疫を掻いくぐって感染してしまう最新の変異株「XEC」だったのです。そして、何よりも恐いのが、この「XEC」は欧米とほぼ同時に日本でも感染拡大が始まったという点です。

昨年5月まで、まだ新型コロナが2類だった時は、海外からの訪日客を制限したり空港での検査を義務づけたりと、一定の「水際対策」がとられていました。そのため、欧米で新しい変異株が現われて主流になっても、その変異株が日本で流行するまでには1カ月以上のタイムラグがあり、ある程度の対策を講じる時間的余裕がありました。

しかし、すべての「水際対策」がなくなった昨年5月以降は、欧米で発生した新しい変異株が、日本でもほぼ同時に広がるようになったのです。そして現在は、感染力が高く免疫を掻いくぐる新しい変異株「XEC」が、欧米とほぼ同時に日本でも発生し、それまで流行していた「KP.3」と置き換わりながら、現在絶賛増殖中なのです。

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感染者の半数が死亡。コンゴで広がる「疾病X」

で、ここからが本題なのですが、アフリカ大陸の真ん中あたりにあるコンゴ民主共和国(旧ザイール)で、今、謎の感染症が発生し、多くの死者が出ているのです。まだ名前もつけられておらず、暫定的に「Disease X(疾病X)」と呼ばれていますが、今年10月下旬、首都キンシャサから南東に約700キロほど離れた隣国アンゴラとの国境にあるクワンゴ州パンジ地区で、初めて確認されました。現在は、子どもを中心に感染が広がっています。

感染者は、激しい頭痛や高熱、下痢や嘔吐、呼吸困難や貧血など、インフルエンザや新型コロナに似たような症状だということですが、恐ろしいのはその死亡率です。現地の保健当局の12月3日付の発表によると、これまでに376人が感染し、そのうち少なくとも143人が死亡した」とのこと。感染者の半数が死亡しているのです。そして、感染者の半数以上が5歳未満の幼児を中心とした子どもだというのです。

そして、さらに恐ろしいのは、発生が確認されてから1カ月が過ぎているのに、この「疾病X」の感染が、細菌によるものなのか、それともウイルスによるものなのかさえ、未だに分かっていないことです。現地の市民協議会のルシアン・ルフトゥ代表によると「現地では未知の感染症であることが広くは知られておらず、感染者の大半が設備の整っていない地元の開業医で診断や治療を受けている」とのこと。

アフリカ大陸全体の感染症などを監視する「アフリカ疾病対策センター」のジャン・カセヤ所長によると、今回の「疾病X」は「10月下旬に最初の症例が確認されてから、コンゴの中央政府にその報告が届くまでに5~6週間かかっている」とのこと。これは今回だけでなく、疾病検出インフラが脆弱なアフリカの複数国に共通することであり、この「1カ月遅れ」の報告を受けたコンゴのロジャー・カンバ保健相は、12月5日、首都キンシャサで記者会見を行ない、次のように述べました。

「これは監視が必要なレベルの疫病であり、われわれは最大限の警戒態勢を敷いている」

そして、こう付け加えました。

「これまでに医療施設で確認された死者数は27人である」

そう、これは5~6週間前の報告を元にした会見であり、さっきも書いたように、現地クワンゴ州の保健当局は、2日前の12月3日の時点で「少なくとも143人が死亡した」という最新データを発表していたのです。

コンゴの首都キンシャサの人口は、東京を遥かにしのぐ約1,700万人であり、致死率50%の未知の感染症が流入してしまったら大変なことになります。そして、首都キンシャサに「疾病X」が流入してしまったら、あっと言う間にアフリカ全土や欧米へ、そして日本にも広がる恐れがあるのです。

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それ以前に危険なキンシャサ市民のパニック

しかし、それ以前に、政府の情報発表によるキンシャサ市民のパニックも危険です。そのため、カンバ保健相は最新データも把握していたのに、あえて発生当初の古いデータの数字を言ったのか、それとも最新データを知らなかったのか、その辺のことは分かりません。ただ、1つだけ言えることは、カンバ保健相の「われわれは最大限の警戒態勢を敷いている」という言葉が、現地の「感染者の大半が設備の整っていない地元の開業医で診断や治療を受けている」という実態とは大きくかけ離れている、という現実です。

実際、現地メディアの報道によれば、今のところ現地の医療関係者は「亡くなった人の遺体には触れないように」という警告をしているだけなのです。まだ、感染の流れどころか、細菌かウイルスかさえも分からない状況なので、有効な対応ができないのは仕方ありませんが、これでは首都への流入も時間の問題のように思えてしまいます。

今年4月からコンゴで5歳以下の子どもと妊婦を対象に無償の医療活動を行なっている非営利団体「マバディリコ(スワヒリ語の「チェンジ」の意味)」の代表理事、土井直恵氏は、感染者のうち死亡しているのが幼い子どもに集中している点を「警戒している」と述べました。そして、もしも首都キンシャサで流行すると「世界規模で病気が広がってしまうのでは」との懸念を示しました。

コンゴでは半世紀前の1970年、サルやウサギやリスなどのウイルス性の感染症「エムポックス(サル痘)」のヒトへの感染が初めて報告され、以降、ヒトへの感染が世界各国へと広がって行きました。日本では2年前の2022年に初めての感染者が見つかり、現在までに252例の感染が報告されており、死亡例も報告されています。そんな「エムポックス」ですが、コンゴでは昨年2023年から感染者が急増しています。昨年だけでも1万4,000人以上が感染し、そのうち約650人が死亡しました。今年になってからも感染は拡大し続けています。

コンゴの医療機関は、この「エムポックス」と戦いながら、さらに新たな「疾病X」との戦いを強いられることになったのです。それも、致死率が5%以下の「エムポックス」と違って、まだ正体の分からない「疾病X」は、現時点では致死率50%なのです。

致死率の高さと言えば、感染の発見が遅れると90%が死亡する「エボラ出血熱」が有名ですが、このウイルス性感染症の名前は、1976年にコンゴのエボラ川の沿岸の村や町で初めて感染爆発したことに由来します。この「エボラ出血熱」もまた、アフリカのコウモリの感染症だったウイルスが、ヒトにも感染するように変異したことが始まりと見られています。

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自己防衛しか打つ手のない「疾病X」への備え

こうした「エムポックス」や「エボラ出血熱」の発生状況から考えると、今回の「疾病X」も、アフリカの何らかの動物だけが感染するウイルスが、ヒトにも感染するように変異したのでは?…と余計な想像をしてしまいますが、これは今、必死に分析している専門家たちに任せる問題であって、あたしたちドシロートがすべきことは、自分が感染しないための準備なのです。

さて、新型コロナの5類への移行をキッカケに始まった現在の日本の「インバウンド天国」ですが、決してアベノミクスの失敗を認めようとしない自民党政権による円安進行も手伝って、すでにオーバーツーリズムとなりつつあります。今年10月には1カ月だけで約331万人もの外国人が来日し、1カ月の入国者数の過去最多を更新しました。そして、これが多くの職種にとって利益となっています。

その一方で、外国人観光客の急増による観光地や公共交通の混雑、一部のマナー違反者による地域住民への迷惑、宿泊施設の便乗値上げなど、いろいろなデメリットも発生し始めました。しかし、こんなことより、あたしが何より不安に感じているのが「マスクをしていない外国人がそこら中を歩いていること」であり、何ならそういう外国人が「街で話しかけて来ること」なのです。

前半に書いたように、今、新型コロナの変異株「XEC」の感染が全国で拡大しているのは「欧米とほぼ同時に発生」という背景から見ても、間違いなくインバウンドの弊害です。しかし、日本政府がそれを許しているのですから、マスクをせずに歩き回っている外国人に「マスク着用」を求めることはできません。感染対策は自己防衛しかないのです。そのため、あたしは次の3点を実行しています。

  1. マスク着用や手指の消毒など、新型コロナが2類だった時と同様の対策を徹底する
  2. 外国人観光客の多そうな場所へは可能な限り出かけない
  3. 二次感染を防ぐために日本人の多い場所にも可能な限り出かけない

新型コロナが5類へ移行してからも、あたしは2類だった時と同様の対策を続けて来ましたが、それに加えて、現在は外国人観光客の多い場所にはなるべく行かないようにしています。あたしの場合、高齢の母と二人暮らしなので、あたしが出先で感染してウイルスを持ち帰ることだけは絶対に避けなければならないからです。近い将来、致死率50%の「疾病X」という黒船が渡来する可能性まで想定すれば、少しでも早く対策を始めておくべきだと、あたしは判断しました。

(『きっこのメルマガ』2024年12月11日号より一部抜粋・文中敬称略)

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